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Tactics ONE Short Story



二人の出会い


〜折原浩平と???〜

by 道化師






オレは再度この場にやってきた。今までの借りを返すための挑戦と、茜への詫びも含めて。
永遠ともいえるような苦しみを生み出すであろう、この自販機の前に。
さすがに長森を連れてくるわけにもいかず、ひとりで来るしかなかった。
…ごくり。生唾を飲んで、改めて、見渡す。
やはり、誰も買う気配はない。
まるで、オレひとりが取り残されたかのような、そんな場所。
俺は確かにその場所に立っていた。
そこで、オレは更なる恐怖を目にする。
その自販機に貼ってあった異様な広告には、
『新発売!どろり濃厚シリーズ第3弾!!』
と、書かれていた…。
…オレはその場から逃げ出したかった。今すぐにでも。
どう見ても、どう考えても、このキャッチフレーズはやばいだろう。
…こんなものが書いてあること自体犯罪に等しいじゃないかっ。
だいたい、第3弾って何だ…?
オレがいない間に世界はそんなに変わってしまったのかっ…?
そんなに人気商品なのか…?
嫌な予感が次から次へと頭の中からでてくる。
いや、これは間違いなく罠だ。そうだ、そうに決まっている。
「うーん、あ、新発売だって…どれにしようかなー」
気がつくと、そこに人がいた。この自販機の前に。
…嘘だろ。
「ちょっと高いなー。観鈴ちん、ぴんち」
制服姿の少女だった。どうやら、買うらしい。
マジか…。
「あ、ピーチ味売り切れだ。どれにしよっかなー」
本気で悩んでいる。訊いてみるべきだろうか?
…これは飲み物なんですか、と。
…あなたはそれを飲むつもりなんですか、と。
「うん、これにしよっ」
ぴっ……がしゃん。
その少女は、かがんで選んだジュース(?)を手に取る。
…そして、飲み始める。
けっして液体なら出ないはずの音を立てながら、どくっどくっ、と。
そのラベルには、『どろり濃厚***味』(自主規制)とあった。
恐ろしい光景にオレはただただ見ていることしかできず、
「……………….」
じっと見ていたオレに、彼女がそういっているのも聞かずにオレはそこから逃げた。
見ていることができなかったからだ。
…早く忘れたいっ!
そして思いっきり叫びたい。
「うそだああああぁぁぁぁっーーーーーー!!」

…彼女が最後に言っていた言葉。それは、
「おいしいんですからねっ」

走り去った浩平を後に、
残った少女はつぶやく。
「どうして、みんなそういうこと言うかなあ…」



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