3

 翌日。
 香里の予想通り、気象台は朝の冷え込みがこの冬一番であることを告げた。
 もしこの時期に一度、大雪が降れば春まで融けない根雪となって残るだろう。しかし天気予報はそれをにべもなく否定する。この寒さはそう長くは続かないとのことで、このあとは再び暖かさが戻り、一週間後のクリスマスにも雪は期待できなさそうだった。

 放課後、香里はいつもの川沿いの帰り道を歩いていた。
 昨日とはうってかわって、今日は朝から突き抜けるような青空だった。見あげると、冬の太陽が白々と輝いている。

 昨日降った雪は、日中の暖かさで融けかかってシャーベット状になっている。香里はならべく靴を濡らさないよう、慎重に足を運んだ。
 やがて川沿いの通学路から商店街へ向かう道へおれる。
 こちらの方は陽のあたりかたが違うのか、まだ雪は残ったままだった。
 かえってこういう道の方が歩きやすいのよね……。
 香里は跳ねた水で濡れないようにと胸に抱えていた紙袋を手に持ち直して思った。

 商店街にはいると雪はほぼ融けていた。人通りの多いせいもあるが、商店街の道一帯にロードヒーティングがされているためだった。
 まばらに残る雪と乾いた歩道。
 どこからともなく、聞き慣れたクリスマスソングが流れてくる。
 すっかり葉を落とした街路樹の枝には、ささやかながらホワイトイルミネーション用の小さな電球が巻き付いている。
 歩道沿いの店のウィンドウは、きらびやかな金や銀の装飾具で彩られていた。
 香里はそのディスプレイを横目で眺めながら、先を急いそいだ。


 商店街の喧噪がだいぶ薄らいだ、住宅街との境目に病院はあった。
 この街で一番大きな総合病院。
 そして……「天国に一番近い場所」
 口の悪い人は、この白亜の建物を指してそう言った。
 実際、このあたり一帯の医療を一手に引き受けていることもあり、様々な難病をかかえた人が入院しているらしい。
 この病院に栞が初めて入院したのが、今年の春のことだった……。



 あの日、学校から家に帰ってきた栞は、ちょっと興奮気味だった。
 ベランダから射し込む春の日射しの中で、嬉しそうに友達が出来たと語る栞を、香里は眩しさに目を細めて見ていた。
 そして次の瞬間、突然栞の身体が光の中で揺らめいた。
 スローモーションをこま送りで見る感覚。
 栞の笑顔が、ゆっくりと落下する。

 トサ……。

 恐ろしく軽い音がした。
 栞は、日溜まりの中に力つきたように横たわっていた。
 まるで雪のように白い肌に、頬だけが紅潮していた。

 香里の記憶ではっきりしているのはそこまでだった。
 それから後のことは、とぎれとぎれにしか覚えていない。
 行きつけの個人病院に一度運ばれたようだが、すぐにこの病院に移された。
 気がつくと香里はこの病院のソファーで夜を明かしていた……。



 栞はその後から、入退院を繰り返すようになった。夏に一度もちなおして、家に帰ってきたが、しかしそれも僅かな間で再び入院してしまった。
 もうあれから3か月がたつ。今までで、一番長い入院だった。


 病院の南側の日向は、入院患者の憩いの場所として花壇や樹木が整備され、ちょっとした公園になっている。夏は見舞客や病院関係者で賑わう公園も、今は木枯らしに吹かれて閑散としていた。香里にとっては、もう何度も通い慣れた場所だった。
 しかしそれは、わずか9か月前に始まったばかりのこと。
 いったい何時まで続くのだろう……。
 香里の中で焦りに似た何かがわき起こる。

 レンガの敷き詰められた公園のプロムナードに、コツコツと香里の靴音が響く。
 枝と幹だけの木々の間を縫って、寒風が香里に吹き付けた。
 カサカサ……。
 枯れ葉が風に吹かれて宙を舞い、道を横切っていく。
 香里は紙袋を抱きしめて、病院の玄関へ駆け込んだ……。


 玄関の二重の自動扉を抜けホールに入る。
 3階まで吹き抜けのガラス張りのホールには、光が満ちていた。白で統一された落ち着いた明るい雰囲気に好感が持てる。
 平日の昼間、ホールの長椅子は、診察待ちの外来客でいっぱいだった。
 受付でいつもどおり見舞いの手続きをとると、香里は病棟の一番奥にある人気のない階段の方へ向かった。

 栞の入院している病室は、5階。
 ふつうならエレベーターを利用するか、直接ホールに通じる広い階段を使うだろう。
 しかし香里は、いつもこの人通りの滅多にない階段を使っていた。
 そう……あの光景を目にしてからは……。

 

 

 あの日、香里はいつも利用していた中央の階段ではなく、病棟の突き当たりにあるこの階段を上っていた。
 なぜ、この階段だったのだろう……。
 今となっては、なんとなく……としか言えない。
 2階……、3階……。
 そして4階へ登る途中の踊り場に、それはあった……。


 バケツをぶちまけたように、血で真っ赤に染まる踊り場を囲む3方の壁……。床には一人の少女が、血だまりに顔を突っ伏して倒れていた。
 もがいたのだろうか、白い床に血で赤く手のひらの跡がついている。
 ビクッと少女の身体が痙攣し、苦しそうにせき込む。そして、まるで全身の血を絞り出すかのように、吐血を繰り返す。その度に血だまりは広がり、ついには階段からしたたり落ちた……。
 やがて、痙攣はしずまり、まるで壊れた人形のように動かなくなる。
 香里はただ立ちすくんで、少女の白い肌が土色に変わっていくのを見ていた。
 顔は髪の毛に隠れて見えない。

 しかし……。
 ショートカットの癖のない髪の毛……、華奢な背格好と見覚えのあるピンク色のパジャマ……。
 それらが、香里の脳裏で、ある少女の画像と結びついたとき、香里は悲鳴を上げていた。

 それを聞いて、人が駆けつける。
 階段は野次馬で騒然となる。
 喧噪の中、白衣を着た男が少女を抱き起こす。
 力無く垂れ下がる血まみれの顔を見たとき、香里は意識を失った……。



 気がつくと香里は病院のベッドに横たわっていた。
 その頬に触れるそよ風を感じて、静かに瞼を開く。
 白い天井が、床から反射する光を映してゆらゆらと揺れている。
 突然その視界に、ぴょこんと誰かが顔を出した。
 栞だった。

「お姉ちゃん、大丈夫……?」

 声をかけて心配そうにのぞき込む。

「栞……っ!」

 香里は、ベッドから身を起こすと、栞に抱きついた。

「わっ、お姉ちゃん、苦しいよ」

「生きてたんだ……」

 一瞬、栞の顔に?マークがよぎる。
 そして思いついたように言った。

「……お姉ちゃん、さっきの私じゃないよ……」
「え……」

 香里が栞の顔をのぞき込む。
 栞は苦笑していた。
 確かに、さっき倒れたばかりとは思えないほど元気そうだった。

「それじゃあ……」
「うん、ちがう子……だよ」

 栞はベッドの横の椅子に腰を下しながら言った。


「…………」
 しばらくの沈黙。
 香里が、思い切ったように訊ねる。

「あの子は……?」
「…………」

 再び沈黙……。

「……栞?」
「……死んじゃったよ」

 そう言って栞は、白いシーツに目を落とす。

「もう、だめだったみたい……」
「見つけるのが遅かったから……?」

 香里が呟く。

「うぅん……もう、だめだったんだって……」

 栞が同じ言葉を繰り返した。

「どうして、あんな所に……」

 香里はそう言って、窓の外を見た。
 初夏の暖かな光が射し込む。開け放たれた窓から吹き込んでくるそよ風に、白いカーテンが舞踊る。遠くから、子供のはしゃぐ歓声が聞こえてくる……。


「あの子ね……きっと、最後にお庭で遊びたかったんだよ」

 栞が静かに言った。

「もう、生きられないって知って、誰にも邪魔されないように、あの階段から……」

 香里は悟る。

「栞、あなた……」

 見てしまったのだ……。
 あの惨状を。
 今、栞の瞳は深い闇を見つめていた。
 まるで何かに取り憑かれたように……。


「栞っ!」

 香里は言葉に力を込める。
 栞は、ビクッと身体をふるわせて、まるで催眠術から醒めたように呆然と香里を見つめた。

「お姉ちゃん……私……」

 栞が俯いて言葉を切る。


 しかし、次に香里に向けられたのは笑顔だった。

「お姉ちゃん、元気そうだね。これなら安心だよ」

 栞の笑顔が、香里の胸を締め付ける。

「でも、私がお姉ちゃんのお見舞いするなんて思ってもいなかったよ」

 栞は無邪気に笑って、雰囲気を取り繕おうとしている。
 香里もそれを察して、苦笑する。

「たまには、いいかもね」

 そう言って、香里はベッドを降りて立ち上がった。

「もう、いいの?」

 栞が心配そうに見上げる。

「えぇ、大丈夫よ」

 香里は、頬に垂れていた髪を両手で後ろに流すと、栞の視線から目をそらすように外の街並みを見遣った……。

 

 

 あれから、数ヶ月たった今でも、香里はあの光景を夢に見ることがある。
 白衣の男に抱き起こされる血まみれの少女……。
 夢の中でその顔は……栞だった……。
 香里はそこで目を覚ます。
 そして、暗闇の中、震えがとまるまで自分自身を抱きしめていた……。


 あれ以来、栞は時折、何かを想うようにぼぉーっとする事が多くなった。
 その瞳はまるで、この世界を否定するかのように冷たく静かだった。
 香里は、その魂を失った抜け殻のような栞の横顔を見る度に、何か言いしれぬ不安を感じるようになった。
 それからだった。
 香里が病院に来る度に、この階段を使うようになったのは……。


 5階まで登って、香里は、ほぅと一息つく。
 廊下の突き当たりの個室。そこが、栞の病室だった。
 ドアの前に立つと中から笑い声が聞こえてきた。
 香里はちょっと不思議に思って、ドアをノックする。

「はいっ、どうぞ!」

 とても明るい栞の返事に、香里は一瞬ひるんだ。


 カチャ……。
 ドアを開けて中をのぞき込むと、部屋の中では、顔なじみになった看護婦さんと栞が笑いながら、窓際のテーブルを囲んでなにやら忙しそうに手を動かしていた。

「あっ、お姉ちゃん!」

 栞がベッドに腰掛けて、笑顔で迎える。

「あら、香里さん、こんにちは」

 言って、看護婦さんが振り返る。
 するとその向こうに見えたのは、クリスマスツリーだった。

「あ、あとお姉ちゃんとやります」

 栞がそう言うと看護婦さんは
「それじゃあね」
 と微笑んで手にしていたデコレーションを机に戻していた。

「うん、ありがとう!」

 栞が元気に頷く。
 今日は特別調子がいいのだろうか。
 いつになく明るい表情の栞に、香里も顔がほころんだ。
 看護婦さんが立ち去り際、かるく会釈をすると、香里はベッドの横のパイプ椅子に腰掛けた。


「どうしたの、これ……」

「看護婦さんが、持ってきてくれたの」

 高さが栞の背丈ほどある、大きなクリスマスツリー。
 見ると窓際の机の上を、星や雪だるま、赤と白のスティック、雪をかぶったログハウス、金や銀のモールなど、大量のデコレーションが山になって占領していた。

「随分、賑やかね……」

 香里がそれを見て、呆れるように言った。

「ほら、お姉ちゃんも手伝って」

 栞がデコレーションの山から、サンタクロースの人形を取り出して香里に渡す。香里はそれを受け取ると、目の前でぶらぶら揺らして、おもむろにツリーのてっぺん近くにぶら下げた。

「わー、お姉ちゃん、そんなところにつけないでよ〜」

 栞が不満の声を上げる。

「……だ、だめかしら」

 香里が戸惑ったように答える。

「バランスが悪いよ」

 栞が言うと、香里は再びサンタクロースを手にして、うろうろと手を動かす。
 それを見ていた栞は
「ツリーの真ん中あたり、……もうちょっと下、うん……そこら辺かな」
 と、アドバイスをする。

「はい、次これね」

 栞はそう言って、今度は赤と銀色の派手な靴下を香里に手渡した。

「下の方ね」

 今度はあらかじめアドバイス付きだった。
 香里はそれに従って、靴下をつるす。
 こんな調子で、栞は香里を指示しながらテキパキと飾り付けを進めた。



「……久しぶりだね」

 やっと半分くらい終わったところで、ツリーの向こう側から栞の声がした。

「そうね……」

 香里は雪の代わりの白い綿を飾り付けながら答えた。
 小さい頃は、よく二人でツリーを飾っていた。まだクリスマスまで一月もあるうちに、物置からツリーの入った箱を引っぱり出してきては、両親に呆れられたものだ。
 その頃は、自分たちの背丈よりも大きいツリーに背伸びして飾り付けをしていた。そして最後、栞はいつも、ツリーのてっぺんの星をつけたがったが、いくら背伸びをしても届かない。結局香里が星をつけるのを、栞は指をくわえて恨めしそうに見ていた。

 随分昔のこと……。
 クリスマスツリーを飾らなくなったのは、いつの頃からだろう……。


「わ、お姉ちゃん!」

「え?」

 栞の驚いた声に、香里は、はっと我に返った。
 見ると香里の側に、白い綿が集中して、ツリーが半分だけ真っ白になっている。

「そんなに、つけたら雪崩になっちゃうよ〜」

 栞が苦笑する。
 そして、綿を間引きながら反対側にバランスよく置いていく。
 香里はそれを、少し感心しながら見ていた。

「あなた、こんなにセンス良かったかしら?」

 思わず口にしてしまう。
 綿を動かす栞の手が止まる。

「あ……、いえ、そういう意味じゃなくて……」

 香里が弁解する。



 栞は絵が好きだった。
 しかしお世辞にも作品は、上手とは言えない。
 栞もそれを承知しているらしい。
 香里が栞の絵をはじめてみたとき、思わず
「センスが悪いわ」
 と、口走ってしまった。
 それから、栞はそのことを随分気にしたものだ。

「お姉ちゃん……」

 香里に背を向けて、栞が俯いて言う。

「私……随分、絵が上手になったんだよ……」

 香里はふと、窓際の机に目を遣った。
 さっきはデコレーションに隠れて見えなかったが、その下にはスケッチブックが山のように積まれていた。



 この3か月の間、栞は病室の窓から見える街の景色を描いていた。
 いろんな想い出がつまった宝箱のような街……。

 春、土のにおいを一杯に吸い込んで、野原でつくしを摘んだこと……。
 夏、近所の駄菓子屋で買った水風船をぶつけ合って遊んだこと……。
 秋、河原の枯れ草に寝ころんで、空を往く羊雲を数えたこと……。
 そして冬、一年のうち一番寒いはずなのに、暖かいことばかりが想い出に残る季節。
 いっぱい、いっぱいの想い出……。

 栞はそんなこの街が大好きだった。
 大好きなものを描きたかった。
 描いた絵は、形になって残る。
 たとえ下手でも、それは自分が生きてきた証になる。
 別にたくさんの人に見て、誉められることがなくても、大好きな人に自分がここで生きていたんだっていうことを伝えられれば、それで幸せだった……。



「だから……」

 俯いていた栞が、くるりと振り返る。

「今度は、お姉ちゃんを描かせてねっ」

 そう言って栞はにっこり微笑んだ。
 香里は、その笑顔の訳を察しきれず、ただ黙って栞を見つめていた。

「ほら、あと半分だよ」

 栞はそう言うと、机の上に残っていたデコレーションを香里に手渡した。



 栞は終始笑顔で飾り付けをしていた。
 対照的に香里は黙々と機械的に手を動かす。
 ここにクリスマスツリーがあること……。それは、栞の入院生活がクリスマス以降も続くことを示していた。そんな栞を励ますために、看護婦さんがわざわざツリーを持ってきてくれたんだろう。
 しかし、それはかえって残酷ではないか。
 クリスマスの夜、暗い病室で独りぼっちで見るツリーのイルミネーション。月明かりの青い闇の中で赤や黄色、緑の電球が交互に瞬き、ベッドの上で膝を抱えている栞を冷たく照らす。そして、それを見つめる栞の空虚な瞳……。
 そこまで想像して、寒気が襲う。
 香里はそれを振り切るように頭を振った。
 絶対、栞をひとりにさせない……。
 香里は、このときそう胸に誓った。


「これで終わりだよ」

 栞が、ツリーのてっぺんに特別大きな星を載せながら言った。

「出来た!」

 そう言って栞が、パチパチと手をたたく。
 二人は完成したツリーを2、3歩下がって見渡した。
 確かに良い出来だった。あれだけあった不揃いなデコレーションが、ツリーの上から下にバランスよくすっきりとまとまっている。普通、こういうものは、思いつきや勢いで飾るため、その時は楽しくても、後から見ると雑然として見苦しいものだが、これは違った。

「どう? お姉ちゃん」

 栞が感想を求める。

「綺麗ね……」

 香里が素直に、しかし半ばどうでもいいと言うように答えた。
 実際、自分達以外の誰がこれを見るというのか。それを考えると空しくなる一方だった。
 しかし、栞はウンウンと喜んで頷いた。

「みんな喜んでくれるかな?」

 栞にそう訊ねられて、香里は不審そうに栞を見た。

「みんな?」

「うん、みんな」

 栞が笑顔で答える。

「どうして?」

 香里がなおも訊くので、栞は首を傾けた。

「どうしてって……、このツリーは病院のホールに飾るから……」

「この部屋のじゃないの?」

 栞は苦笑して答えた。

「こんな立派なツリーを独り占めしたら、怒られちゃうよ」


 香里はようやく納得した。
 栞が言うには、看護婦さんたちが忙しそうだったから、代わりに飾り付けすることを申し出たとのことだった。

「それを早く言ってよ……」

 思わず、香里が一人ごちる。
 栞はそんな香里を見て?顔をしていた。
 香里が疲れたように、ベッドに腰掛けると、栞もその隣に腰掛けて言った。


「それにね……私、クリスマスにはもうここにいないから……」

 思わず香里は言葉の意味をはかりかねて、そう言った栞の横顔を見つめた。
 すると、栞はニッコリ笑って言った。

「私ね、退院するんだよ」

 香里は言葉が出ずに、じっと栞の顔を見つめていた。
 栞はそんな香里を見て、小さな口に指を当てて首を傾げる。

「……お姉ちゃん、ひょっとして嬉しくないとか?」

 香里はぶんぶんと首を振った。
 栞がまたニッコリ笑う。
 その笑顔を見て、思わず香里の顔がほころぶ。
 本当なんだ……。

「いつなの」

 香里が訊く。

「24日だよ」
「メリークリスマス! ……ね」

 珍しく香里がおどけて見せた。

「まだ早いよ〜」

 そう言って、二人は顔を見合わせて吹き出した。



 窓際で、クリスマスツリーが低くなった冬の日射しを浴びてきらきらと輝いている。
 二人の会話は途切れることなく、病室には日が暮れるまで笑い声が絶えなかった……。



第4話へ続きます