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Original Novel kaeru Presents



Me・Her






 詰まるところ、ただこれだけのことだ。
 発端は瀬戸渚が覚醒剤をはじめたことにある。
 「痩せられる」とか、ありがちな言葉で引きずり込まれたらしい。
 そこに、人生失敗気味だった西紀章が飛び込む。
 正確には、西紀が覚醒剤をはじめたとき、売人繋がりで瀬戸と知り合ったらしい。
 元々、西紀は瀬戸渚という高嶺の花に好意を寄せていて、そんでもって経済的に余裕のない瀬戸としては、覚醒剤を買い続けるために出資者、パトロンが必要だった。
 そこにピッタシはまったのが、裕福な西紀というバカヤロウだ。
 西紀は経済面で瀬戸を援助し、対する瀬戸は精神面で――つまり西紀と付き合うことで、ヤツの欲望を充足させていた。
 恋愛にはほど遠い、すれ違いの関係が続いていたのだ。
 それで2人が満足していたとは到底思えないが、ダラダラと関係を続けていたのは事実。 どうしようもない馬鹿共だ。
 いくら西紀が裕福な家庭の息子とは言え、いつまでも金が続くはずもない。
 思うようにクスリが手に入らなくなった西紀に、当然瀬戸は不満を抱きはじめる。
 クスリを買ってもらうことが目的の関係なのだから、クスリの買えない西紀はゴミ同然だったわけだ。
 西紀は焦る。このままでは2人の関係が終わってしまう、と。
 元々あってないような関係なのに、ホント可哀相なヤツだ。
 西紀はクラスメイトや知人に片っ端から声をかけ、クスリを買うための金を工面していた。
 それにも限界が来た。
 最終的に、売人を脅してクスリを奪わなければならなくなったのだ。
 そして、最後の最後。体を完全に覚醒剤にむしばまれ、もはや後戻りなど不可能な状態に陥ったとき、俺が現れた。
 そして俺は、警察に突き出した。
 正しいか、間違っているか、それが誰にとって良いことか、悪いことか。
 そんなことは知った事じゃない。
 自業自得、因果応報なのさ、結局は。


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