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Kanon Another Story






オープニングパフォーマンス
〜要は前座〜

「見た目は子供、頭脳は大人!」
「誰が?」
「ボク!」
「ふ、墓穴を掘ったな、あゆ。確かにお前の見た目は、とても俺と同い年とは思えん」
「うぐ・・・」
「しかしあゆ、お前は一つ大きな間違いを犯してる!」
「!?」
「お前は見た目も頭脳も子供だ!」
「うぐぅ・・・ボク子供じゃないもん」








メイ探偵カノン


〜栞のポケットの謎〜



by 荒竹



春。
奇跡的に栞の病気は回復し、彼女は念願の学校生活を送ることができるようになった。
これからは何気ない、しかしとても幸せな日常が始まる。
俺と、栞の・・・
しかし!
その前に俺にはどうしても確かめたいことがあった。
そいつを明らかにしなければ、俺達は前には進めない。そういう確信が俺にはあった。

 
 
「なあ、香里。どうしても教えて欲しいことがあるんだ」
俺は3年になっても結局同じクラスになった栞の姉、香里に声をかけた。
「なに、相沢君。急に改まって」
「教えてくれ、栞のスカートの中はどうなってるんだ?」
「それは・・・あなたの方が良く知ってるんじゃないの?」

・・・へ?
「私が知らないと思ったの?あの子とあなたの関係。行くところまでいったんでしょ?あなた達。だったら・・・」
「ち、違う!そういうことじゃあなくてだなあ・・・」
必死で誤解を解こうとするが、耳の先まで真っ赤になってるのが、自分でもよく分かった。
「なんだ、本当だったのね。あなたと栞、そこまで行ってたんだ」
けろっとして香里が言う。
謀られた・・・
「お前、俺にかまかけたな?」
「あの子は私の妹なのよ。ちゃんと責任取りなさいね。将来のお・と・う・と」
・・・

「と、いうわけで、俺は栞のスカートのポケットの構造がだなあ」
何とか誤解を解いた(もう手遅れの部分もあるが)俺は、常日頃の疑問
<栞のスカートには、何故あんなに物が入っているのか?>
をようやく香里に伝えた。
「なんだ。それならそうと、早く言えばよかったのに。普通よ。あの子のスカートは」
「やけにあっさりと答えるな。その根拠は?」
「簡単よ・・・栞のスカート、ほとんど私のお下がりだから」

香里はああ言ったものの、俺にはどうしても納得がいかなかった。
別れ際の香里の言葉、
「そんなに気になるなら、栞に直接聞いてみればいいじゃない」
が、俺の頭の中でずっと繰り返されていた・・・

 
 
土曜の昼下がり。
急に降り出した雨で、栞と俺とのデートは予定変更を余儀なくされた。
「折角公園で祐一さんとデートがしたかったのに・・・残念です」
「しょうがない、俺の家で雨宿りだ!走るぞ栞!」
「は、はい、わかりましたー」

家に帰ったとき、俺達はすっかり濡れネズミになっていた。
「ぐしょぐしょですね」
「お互いにな」
「お帰りなさい、あらあら、二人とも・・・。ちょっと待って下さいね」
秋子さんが手早くタオルを用意してくれる。

身体を拭きながら、俺の頭に一つの名案が浮かんだ・・・
「栞。このままじゃあ冷えて風邪を引くだろ。シャワーでも浴びたらどうだ」
「え!?で、でも・・・」
「そうね、替えの着替えは私が用意するから、遠慮なく使って頂戴」
「ありがとうございます。それじゃあ遠慮なく」
「今栞ちゃんが着ている服は、乾燥機にかけておくわね」
「あ、それじゃあポケットの中の物出しておきますね」
栞はいつものように、スカートのポケット(らしき場所?)に手を突っ込んだ。
「おい、栞・・・」
「はい?」
「お前、元気になったよな?」
「ええ、皆さんのおかげで、こんなに元気です」
「じゃあ何だ?この大量の物は?」
そこには、胃薬、頭痛薬、風邪薬にうがい薬、目薬傷薬・・・
この世の薬という薬が並んでいるような気がした。
「うーーんと・・・。ついこの前までの癖で、持ち歩いちゃうんです」
唇に人差し指をあてて、栞が説明する。
「ほら、備えあれば憂い無しって言うじゃありませんか」
「備えありって・・お前は富山の薬売りか!?」
全く、見ている方が病気になりそうだ。

取りあえず栞を風呂場に案内する役は秋子さんに任せ、俺は着替えるために二階へ上がった。
着替えを済ませ、程良い頃合いをみて、俺はそっと階段を降りる。
「すまん、栞。これも真実の追求のためだ」
リビングの物陰から辺りを見回す。
秋子さんは・・・どうやら自分の部屋にいるようだ。
この機会を逃す手はない!俺はそっと脱衣所の開き戸を開ける。

ジャーッというシャワーの音。
「ありがと・・・いわないよ・・・」
栞の歌声。間違いなく彼女は今、風呂にいる。
そして今俺が立っている脱衣所。
そこには、今脱いだばかりの栞の衣類があった。
「と、いうことは栞の下着もどこかに・・・は!?」
俺は大きくかぶりを振った。そんな目的のために来てるんじゃない!
しっかりしろ祐一!

栞のスカートは脱衣かごの一番上にきれいに折り畳んでおかれていた。
俺はスカートを手に取る。きれいな赤の、どこにでもありそうな普通のスカート。
「ふむ、表にはこれといって不審な点はない」
左にだけついているポケットも、ごく普通。
「やはり、秘密は裏か?」
俺はスカートの裏地を調べた。
裏地は黒で、ウールだろうか、暖かそうな生地で作られていた。
よく見ると、全面に何か張り付けている。
「これが栞のポケット?」
「あ、あのー」
「一目見ると半月型のアップリケ。し、しかし!」
「あのー、祐一さん?」
「ま、まさか、これは、あの・・・」
「何してるんですか?」
・・・・・・
「・・・栞?」
そこには、お湯に濡れた身体をバスタオルを巻いて呆気にとられている、一人の少女の姿があった。
「はい。ひょっとして、祐一さん、のぞき、ですか?」
「ち、違うぞ栞。こ、これはだなあ」
「・・・祐一さん」
「これには深いわけが・・・」
「そんなことする人、嫌いです」

 
 
日曜日。
正に「麗らか」という言葉がよく似合ういい天気だった。
「ホント、いい天気ですね」
「ああ」
「きっと、日頃の行いですね。私の」
俺の前を楽しそうに歩く少女。
幸せとは、こういうときに使う言葉なのだろう。
「今日は何でも好きな物おごってくれるんですよね」
「・・・ああ」
手加減してくれ、という言葉は、喉の手前で止まった。
あそこで遭遇して、言い訳が通用するとは思えなかった。
秋子さんに聞こえるような悲鳴をあげられなかっただけましか。
「楽しみです」

商店街に行く途中。
俺達はいつもの公園に立ち寄った。
「こんなにいい天気ですし、今日もお願いしますね」
「モデルか?ああ、今日は栞の日だ。何時間でもじっとしていてやる」
「嬉しいですー。じゃあ、ちょっとそこに立ってみて下さい」
栞は5メートル程の高さの木を指さす。
俺は栞の指さす方向へ向かいながら、あることに気がついた。
「栞、お前確か今日は手ぶらじゃあ・・・って!?」
栞の手には、美術部が使うような大きなスケッチブックがあった。
「はい、じゃあそこでじっとしてて。動かないで下さいね」

俺の頭の中で、独特のだみ声と、シャキチャキーンという効果音が聞こえた、様な気がした。

やっぱり、四次元・・・?

 
<了>

あとがき
ふう、前回に引き続き「カノンの謎」シリーズ第二弾です。
<既に題名が違う
前回が月曜7時でしたので、今回は7時半です(^-^;
あいも変わらずお馬鹿な話。
前回と同様、どこが推理物だ?というつっこみはご勘弁。
カノンはしばらくこの路線で行きたいです。



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