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Kanon Another Story



kanon


序章 「souvenirs」〜思い出〜

by 淺川 秋



雪が舞い散る季節1月・・。
足早に家路につく人々の姿が冬将軍の到来を予感させた。
今日は1月14日。小正月も終り、僕も新しい学校が始まろうとしている。
今まで僕は東京に住んでいたのだけれども、父さんの都合で以前住んでいた。
7年ぶりにこの雪の降る街に戻ってきた。
懐かしい気持ちの反面、小さいころ住んでいたあの時と比べると人出も増えたし、
仲間と一緒に遊んでいた昔ながらの建造物も少なくなって、
大きなビルが立っているのを見ると、なんだか物悲しい気分になる・・。
でも、一つだけ変わらないことがある。それは純白の雪が降るということだ。
この街は城下町でこの季節になると伝統のかまくら祭りが行われる。
小さい頃は従姉妹の名雪ちゃんとよくかまくら祭りを二人で見にいったものだった。
彼女ちょっとのんきなものだから、甘酒を飲みすぎて酔っ払って、
僕の膝元ですーすー寝ちゃったんだよな・・。
今ではいい思い出だけど・・。
7年前、僕が東京に引っ越す時、名雪ちゃんはうつむいて何も話してくれなかった。
お互いまだ小さかったから、「お別れ」っていう感情がまだどのようなものなのかわからなかったのだろう。
ただ、僕が車に乗ってもう行かんとする直前、山のように積まれた千羽鶴を泣きながら渡してくれた時、
初めて「もう会えない」という悲しさが一気に込み上げてきたことは忘れられない。
 その思い出を抱いて僕は再びこの街に戻ってきた。あの時と変わらない純白の雪の元に…。



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