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Original Novel
keita Presents



夏休み


第1話

はじまり



夏休み…たまには婆ちゃんに顔見せてきな、との母親の意見を聞き入れ、母方の田舎に帰ってきた。
都会には空が無い、なんてことが言われたりするがここではそんなことも無い。
どこまでも続く青い空、白い雲、空の青さを映し光を反射してキラキラ光る海…
だれでもちょっとした詩人気分が味わえるだろう。
…まぁ、そんなこと言っても大方の予想道理、さすがに婆ちゃんの家にいるだけでは
することが無くなってきた。知り合いなんているはずもないし…しょうがなく僕は、
一人で海へ出かけることにした。
当然のことながら、偶然友達と会った、なんてことも無く…なるべく人気の少ない所で泳いでた。
泳ぎ疲れた僕は岩場に上がり、日差しを浴びてウトウトしていた、
ふと、影が差したように暗くなって…目を開くと目の前に1人の女の子がいた。
 
「こんにちは」
「…こんにちは…?」
「こんなとこ、一人で何してるの?」
「えっと、泳ぎ疲れて一休み…」
 
いきなり声をかけてきたその娘は、質問の答えを気にした風もなく…
僕の隣りに腰掛けてきた。
 
「海まで来てひなたぼっこねぇ…あ、それよりも君見ない顔だね。ここの人じゃないの?」
「あ、うん。 夏休みだから婆ちゃんの家に来てるんだ」
「ふーん、なるほど。 道理で見ない顔だと思った。 で、知り合いもいないんで一人さびしくひなたぼっこしてる…と」
「否定はしないけど…言い方にトゲがあるような…」
「まぁ細かいことは気にしないで、ねぇ、さびしい独りもん同士いっしょに遊ばない?」
 
ほんとに変な娘…
初めて逢ったばかりのやつにこんなこと、普通言うかぁ…?
いきなりのことで、どう返答しようか迷って口ごもる僕…
そこへ…
 
「ん? どしたの?」
 
やっぱりこの娘って、変な娘だな…
でも、不思議だな…別にイヤじゃないや。
僕がヒマなのはほんとだし、この娘もそう言ってくれることだし…
うん、決めた。
下から覗きこんでくるその娘に向かって…
 
「うん。まぁそれはいいけど聞きたいことが…君、名前は?」
「うん、うん、当然の質問だね。 で・も、あんまり当たり前すぎるんで答えてあげませ〜ん♪
私も君のこと聞かないから、君も私のことは聞かないでね」
「…はぁ、そうなの…?」
「うん、それでは夏休み限定企画、名前も素性も知らない二人がこれからどうなっていくのか乞うご期待っ♪てことで」
「どうにかなるのか…?」
「そんなのわかんないでしょ? まだ夏休みはあと何日かあるんだからねっ☆」
 
…これが彼女との出会いだった…



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