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Original Novel
keita Presents



夏休み


第3話

第一ラウンド(後半戦)



「さ〜て、休んだ所でな〜にしてもらおっかな〜♪」
「……(何させる気なんだか)」
「うん、泳いで喉が渇いちゃったね、ジュース買ってきて〜」
「…は? ここ、島なんだけど…近くに自販機ってあるの?」
「んなものあるわけないでしょ〜 もといた所にしかないわよ?」
「…また100メートル近く泳げ…と?」
「まぁ、手っ取り早く言うとそうゆうことね」
「…本気で…?」
「本気で」
「…………」
「あ、急いでね〜」
「…鬼か…?」
「んーなんか言った〜? ほれほれとっとと行く行く!」
 
…ジャバジャバジャバジャバジャバジャバジャバジャバ…
 
結局、行かなくちゃならないはめになった…
それにしても、缶ジュース持って100メートル往復は…途中で腕がツルかと思ったぞ。
 
「…はい、買ってきました」
「うん、ごくろうごくろう」
 
…プシッ!
はぁ…疲れたなぁ。
ま、ジュースでも飲んでれば彼女だって静かに…ってあれ?
ちょっと口付けただけでこっちの方見てるぞ…なんだ?
 
「ジュース、飲まないの?」
「ん…これ、炭酸なんだ〜、辛くて飲めな〜い、そっちと交換してよ〜」
「いえ、こっち飲みかけですので」
「え〜、炭酸いや〜、交換してよ〜 ね? ね?」
「…すっげえワガママ…」
「んーなんか言った〜? なんならもう一回買ってき…」
「いえいえ、何でもありません。はい、交換」
 
怖いこと言われそうだったので、素直に交換してあげた。
…はっきり言って、これ以上無理言われてたまるか、と思っただけだけど…
 
「うんうんっ♪ ありがとっ♪}
「…(しかし炭酸が飲めない…先に言っとけよ…)」
「あ、飲んだ、飲んだ、で、どう?間接キッス〜♪」
 
…ブハッッッッッッッッ…
…吹いた…
 
「な…なにを、いきなり…」
「あー赤くなってる〜、ふ〜んそうなんだーへ〜」
「なに笑ってるんだよ…」
「いやいや、こっちのはなし。 あ、でも私も飲んでるから気にしない、気にしない♪」
「別に気にしてなんか…」
「まぁ、まぁ、顔赤くしたまま言っても説得力無いから。ん、そろそろかなぁ…」
「え、なにが?」
「話題変わって安心してるでしょ、まぁこれ以上のツッコミは置いといて…さ、あの高台まで登るわよっ!」
「うぇ…あれ登るの?」
「ブツクサ言わない、それ行った、行った!」
 
彼女に手を引っ張られて坂道を登る。
つ、疲れる…ま、もう少しで上につくけど…
いったいこんなとこになにがあるというのか…
 
「ねぇ、そろそろなんだけどさ、何もなさそうなんだけど? 第一もう夕方で…」
「ん、上まで行けばわかるって。ほらほら、ついたついた」
「……うわぁーすごーい…」
 
それは一面の夕焼けだった…
水平線に沈む夕日…
赤い赤い夕焼けに…
赤い赤い水平線…
夕焼けが水平線に溶けてるようだった…
 
「ね? 来てよかったでしょ? 」
「…うん、来てよかった」
「今日はがんばったからご褒美。私のとっておきの場所なんだから、感謝してねっ♪」
「うん、ありがと…」
「さて、と今日はもう帰りましょっか」
「うん…ねぇ、またここに来てもいいかな…?」
「ん? 気に入った? そうね〜、私が教えたんだから、私もいっしょじゃなきゃダメよ」
「うん、わかった、じゃその時は誘うよ…」
「うんっ♪ じゃほんとに帰りましょっか」
 
しかし、今日は泳ぎで4往復か…明日は筋肉痛だな…
そんなことを考えながら帰り道を行くと、やがて彼女が話し掛けてきた。
 
「あ、私こっちだからじゃ〜ね。 ってついてきちゃダメよ?」
「んなストーカーみたいなことするか」
「そう? じゃ明日ね」
「うん、また明日ねって…もしかしてまた王様ゲームするの?」
「え? しないの? まぁ私は勝ったからいいとして〜君、負けっぱなしでいいの? ほんと〜にそれでいいの〜?」
「……(完全に、意図的に、挑発してるよな)」
「…ん? どしたの?」
「あ、いや、君も暇なんだなーっと思ってさ」
「悪かったわね、どうせ君も暇なんでしょ?」
「ま、そうだね。じゃ明日も暇人同士なんかするとしようか」
「うん、うん、じゃそういうことでまた明日バイバイッ!」
「うん、それじゃ」
 
しかし、不思議な娘だったなあ…
家に帰った僕は布団に就きながらそんなことを考えていた。
お互いのこと何も聞かないで、なんてねぇ。
ま、だからこそこんなに楽しかったのかな。
しかし、今日は疲れた…明日も負けたら何言われるかわかんないな。
明日は、勝ってやる。 絶対勝ってやる。 しかし…こっちが勝っても見返り少ないんだよな…
まぁ…あんなこと言ったけど、かわいいってのは当ってるからいいか…


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