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Original Novel
keita Presents



夏休み


第4話

第二ラウンド(前半戦)



昨日…待ち合わせたつもりは無いけれど、なんとなく海への道を行く。
そーすると…まぁ、昨日の分かれ道で彼女の姿を見つけたんだ。
彼女はピョンピョン飛び跳ねながら、こっちに向かって手を振っていた。
 
「あ、来た来た〜、こっちこっち」
「やぁ、おはよう」
「うん、おはよ! さて、今日はちょ〜っと歩くわよ」
「はぁ、まぁ…どこへ行くのやら…」
「行けばわかる、行けばわかる、さ、行こ行こ」
 
僕らは、二人で歩いてた…
行けば解るって言って、行き場所は教えてくれないんだよね…
何も話さないわけにもいかないのでなんか話題を振ってみた。
 
「ねぇところでさ、ほんとに何も教えてくれないの?」
「え? なにが?」
「いや、名前ぐらい教えてくれてもいいんじゃないかなーとか…」
「ほうほう、ちょっと私に興味がわいてきたっということかな?」
「ん…いや、別にそういう訳じゃ…」
「えーそうなの〜じゃ、教えてあげませ〜ん。どうしても知りたいっ!って言うなら考えたげる」
「…どうしても知りたい。(…まぁ、言うだけならタダだしな)」
「へーそうなんだー、んーと…どうしよっかな〜? はい、考えた、ダ〜メ」
「…ウソツキ…」
「ちゃんと考えたわよ、で、ダ〜メ。ま、知りたかったら私に勝ってね〜、あ、ついたついた、ここ、ここ」
「ここ…?」
 
それは、ちょっとした山だった。…控えめに行ってもちょっとした丘…か?
 
「そ、この山登って先に頂上についた方の勝ち。あ、心配しなくてもこの道は一本道のハイキングコースだし三十分くらいで着くから。ルール説明は以上! それではよーい…」
「ちょっとまった! スタートは僕が言う」
「ん? ははぁ、昨日のことでちょっとは成長した、というわけね。 まぁいいよ。どうぞ、どうぞ」
 
…なんだ、この余裕は? まぁ一本道なら抜かれなきゃ勝ちだ。
昨日と同じことして負けてもばからしいからな…
 
「それでは…よーいスタート!」
 
…ダッ…
 
ほとんどスタートは同時だった。
ほほぅ、勝負かけてくるだけあって結構早いな。けどそれはあくまで女の子にしては、だ!
 
…ダダダダダダダダッ…
 
ほら、ちょっとスパートかけたらもう見えなくなった。スタートさえ同じだったらこんなもんだろ。
ま、あとは抜かれなきゃ勝ちだ。ゆっくり行くか。
 
…タッタッタッタッ…
 
ん〜しかし後ろ、姿見えないけど…まぁいいか。そろそろ頂上かな…ってあーーーー!?
 
「お〜い、遅いぞ〜待ちくたびれちゃったよ〜」
 
…頂上に彼女がいた。
 
「……なんだよ、なんだよ、なんで一本道で抜かれてないのに君が先に来てんだよ!」
「えー、だーって私まっすぐ頂上目指したんだもん。あんなグルグル回り道のハイキングコースなんて歩いてらんないよ〜」
「……人にはその道しか教えないくせに…」
「え? あれ〜あの道走ってきたの〜もしかして『抜かれなきゃ勝ちだ!』とか『姿見えないじゃん、余裕、余裕〜』
とか思ってたりしたの〜あはは、ざんね〜ん」
「……(思ってたから何も言えない…)」
「ま、というわけで今回も私の勝ちねっ♪」
「…インチキ…」
「えーまぁ、負け犬の遠吠えは放っといて〜さて、こんどは何してもらおっかな〜」
「…(クソゥゥゥゥゥゥゥゥ)」
「あ、どっちにしろもうお昼だね。ご飯食〜べよっと」
「え、そういえばもうそんな時間…って君なんでお弁当なんか持ってきてるんだよ」
「へ、あれ? 君、食べるのなにも持ってきてないの?」
「だれかさんが行き先も言わずに連れてきたんだろ…」
「あ、そうだったね〜。 んじゃしょうがない、私の分、わけてあげる」
「タダで…?」
「うん、うん。いい所に気がついたね。まぁ、君には後でいろいろやってもらうし、その時に『お腹がすいてできませーん』なんて言い訳封じとくためにも、ほら、食べて、食べて」
「…やっぱ、いらない…」
「あー、もう口付けちゃったんだからだめだよ。 全部食べてよ〜」
 
お弁当ねぇ…しかし…なんかこのお弁当…
女の子の割にはたくさん入ってるなぁ。
ま、この娘ならこれくらい食べてもおかしくないか。
それに割とおいしいし…そうだ。
 
「…ねぇ、このお弁当、君が自分で作ったの?」
「え? なんで?」
「ん、いや、おいしいなーっと思ってさ」
「そう、ありがと」
「ってことは自分で作ったんだ。(人は見かけによらないな…)」
 
ゆっくりとした、お昼のひととき。
ハイキングかピクニックに来たみたいだな…
…ま、こんなのもいいかな。


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