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Original Novel
keita Presents



夏休み


第5話

第二ラウンド(後半戦)



なんだか解らない、ピクニックか、ハイキングか。
ま、どっちでもいいけどね。
そんなお昼も食べ終わって、後は帰るだけ…なのか…?
 
「さて、ご飯も食べ終わったし、な〜にしてもらおうかな〜」
「……(やっぱ憶えてたか)」
「ん〜って言ってもこんなとこですることないし帰ろっかなぁ〜」
「ちょっとまて、それじゃここに何しに…」
「え? 何しに…って勝負付けるためと、お弁当食べただけで十分じゃない。
あ〜なるほど〜まだ何かしたいと言うわけね〜それじゃ…」
「いや、別に何かしたいわけじゃ…」
「あ、よし、これに決〜めた。私、ハイキングコース歩いてないからそっちから帰ろっ。
た・だ・し、君が私をおぶって帰ること〜」
「…冗談でしょ…?」
「本気」
「…………」
「本気だってば」
「……考え直す気は…」
「そんなの無〜い」
「ほんとに僕が君をおぶって帰るの…?」
「ん、なに? 不満? あ、もしかしてちょっと意識してたりして〜 えっちぃ〜」
「…んなことないけど…」
「なら問題無いでしょ。それに、君に拒否権は無〜い。というわけで、ほらこっち来て座った、座った」
 
…どこまで本気かわかんない彼女だけど…どうやらどこまでも本気だったらしい。
しゃがみこんだ僕の背中にほんとにおぶさってきた…はぁ〜、あきらめて彼女に付き合うしかないか、
そう思って立ち上がった僕の背中の彼女は…思ったより全然軽かった。
 
「あ、おもーいとか思ってるでしょ〜」
「え? ううん、思ったより全然軽いんでビックリした」
「思ったよりってなによー…ひっどーい」
「うぁ…背中でバンバンあばれるなー」
 
…そんなことをしながらどうやら三分の一程来たところ…
あばれるのにも飽きたのか静かになったな、と思ってる矢先だった。
 
……フゥ〜〜〜〜
 
「ウワアァァァァァァァ!!」
「いったーい、いきなり落とさないでよ〜」
「いま何した…?」
「え、いや、ちょっと耳に息をフゥーーーーって…」
「金輪際、それ禁止!」
「そんな、真っ赤にならなくても…わかった、わかった、はい、おぶりなおし」
「…もうやんなよ…」
「うんうんっ♪ へ〜、耳が弱いんだ〜、ふ〜ん…」
 
……フゥ〜〜〜〜
 
「ウワアァァァァァァァ!!」
 
…結局、その後も何回か彼女の攻撃(口撃?)は続いた…
 
…………
 
はぁ…そろそろコースも終わりだな、からかうのにも飽きたのか彼女はさっきから静かにしていた。
おい、下までついたぞ降りろよ、と言おうとした…んだけど…寝てる…?
たぬき寝入りだろって起こそうとしたけど、どうやら本気で寝てるらしい。
さて、どうする…自分。
1.起こす>不機嫌になる>またおぶって、とか無理なこと言われる>分かれ道までうるさい>最悪
2.置いてく>明日会う>文句言われる>それ以前にいつ起きるかわかんないのを置いてくわけにもいかない
3.このままおぶっていく>分かれ道まで静か>起こしてバイバイ>とりあえず自分が疲れるだけ
…究極の選択だなぁ…いいとこ一つも無いけど、この中では3番が比較的マシか…
僕は、そのままおぶっていつもの分かれ道まで行くことにした。
しかし…人の背中で寝てんなよ…子どもじゃあるまいし…楽しそうな顔して寝てるなぁ…
こうしてると十分かわいいのに、どこからあんなにハイテンションな行動力が生まれてくるのやら…
そんなことを考えながら、いつもの分かれ道まで着いたときにはもう日が暮れかけていた…
 
「…ねぇ、そろそろ起きてくれないかな?」
「…ん〜ぅ〜…あれ? 私寝てたぁ…ここどこ?」
「グッスリと寝てた。 ちなみにここはいつもの分かれ道」
「…あ、そうか、そうか。 君におぶってもらってたんだ。
…へ〜ここまでおぶって来てくれたの。気が利くじゃな〜い」
「……まぁね(究極の選択の結果だったけど)」
「寝てる間に変な事しなかったでしょうね〜?」
「そんな恐いこと出来るか…」
「…恐いことって何よー。 ま、何もしなかったらいいけど…あ、そ〜だ。お礼にいいものあ〜げるっ☆ 目をつむって、こっち来てしゃがんでっ♪」
「…何する気…」
「ほらほら、早く、早く〜」
「…(何する気だ…まさか…もしや…この展開は…)」
「…………」
「…(なんで無言なんだー、どうしてゆっくり近づいてくるんだー、これは…やっぱりアレか…?)」
「…………」
「…(だーどーしよー! 沈黙がー、うぁーもうすぐそこまで来てるーーーー!)」
 
……フゥ〜〜〜〜
 
「ウワアァァァァァァァァァァァ!!」
「あはははは〜ちょっと期待した?」
「…う、な、なにを…」
「あはは〜やだー顔真っ赤〜やっぱりちょっとは期待してたんだ。
えっちっち〜☆ じゃ、今日はこの辺でおしまい。また、明日ね〜」
「え、あ、うん、明日ね…」
「あ、それと…今日はありがとっ♪ じゃ〜ね〜」
 
彼女は最後に一度振り返って、それだけ言うとパタパタ走って帰っていった。
それを見送った僕も…ボッーとしたままとりあえず婆ちゃん家に帰った。
 
ダメだ!ダメだ!ダメだ!こんなんじゃ全然ダメだ!
その日も僕は一人部屋で寝る前に考えてた。
今日なんか最悪だ。 全然彼女のペースじゃないか、あー思い出すだけで悔しくなる〜
なんで、あんなんでドキドキしてしまったんだ〜…
なんとかして彼女の鼻をあかしてやらないと気がすまない。チャンスはもう明日しかないぞ、
明後日には帰るんだから…う〜ん、なんかいい手はないかな〜
彼女山の抜け道とか知ってるんなら当然こっちの人だよな、 婆ちゃんに聞いてみたらそんな子の家知らないって言われたけど、
まぁ、婆ちゃんが全部の人知ってるわけでもなし…家とか知ってたら良かったのにな〜
そしたら、待ち伏せしてビックリさせるって手も使えたのに…
う〜ん唯一望みありそうなのはやっぱり最初の泳ぎ勝負か?
スタートさえ同じだったら勝てたもんなぁ…
そんなことを考えながら、僕はゆっくり眠りに就いた…


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