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機動戦艦ナデシコ original story



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第1話 始まりはやはりボソンジャンプから

by FireWind



ーー ナデシコCに追いつかれる ーー

『アキトさん! 帰ってきて下さい!! 復讐は終わったはずです』

ルリちゃんの必死の呼びかけ。
あれから数ヶ月後、俺とラピスを乗せたユーチャリスはとうとうナデシコCに補足されてしまっていた。



「火星の後継者」の件の後、ユリカが無事に救助されたのを見届けて、俺達は火星を去った。

俺は既にユリカの側にいる資格を失っている。
ルリちゃんにも別れを告げた。
後はラピスとともに火星の後継者の残党を狩り、静かに暮らすだけだ。


ラピスには一度ならずエリナに引き取って貰い、普通の生活をすることを持ちかけた。
エリナとも相談済みであり、後はラピス自身の意向次第だった。

しかし、ラピスの返事は常に同じ、「アキトの側に居る」だった。

俺の個人的な復讐の犠牲者でもあるラピスには、普通の生活の中で幸せになって欲しかった。
しかし当の本人がそれを望まない以上、俺に出来ることはラピスの願いを叶えてやる事だけだ。


そうして、俺達は火星の後継者の残党を狩り続けていた。
アカツキも俺の意向を汲んでくれたのか、ルリちゃん達には俺のことを伏せてくれている。
ブラックサレナを更に強化した「ブラックサレナ2」を俺に渡し、相変わらず飄々と会長をしている。
つい先ほど、補給したばかりの俺達は残党どもを狩り、次のところへ向かおうとしていたところだ。

そこへ、ナデシコCがやって来た。
ルリちゃんならば当然追いついてくるだろう事は予測していた。
しかし、俺に帰るつもりはない。
丁重にお引き取りねがうだけだ。
もしくは「跳ぶ」か・・・・

「君達の知っているテンカワアキトは死んだ、と言ったはずだ」
≪ラピス、ECM対策とボソンジャンプの準備を≫≪了解≫

『アキトさんは変わってなんかないです。ユリカさんも待っています。私たちの、家族のところに帰ってきて下さい』

「断る。ユリカには新しい幸せを探すように君から伝えてくれ」

『お断りします。アキトさんが幸せにしてあげるべきです』

「俺が居なければユリカをあんな目に遭わせることもなかった。疫病神が側にいては幸せにはなれない」

『私たちには幸せを下さいます。それにあの事はアキトさんに責任はありません』

「・・・・・・・いずれにせよ、君たちの元に戻るつもりはない。話はそれで終わりだ」

『駄目です。ユリカさんと約束しました。アキトさんを連れて帰ると。力ずくでも帰ってきていただきます』

「無駄だ・・・・」
≪ラピス、通信を切れ。すぐジャンプする≫≪了解。通信切断、ジャンプ準備≫


あらかじめ準備していた俺達は、ルリちゃんの予測し得ない早さでジャンプしようとしていた。

だが、ルリちゃんの「力ずく」という言葉は本気だったようだ。
ジャンプ終了直前に遺跡に対して干渉してきた。

タイミング的に非常にまずい。
このままではどこに跳ぶか分からない。

<警告! 至急ジャンプを中止して下さい。 ジャンプアウト地点不明。 警告! 至急ジャンプ中止して下さい>

オモイカネのコピー、オモイカネダッシュ(通称ダッシュ)による警報が響き渡る。
そんなこと言ってももう遅い。
後は何処かに跳ばされるだけだ。

<ジャンプアウト地点不明。 ジャンプします>

瞬間、俺達はナデシコCの前から消えた。




ーー ジャンプアウト地点は・・・・・・ ーー


<ジャンプアウト完了>

ダッシュにより何処かに出たことが告げられた。

・・・・別に生きることに執着はなかったが、無事に出られたかと思うとやはりほっとする。

「ラピス、現宙域に関する情報を出してくれ」

すぐにウィンドウが開くことはなかった。
恐らく登録してなかった場所なのだろう、データの収集でもしているのか。

しばらくして、ウィンドウが開く。

現宙域の情報

座標:X2451、Y1174、Z3944

最寄りの恒星:太陽
最寄りの惑星:水星







どうやら、太陽系から飛び出なかったようだ。
そう考えながら下へと視線を動かし、・・・・・凍った。

「ラピス・・・・・・・・このデータに間違いはないのか」
「はい。恒星と惑星の配置がデータと一致しませんでしたのですべてを実測。結果はアキトが見ているデータです」

運命の神が居るなら、そいつはずいぶんと意地悪なようだ。


俺を凍らせたのは現在の年月日。
その年月日は、俺がナデシコに搭乗する2日前を指している。



どうやら、過去に来てしまったようだ。
それも戦艦丸ごと。




〜〜 続く 〜〜




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