Back/Index/Next
機動戦艦ナデシコ original story



Reset


第3話 ナデシコ、発進

by FireWind



−− ナデシコ −−

機動戦艦ナデシコ・・・・・

装備の方は地球の船で最新鋭(のはず)
なんとも戦艦らしくないのだが、民間所有ゆえ企業イメージというものがあるのだろう。
ちなみに民間企業とはネルガル重工。
火星や月に自前のプラントを持つ大企業。

この様な軍人を馬鹿にして居るかのような戦艦だが、性能はばっちりきっちり最新鋭。
収容人員214名、核パルスエンジン4機・相転移エンジン2機を装備、中央コンピューターにSVC2027、通称「オモイカネ」を使用。リフレクター・ディストーションブレードを2機装備。
攻撃手段は「グラビティブラスト」と艦砲40門、有人機動兵器「エステバリス」。
防御手段はディストーションフィールドと呼ばれるバリアー。正式名称「スペース・タイム・ディストーションフィールド(時空歪曲場)」。

これだけのオーバーテクノロジーを民間企業が所有しているのだから、絶対怪しいはずなのだが・・・・


なお人員は、各方面から一流のプロを集めた(らしい)。
スカウト担当(というか、ナデシコ内総務統括)プロスペクター氏によれば、「人間であって腕が一流であれば他は不問です」とのこと。



現在、サセボシティにて着々と発進準備が進められているナデシコ。
なお、ナデシコのドックは軍所有のものであり、ネルガル所有ではないため、定刻通り発進しなければならない。

だから、ナデシコを動かすことが出来る艦長は絶対遅刻などしては行けないのだが・・・・
しっかり遅刻していた!!

猛スピードで爆走している一台の車。
「ジュンくん急いで急いで〜〜〜〜〜」
「ユリカ〜、何もこんな日まで寝坊しなくても良いじゃないか〜」
「だってだって、ナデシコってどんな船かドキドキして眠れなかったんだも〜〜〜ん」

いい年こいて「だも〜〜〜ん」ではない。
ユリカと呼ばれた人物、無論のことだがミスマルユリカ。機動戦艦ナデシコの艦長である。
ジュン君と言う人物は、アオイジュンという。宇宙軍の士官だったのだがユリカに惚れているので、あっさり着いてきてしまった。


さて、次へ・・・・

「馬鹿ヤロー、それはおもちゃじゃねーーんだ、さっさと降りろー」
「黙ってろ、この俺、ダイゴウジ・ガイがミラクルスーパーな必殺技を見せてやるぜ」

此処は、ナデシコ内エステバリスの格納庫。
なにやら騒がしい。

エステバリスに乗って暴れているのは、ヤマダジロウ『違うっ!! 俺の名はダイゴウジ・ガイだっ!!』
・・・・・モノローグにツッコミを入れるこの男は、魂の名前をダイゴウジ・ガイというらしい。
一見格好いいんだが、「ゲキガンガー」信奉者である。:

下で怒鳴っている整備班の男。
ウリバタケセイヤという。
良くも悪くも職人であり、腕前は一流だがやはり性格に難がある。

「ガイ・スゥゥゥーパァァァァー・アッパァァァァァー」

格闘ゲームでよく見る、「昇竜拳」のような動きをエステバリスがする。
ヒト型のロボットだけあり、人間のように動く。
・・・・ただし、完全な調整が済んでいればの話だが。

ガツン!!ガラガラガシャーン!!

案の定コケた。

「バカヤロウ、俺の大事なエステに傷を付けやがって、とっとと出てこい!!」

ウリバタケ、激怒。

「あっはっは、失敗失敗」
「おい、山田・・・・血ぃ出てるぞ」

愛想笑いしながら出てくるガイに対するウリバタケのツッコミ。
確かに流血している。
何の保護もないコックピットであれだけ派手にこければ当然だが。

「へっ、こんなのかすり傷だ。ガイ、ジャーンプッ!!」

と、飛び降りるガイ。
だが、ダメージは深刻だったのか、変な着地をしてしまい、そのまま医務室行き。
足は本来曲がってはいけない方向へと曲がっていた。
・・・うむ、痛そうだ・・・・・



とまぁ、こんなことで和やかに(?)発進準備が進められているサセボシティを、突如敵が襲ってきた。

地球側が言うところの「木星蜥蜴」だ。
この名称は、「倒しても倒しても、母艦から無人兵器が出てくる。まるで蜥蜴の尻尾のようだ」と言うところから付けられたらしい。

地上部隊が応戦しているが、全く歯が立たない。
時間稼ぎが良いところだろう。



ナデシコブリッジ

艦内に警報が鳴り響く。

「あれ、お昼の時報変えたの?」
「ミナトさんミナトさん、まだお昼じゃないですよ」

操舵士のハルカ・ミナトと、通信士のメグミ・レイナードの会話。
それぞれ、元社長秘書と元声優という経歴を持つ。
・・・いったい、何が一流なのかは不明。
確かに声優だったら声は通るだろうが・・・・

「地上にて、連合軍と木製蜥蜴が交戦中。敵の目標は、99.9999%の確率で『ナデシコ』と思われます」

冷静に現況報告をするオペレーター。
ホシノ・ルリ。
報告すべき艦長が未だ到着していないので、近くにいる大男に報告する。

大男の名前は、ゴート・ホーリー。
厳つい武闘派の軍人、と言う容貌だが、一応ネルガルの社員である。

「艦長は何をしているのだ。まったく・・・」
「困りましたねぇー、延滞料金、高いんですけど。全く、これだからお役所は・・・・」

などと、そろばん持ち出したのはプロスペクター。
ナデシコ内総務統括だが、その他の経歴が一切不詳の謎の男だ。
一応ネルガルの社員。

「敵襲!! さっさと迎撃体制に移りなさい!! 何してるのよ!!」

この、カマっぽいしゃべり方をするキノコ頭の男、ムネタケ・サダアキという。
現役の軍人だが、小心者であり、あまり好ましい人物ではなさそう。

「ムネタケ、落ち着け」

ムネタケを諫めたのは、フクベ・ジン。
現役の軍人で、ムネタケとともにオブザーバーとしてナデシコに搭乗している。

「無理です。機動不可です」

冷静なルリの報告。

「なに、どういうことよっ!!」
「マスターキー、か・・・・」
「困りましたねぇ・・・・・」

喚くだけのムネタケと対照的に、ゴートとプロスが冷静に言う。

いよいよ攻撃が激化してきたとき、ブリッジの扉が開いた。

「あれー、なんか忙しいみたいだよ」
「ユ、ユリカ・・・敵が来てるんだから、忙しいに決まってるじゃないか」
「大丈夫大丈夫! まだ壊れてないし」

当然だ。壊れていたらこんなところにいられるはずがないだろう。

「はじめまして。私はミスマル・ユリカ。ナデシコの艦長さんでーす!!」

ポーズを取り、朗らかに自己紹介。

ブリッジ要員、声も出ない。


ゴートが動く。

「艦長、遅刻の件はあとにする。ナデシコを早く発進させるんだ」
「は〜い」

軽い。
軽いわ。
これは戦艦だ、敵を倒す船よ。
なぜ・・・・

ムネタケは思考停止に落ちいっている。
静かで大変宜しい。

『マスターキー確認。相転移エンジン始動します』
「補助エンジンも動かして下さい」
「オモイカネ、核パルスエンジン始動」
『了解、核パルスエンジン始動します』

相転移エンジンは、性質上大気圏内では能力を発揮できない。
よって、補助動力を同時に動かしているのだ。

「現在の状況は?」
「これです、どうぞ」

ルリがユリカにデータを送る。
まわりにウィンドウが幾つか開く。
そのデータは、どれもがナデシコの危機を伝えている。

「うわぁ、たくさんいるねぇ〜」
「いるねぇ、じゃないでしょ、とっとと何とかしなさいよ!!」

ムネタケ、再起動。

「・・・・・」

ユリカは作戦を考えている。

「もうっ、とっとと出撃よ!!」
「それだと、木製蜥蜴に袋だたきにあいますよ」

ルリのツッコミ。

「じゃ、じゃあ、主砲を上に向かって撃ちなさい!! これで万事オーケーよ!!」
「それだと、基地のヒト、巻き添えにしちゃわない?」

今度は、ミナトのツッコミ。

「いくら役立たずとは言え、生きている味方を撃っちゃうのは・・・・」
「まずいわよねぇ」

もっともだ。

「海底ゲートから、海中へ。その後敵の後背へと回り込み、グラビティブラストで殲滅します」

ユリカの命令。

「ふむ・・・確かに、それしかないだろうな・・・・・・」

「敵を引きつける囮として、エステバリスを出します。パイロットに連絡を」

ジュンが命令を出す。
サポート役として、職務をこなしている。

「パイロット、居ません」

無情な反応。

「なに!? どういうことだ!!」

ゴートの声。

「パイロットのヤマダ・ジロウさんは、脳震盪及び骨折です」

「代わりのパイロットは居ないの!?」

ムネタケ。

「残念ですが、残りのパイロットは宇宙ステーションにて合流の予定でして・・・・・予備の方は居ません。なにぶんパイロットのお給料が高いものでして・・・・」

プロスの弁解。

「この際誰でもかまわん。エステを操縦できる人間は、おらんのか!?」

ゴート。

「先ほどから検索してましたけど、IFSを持った人間は私以外にいません」
「なら、あなたが出なさい!! このままじゃ私が死んじゃうじゃない」
「ナデシコが動かなくなりますが、宜しいのですか?」
「うっ・・・・・」

ムネタケがルリを出そうとするが、エステを出してナデシコが停止したら意味がない。
まさしく、絶体絶命。


そのとき、外部から通信が入った。

『外部から通信が入っています』

オモイカネが知らせる。

『ナデシコ、応答せよ』

若い男の声だ。
メグミが応答する。

「はい、こちらナデシコ」
『敵はこちらで相手するから、さっさと発進しろ』

SoundOnly、声のみである。

「だれよあんた、怪しいわよ」

と、ムネタケが言うが、『おいおい、あんたの方がよっぽど怪しいって』と心の中で揃ってツッコミ入れたのは言うまでもない。

『信用できないならそれでもいい。モニターで見ていろ』
「通信、切れました」

言うだけ言って通信は切れた。

「ルリちゃん、地上映して」
「了解」

相変わらずたくさんの機動兵器。
突如、何もない空間に光が発生する。
そして、徐々に何かが出てくる。

「「「あ、あれはいったい・・・・・」」」
ボソンジャンプ・・・・そんな馬鹿な・・・・・

みんなが驚く。
プロスが別の意味で驚く。

やがて、漆黒の装甲をした大型機動兵器が現れた。

そして改めて通信が入る。
今度は映像付きだ。

『あいつらは俺が片付けてやるから、さっさと発進しろ』
「あ、あなたは・・・・・どなたですか」

ユリカの問いかけ。

その問いかけには答えず、男は戦闘を開始する。

「ルリちゃん、発進準備、それと識別信号確認して」
「了解」


「識別出ました」

画面に表示されたデータは、「BST−002 ブラックサレナ2」だった。

「ぶらっくされな?」
「プロス、何か知ってるか?」
「いえ、聞いたこともありませんね。ですが、エステバリスと似ているような気がしませんか」
「そうだな・・・・」


「パイロットの情報は?」
「・・・・はい、出ました」

「A・T」

「えー、てぃー?」
「イニシャルだと思うんだけど、ユリカ?」
「あっ、そうだよねぇ」

「発進準備完了しました」
「・・・・・・」
「艦長?」
「あ、は、はい。ナデシコ、発進。海底ゲートから、海中へ抜けて下さい」
「了解」



−− ブラックサレナ −−

「80機にも満たないか・・・・なら、楽勝だな」

アキトの独り言。

『ラピス、大丈夫だとは思うが、一応警戒しておくんだ』
『わかった』

ダイレクトに会話するアキト。
もっともユーチャリスが無人兵器ごときに後れをとるわけはないのだが・・・・

(行くぞ・・・・)

心を研ぎ澄ます。


腕が、足が、身体が、そして身体全てがブラックサレナ2とシンクロする。
隅々に力が行き渡るよう・・・・。





そして、無人兵器との戦闘とも言えない一方的な戦いが始まる。







〜〜 続く 〜〜




Back/Top/Next