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機動戦艦ナデシコ original story



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第6話 搭乗

by FireWind




−− ナデシコ −−

「えー、みなさんに緊急のお知らせがあります」

ブリッジ要員のみんなに対して、開口一番こういったのはプロスだ。



無事に出航できたあと、木製蜥蜴の無人兵器がまたもや襲いかかってきた。
復活したガイが見事に囮を勤め、ナデシコのグラビティーブラストで見事殲滅。
ナデシコの圧倒的実力を示した。


「一両日中にエステバリスパイロットと予備のオペレーターがこの艦に到着します」

「しつもーん」

「はい、艦長、なんですか?」

「その人達ってどんな人なんですか?」

「変な人だったらイヤよねー」
「そうそう。副提督見たいのだったら最悪ですよね」

ミナトとメグミの主張。

この場にフクベもムネタケも居ない。
夜勤であったため、今は詰めていないのだ。


「その点はご心配なく。資料に寄りますと、パイロットが23歳の男性、オペレーターは11歳の少女だそうです」

「名前とかは教えてくれないんですか?」

「はっはっは。それは到着してからのお楽しみと言うことにしておきましょうか」

「ケチー」


「ミスター」

ゴートが呼びかける。

「をを、忘れてました。もう一つお知らせがあります」

プロスがいかにも忘れてましたというような感じでいう。


「このナデシコの目的地についてですが、今まで明かすことが出来なかったのは、妨害者の目を欺くためでして・・・・」

長い説明。

「・・・・・・と言うわけで、ナデシコは火星に向けてひとっとびする事になります」

だれも口を利かない。
あきれているのか、話が重いのか、それとも長い説明にぐったりしているのか・・・・・・・

「えー、何かご質問やご意見がありましたら、今のうちにお願いいたします」

ユリカが元気よく尋ねる。

「どうして火星行くんですか?」


ブリッジの空調が止まったかのような沈黙。


「ユリカ・・・もしかして話聞いてなかったの?」
「途中まで聞いてたんだけど、途中からぼーっとしちゃって」

てへへと照れ笑いしながらジュンに答える。
ユリカよ、充分に恥ずかしいぞ。

「要するに、火星にはネルガルの人が生き残っているかも知れないから、救出しに行くってことだよ」
「ついでにネルガルの開発データを引き上げる、と」

聞いていなかったくせに、妙に鋭いユリカ。
そう言う駆け引きがある世界に近かったせいだろう。
(つまり、ミスマル提督のやりとりとか見てきたからって事)

「いけませんねー。確かに合っていますけれど・・・・人間、察しと思いやりですよ」

と、プロスがごまかしに入る。


ユリカは、火星があるであろう方向に指を「びっ」っと指す。
そして、意気高らかに宣言。

「それでは、機動戦艦ナデシコ、火星に向かってしゅ・・・・・・・・」
そうはいかないわよ



大声で叫びながら入ってきたのは、ムネタケである。

「これだけの戦力をむざむざ火星にやる余裕は、軍にはないわ。ナデシコには軍と一緒に地球防衛の任についてもらうわ」

「副提督。ネルガルと軍で、もう話し合いは済んでいます。こういったことは困りますなー」

「んなこと、アタシは聞いてないわ」

その言葉とともに、銃を構えた十数人の男達がブリッジになだれ込んでくる。

「アタシの手のものがナデシコの要所を押さえているわ。おとなしくすることね」



−− 食堂 −−

結局、ナデシコの人員は皆食堂にたたき込まれた。
ユリカについては、父であるミスマル提督が呼んでいたので、ジュンとプロスが一緒についていった。
ジュンはユリカの護衛(?)、プロスは軍と再び話し合うのが目的であった。

「これからどうなるんだろう」

メグミが呟く。

「悪の軍隊に幽閉される正義の味方。劇的に軍をやっつけて火星に出発!! くぅーーーーーーっ、燃えるシチュエーションだ!!」

ガイはなにやら嬉しそうだ。

「艦長や副艦長がしっかり話しつけてくれれば良いんだけど・・・・・・・」

ミナトはユリカのことを考え、ついでジュンを思い浮かべる。
ユリカは父親について言っちゃいそうだし、ジュンはユリカの言うことなら何でも聞きそうだ。

「やっぱだめかも」




−− ユーチャリス、BS2 −−

『ナデシコが制圧されたようです』

ナデシコにジャンプするため、荷物を持ったBS2に乗り込んでいるアキトとラピスに、ダッシュによる連絡が入る。

「ムネタケか・・・・」
「アキト、どうするの?」

アキトはしばし瞑目し、応える。

「このままナデシコに行って、全員『処理』する」
「わかった」

「ダッシュ、じゃ、またな」
「またね」
『お気をつけて』


「ラピス、跳ぶぞ」
「うん」


「ジャンプ」

瞬間、BS2は光とともに消えた。






−− ナデシコ、エステバリス格納庫 −−

ここには普段たくさんの整備員が詰めているのだが、今はナデシコ内を制圧したムネタケの手勢が2人ほど居るのみである。

突如、格納庫に光が現れる。

ムネタケの部下達はびっくりしたがすぐ気を取り直し、銃を構え警戒態勢を取る。


やがて現れたのは、大きな荷物を持った黒い機動兵器。
ナデシコ発進時に現れた、BS2であった。


「あ、あれは・・・・・・」
「まずいな。俺が行くから副提督に連絡をしろ」
「わかった」

1人はムネタケに連絡をし、もう1人が警戒しながら近づく。


BS2は荷物を下ろし、停止時の体制を取ると活動を停止した。
コックピットが開くあたりに銃を向け、油断なく近づく。


ガツッ!!

と、後ろからいきなり攻撃される。
為す術もなく一撃で落ちた。

連絡を取っていたものには見えたことだろう。
BS2に近づいていった男の後ろにいきなり現れた黒マントの男が、一撃を入れるのが。
急いでそのことを伝えようとしたその男も、同様に倒された。


「ラピス、大丈夫だ。もう降りてきて良いぞ」
『アキト・・・・出られない』
「ん、あ、そうか。済まなかったな」

BS2の操作方法や、開閉のスイッチが分かっても、とにかく降りる動作自体が出来ないのだ。
このあたりも体格の問題だろうか。

「よ・・・・・っと」
「ありがとう」

何とかナデシコに降り立った二人。

(懐かしい・・・・・か。そんな感情などとうになくしたかと思っていたが)
『アキト、どうする?』

考え事をしているアキトに、ラピスが声を掛ける。

「とりあえずこいつらの戦闘力を奪って置いて、ブリッジと食堂、それに繋がる通路を使えるようにする」


アキトは、懐の銃を確かめながら、そう言った。




−− 食堂 −−

「?」

「どうしたんだい?」

ウリバタケが変な顔したことに、ホウメイが気づき、声を掛ける。

「いや、銃声みたいなのが聞こえたような気が・・・・したんだが・・・・・・」

ウリバタケは、機械整備をしているだけあって耳が非常に敏感である。
異常動作の音など、絶対に聞き落とさないのだ。

「気のせいじゃないみたいだよ。あたしにも聞こえたからね」




ガーン、ガーン


ガスッ、ベキッ


ズルズル・・・・・・



タッタッタッタッタッタッタ・・・・・・・・・・・・



ガイーン、ガイーン


バキャッ、ドスッ・・・・






「あれ、静かになった」

「俺が見てこよう」

ゴートがそう呟き、食堂を出る。




ゴートはまずブリッジに向かう。

懐にはもちろん銃を潜ませている。


今更こそこそしても、この体格では見つかるのが落ちなので堂々と歩いてゆく。


ガーン・・・・・

再び銃声。

ゴートはより慎重になりながらも、ブリッジへと急ぐ。



−− ブリッジ −−

「アキト、これで全部」
「ふぅ、終わりか」


アキト達はムネタケの部下達を片端から『処理』していった。
そして、ブリッジにいるムネタケとその部下3人を今『処理』したところだ。



シュッ

エアーの抜けた音。
扉が開いた音だ。

「貴様・・・・・何者だ」

ゴートが銃を突きつけ、アキトに詰問する。

アキトは別段臆した風もなく、平坦に応える。

「今日付けでナデシコに乗ることになったパイロットとオペレーターの予備だ。俺はテンカワアキト、この子はラピス・ラズリだ」

「証拠は?」

「ほら、内部のパスとコミュニケだ」

ゴートは銃を突きつけたまま調べていたが、やがて銃を下ろした。

「どうやらお前の言っていることは正しいようだ。信用する」

「艦内にいたムネタケ及び地球連合軍の奴らは全員『処理』した」

「殺したのか!?」

流石に正面切ってやり合うつもりはネルガルにはない。
殺しはまずい。

「殺しては居ない。だが、身ぐるみ剥いで海にたたき落とした。運が良ければ生きているだろう」

アキトがそう言う。
本音では死んでいて欲しい。
どうせあの軟弱なムネタケが生き延びられるとは思っては居ないが。


ゴートはじっとアキトを見ていたが、やがて口を開く。

「乗務員を解放する。お前達はそこで待っていろ」

「俺達は格納庫で待って居る。荷物があるからな」
「そうか。では体制が整い次第、呼びに行く」

そう言ってゴートは食堂へ、アキトとラピスはBS2のところに向かった。

アキトが「ここで待っている」と言わなかったのには訳がある。
ウリバタケさんだ。
ナデシコを救った謎の機動兵器があると分かったら、真っ先に飛んでゆきかねない。
なにされるか分かったものではないから、前もって見張っておくのだ。

なお、持ってきた荷物というのは以下のものである。
1.着替えなど生活用具
2.BS2用の武器やパーツ、取扱説明書など
3.ユーチャリスとの連絡手段(コミュニケとは別)
4.CC(あまり必要はないが、念のため)
5.アキト用の武器や防具、ナノマシン調整機器など

荷物の中では、BS2の装備の類が一番の大荷物である。
CCについては、アキトが単体で跳躍するときに必要なため持ってきている。
BS2搭乗時はジャンプフィールドを機械的に作れるのでCCは必要ない。
かつてマキビ・ハリを月まで運んだあの機械の小型化されたものである。
アキト用の武器や防具は、鉄甲弾の銃やブラスター、特殊素材の鎧やマントの替えなどである。
なお、人用のディストーションフィールドは、鎧にその機構が組み込まれており、防御能力を高めている。





〜〜 続く 〜〜


改訂について

BS2の武器などについて変更しました。
反物質(アンチマテリアル)は威力が凄すぎて、また実際に使用するには難しいという事実を、理論的に説明して下さった方がおりまして、私自身も「確かにやりすぎかな」と思いました。
よって、BS2の武器に変更を加えました。
これに伴い、第6話〜第8話に掛けて改訂を行いました。

また、とあるリクエスト(詳細な意見付き)をいただきまして、少々Resetを変える可能性がでてきました。
本筋としてはラピス×アキト、そのままです。
そう、分岐して話を作ることにしました。
別の流れとしてならばルリ×アキトも可能です。
私自身ほんとはルリ×アキト属性の人ですから・・・・






〜〜 続く 〜〜




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