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機動戦艦ナデシコ original story



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第8話 宇宙へ

by FireWind




−− 格納庫 −−

「ウリバタケさん、一応これを渡しておくよ」
「なんだそりゃ」

”知恵蔵”のような分厚い本を渡すアキト。

「BS2の整備仕様書だ」

いくら近くても、未来の整備班の人間に整備をしてもらうのだから、仕様書を渡しておかないと壊される危険性があるため、「アキトが整備するときのため」に渡された整備仕様書を渡しておこうというのだ。

「おいおい、舐めてもらっちゃこまるぜ。俺達だって一流の整備士だ。
 昨日存分にばらさせてもらって、しっかり勉強させてもらったぜ」

「なにっ!!」

振り返ってBS2を見るアキト。
全く変わった様子はない。

(セイヤさんが一流だって知ってはいたが・・・・・底が知れないなぁ・・・・・・)

「ま、俺様の発明の足しになるかもしんねぇし、訳わかんねぇ機械もくっついてたからな、有り難く借りとくよ」



アキトがこんな所でうろうろしているのは、そろそろデルフィニウム隊が出張ってくる頃だからである。


以前はジュンが先頭立って襲ってきたものだが、今回は最初から副長として乗っている。
デルフィニウム隊も素人の上官に振り回されることなく全力で迎撃してくるだろう。



”副提督がこんな所にいて良いのか”というとても心温まるツッコミもあるかも知れない。
しかし、どうせ名前だけの副提督であり、助言しなくても大抵のことはユリカが考えられるだろう。

それに、今もアキトのことを諦めていないユリカと顔をあわせ続けて、ばれない自身がない。
細かい癖などは恐らくそのままだろうから。


ラピスにはブリッジに残ってもらった。
表向きは「オペレーターの予備として、後学のためにブリッジで勉強してもらう」ことだが、アキト個人の理由として、ブリッジでの情報を逐一知ることや、ナデシコの雰囲気に早く慣れてもらうことがある。
通信を介していたのでは間に合わない場合もあるだろうし、何より一緒にBS2に乗りたがりでもしたら大変だからである。
それに、ブリッジの面々はいわばナデシコを染め上げる”朱”であるから、ブリッジにいた方が早く慣れるだろうということ、同じ年代のルリがいれば、何か感じるところがあるかも知れないということだ。



『総員第1種戦闘態勢。地球防衛網を突破します。繰り返します。総員・・・・・』

(時間だ・・・・)

アキトはすぐさまBS2に乗り込んだ。
BS2には変形機能があり、追加の部品無しで高機動モードと通常戦闘モードに変形自在である。
特別な追加フレームは必要ないのだ。
もっとも、元々BS2自体追加装甲なのだが・・・・・・・


そして出動の時を待つ。





−− ブリッジ −−

「敵機確認」

ルリがそう言ったあとすぐに、レーダーが映ったスクリーンが拡大表示された。

「デルフィニウム9機。直上より接近中」


「メグちゃん。エステバリス発進させて」
「はい。デッキ、エステバリス発進して下さい」

その指示に、すぐに通信が帰ってきた。

『ブリッジ、テンカワだ。BS2発進する』

アキトからの通信。
ガイはまだ発進準備中らしい。

『こらぁ! まてぃ、1人だけ先にでていいかっこしようったって、そうはいかねぇぞ』

準備が終わらないガイが文句を言う。

『ガイ、これは遊びじゃない。戦闘、殺し合いなんだ』

「ヤマダさん、副提督のいうとおりです。これは真面目な戦いなんですから、今は敵を倒すことだけを考えて下さい」

『艦長!! 俺の名前はダイゴウジ・ガイだ!! 間違えるなっ!!!』

「テンカワ機、発進しました」

ルリの報告。

『なにぃ!! 準備は・・・完了!! ダイゴウジ・ガイ、発進するぜ!!!』

先に出てゆかれたことに対抗意識を燃やし、準備が終わるやいなやすぐに出ていった。


「敵はデルフィニウム9機です」

『問題ない。すぐ終わる』
『まて! 俺にもやらせろ〜』

アキトとガイが何か言い合っている。

<アキト、敵が三角形で来ている>
<有り難う、ラピス>

アキトは話を打ち切り、迎撃に移る。

「敵、接近してますよ」

ルリがぼそっと言う。

その言葉はラピスの”会話”とほぼ同時であった。





−− 外 −−

(行くぞ!!)

アキトは全意識をBS2制御と、敵殲滅に傾ける。
出力が一気にMAXまで上がる。

変形するまでもなく、猛スピードで敵に突っ込むBS2.


「こらー! 俺にもやらせろ!」

そう叫びつつ、ガイの機体が後を追うように敵に向かってゆく。


(こいつら相手なら武器はいらないな。素手で充分だ)


BS2はディストーションフィールドを全開にして猛スピードで突っ込む。
ミサイルなどモノともしないディストーションフィールド。

デルフィニウムはミサイルを斉射後、散開して回避しようとするが間に合わなかった一機が呆気なく撃墜される。

後ろからの反転攻撃に気を向けていた敵のうち一機が、ガイが拳に収束させたディストーションフィールドでうち砕かれる。


あとは一方的な戦いである。

圧倒的な機体性能を誇るBS2が正面から相手の攻撃をモノともせずに攻撃し、そちらに気を取られている隙にガイも敵を倒す。

残った3機が、せめて一方だけでも倒そうと、ガイに向かって突撃してくる。

「おっ! くるか。 必殺ゲキガン・シュートをお見舞いしてやるぜぃ」

無茶な迎撃をしようとするガイ。
きちんとフレームを付け替えていなければ、機体の方が壊れてしまう。
ほぼノーマルの空戦フレームでは・・・・・


「往生際の悪い・・・・・」

アキトは仕方なくラピッドライフルに似た銃を取り出し、敵を撃つ。
呆気なく爆発、四散する。
これは、ラピッドライフルではなく、弾丸にディストーションフィールドを張っているのだ。
相手がディストーションフィールドを張っていても十分効果があるのだ。
名前はDライフルと言う。
・・・・まぁ、この場合デルフィニウムがディストーションフィールド張っていたかは定かでないので、もしかすると意味はなかったかも知れないが・・・・


このとき、ガイに当たる可能性は考慮しなかった。
当てない自信があったからだ。

「このやろー、せっかくの見せ場取りやがって!!」
「戦闘は終わりだ。とっとと帰ろう」
「まて! 話は終わっちゃいねえぞ」

<アキト! ミサイル>
<何! 衛星からか>
<うん。14発>



−− ブリッジ −−

「第2防衛ラインの武装衛星に補足されました。ミサイル接近中。数は14です」

「両機、至急ナデシコに帰還して下さい」

ユリカの鋭い指示。

『今こいつに説教して・・・・・・・・』
『ついでだ。全部撃ち落としておく』

ガイの言葉を遮り、アキトが言う。



−− 外 −−


「ガイ、ここは俺に任せて、先にナデシコに戻っていてくれ」
「まだ話は終わっていないぞ!!」
「ミサイルが来る。素手では打ち落とせないだろう?」
「ちっ! 話はあとで聞いてもらうからな」

(そんなに目立ちたいのか?)

既にゲキガンガーを離れたアキトにとって、正義を掲げて敵を倒すなどということは興味にも値しない。


迫り来るミサイル。

アキトはDライフルでミサイルを点射した。


ミサイルの数はたいして多くなかったので、余裕を持って迎撃できた。


爆発四散するミサイル。





Dライフルはマシンガンタイプの、トリガー引きっぱなしでいくらでも弾が出る武器である。

マシンガンによる点射は、軍人の訓練としてカリキュラムに含まれているため、それほど奇異な行動ではない。


ただ、それをエステバリスで行うアキトはやはり熟達したパイロットであるといえる。



−− ブリッジ −−

「ミサイル、全部撃墜。
 第1防衛ライン、ビッグバリアまであと1500です」

ルリが内心”何者ですか、副提督は”と思いながら冷静に報告する。
その思いはブリッジの各員が持っていたモノだが、今は戦闘中なので自重する。

・・・・しばらく経つ。

『ブリッジ、相転移エンジン、臨界点いったぞ』

ウリバタケの嬉しそうな通信。
真空地点に到達したのだ。

「ディストーションフィールド全開。バリアに接触」

「バリアに接触します。艦内のみなさん、衝撃に備えて下さい」

艦内通信のすぐあとに艦に振動が走る。

ビッグバリアとディストーションフィールドが接触したのだ。


この振動の中、ブリッジに人が入ってきた。
アキトだ。

ラピスは揺れる足下に気をつけながら、アキトに近寄る。
”駆け寄る”とラピスでは転んでしまう。
・・・・・・誰でもそうかも知れない


「アキト、お疲れさま」
「ただいま」

揺れの中で何にも捕まらずしっかりと立っているアキト。
そのアキトに捕まっているラピス。


揺れは収まった。
ビッグバリアを抜けたのだ。


「戦闘終了。総員警戒態勢に移行。おつかれさま〜」

最後で気の抜けた挨拶をするユリカ。






(次は”月”か)



後書き

どうも。
今回のBS2の兵装につきましては、感想を頂いている或る方のご助言を参考にさせていただきました。
これからも新兵器は出ます。
別の漫画などのパクリですが・・・・・・・

次回もお楽しみに

・改訂について

BS2の武器などについて変更しました。
反物質(アンチマテリアル)は威力が凄すぎて、また実際に使用するには難しいという事実を、理論的に説明して下さった方がおりまして、私自身も「確かにやりすぎかな」と思いました。
よって、BS2の武器に変更を加えました。
これに伴い、第6話〜第8話に掛けて改訂を行いました。




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