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機動戦艦ナデシコ original story



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第9話 避けられない死

by FireWind




−− 食堂 −−

アキトはラピスと食事をとっている。
ラピスはごく普通の定食セット、アキトはCレーションおよびビタミンジュースを食している。

「ちょっと、あんた」

ホウメイがそんなアキトに声を掛けた。

「なんですか」
「あんた、食堂に来てそんなもの食っているなんて、アタシに喧嘩でも売っているのかい」

要するに、わざわざ食堂まで来ているのに、自分の料理ではなくCレーションを食っているので、料理にプライドを持つホウメイとしては許し難い行動と言うことだ。

「別に、そう言う訳じゃない」
「なら、どういうつもりだい」

ホウメイの口調に力がこもる。


「これでも昔はコックを目指した。ホウメイさんの言いたいことは分かる。
 だが、俺は味覚を感じられなくなったんだ。
 味が全く分からないヤツが料理を食うのは、料理に対する冒涜だ。
 だから、食べないんだ」

「そうかい・・・そいつはすまなかったね。
 だったら部屋で食べりゃあ良いんじゃないかね」

「俺もそう思ったが・・・ラピスがな」

「あの娘がどうかしたのかい」

「ラピスは俺と同じものを食べたがるんだ。
 ラピスはまだ子供だ。
 成長期の子供が俺と同じ食事ではいけないだろう。
 だから食事に付き合っているんだ」

「ふ〜ん。そんな話を聞いちゃあアタシもこれ以上何も言えないねぇ」

「そう言うことなんだ。すまない」

「いいって。アタシこそ悪かったね」


その間ラピスは何をしてたかというと・・・・

(骨・・・・・)

定食の魚と格闘していた。






−− ブリッジ −−

「パイロットとエステバリスを補充するため、ナデシコには月のネルガルドッグに寄港していただきます」

ビッグバリアを突破してしばらく後、プロスがみんなにそう説明した。
ちなみに、この場にはアキトとラピスは居ない。
ブリッジの遅番であったので、今は勤務時間ではないのだ。
なお、二人が同じ廻りなのは、保護者・被保護者という二人の関係を考慮した結果である。

「サツキミドリ2のコロニーではなかったのか?」

ゴートがプロスに聞く。
当初からスキャバレリプロジェクトを知っている者からすれば、この事は予定とは違うのだ。

「はい。当初はその予定でしたが、木製蜥蜴の襲撃があった場合、コロニーでは防衛しきれないと言うことで、月の方に引っ越したのです」

「で、どんな人達なんですか」

メグミが尋ねる。
まぁ興味は尽きないだろう。

「はい。後の楽しみが有りますので、詳しくはお教えできませんが・・・3名のパイロットはみなさん女性の方です。
 勿論パイロットとしての腕は一流です」

「な〜んだ、男の人だったら良かったのにな〜」

メグミ、がっかり。

「男の乗務員でしたら、結構乗艦してますよ」

珍しくルリが言う。

「ルリちゃん、それじゃダメなの。だって、格好いい人はいないじゃない」

「副提督のテンカワ君なんかどう? ハードボイルドしてて結構良い線行ってると思うけど」

ミナトが言う。

「確かに格好いいんですけど、何となく取っつきにくいと言うか・・・・
 なんだか艦長とか副長よりも軍人みたいって言うか。
 それに、ラピスちゃんでしたっけ?
 あの子、いつもテンカワさんにべったりですし、なんだか間に入りにくいって言うか・・・」

「副提督はラピスちゃんのお父さんみたいなもの何じゃないのかなぁ?
 本人もそう言ってるし・・・・・」

ユリカがそう言う。
とりあえず諦めていないとはいえ、ラピスとの関係については素直に信じていた。

「艦長、甘いわね。
 実の父親でないからこそ、歯止めがないんじゃないかしら。
 本当の親子でも、ああまでべったりじゃないと思うわ」

「そうですか?
 私のお父様、私にべったりでしたけど・・・・・」

流石にユリカも、コウイチロウの行動が少し行き過ぎとは認識していたらしい。
もっとも嫌とは思っていないようだが。

最初に話を振ったルリは、横で話を聞きながら考えていた。

(テンカワさん。(本人から、役職名よりこちらの呼び方の方が良いと言われました。名前でも良いといってましたが、何となく名字で呼んでます)
 オモイカネのデータベースで調べたけど、殆どのことは「不明」か「未確認」だった。
 まだ数回しか話したこと無いけど、他の人とはちょっと違う感じがします。
 艦長も、メグミさんも、ミナトさんも、ナデシコのみなさんは私と普通に話してくれます。
 でもあのテンカワさんは少し違うみたいです。
 ラピス(本人が呼び捨てで良いと言っていました。私も呼び捨てで良いと言いましたが)の、私と同じ子供の保護者をしているからでしょうか・・・)


「じゃあ、副長なんかどう?」

話がややこしくなったので、再びミナトが言う。

「う〜ん、副長はかわいい感じで結構良い線ですけど、もう売約済みじゃないですか」

「あ、それもそうね」


本人が居る前でこれだけ言われるアオイジュン君、耐えるんだ。
そのうち幸運の星が巡ってくる・・・・かも知れない。


「え〜っ!! メグちゃん、ミナトさん、ジュン君って好きな人いたんですか?」

ユリカが声を上げる。

(もしかして、艦長も副長のこと好きなのかな)
という考えがブリッジの面々によぎり、ジュンは心の中でガッツポーズをした。

「そうだと思うけど」

「ジュン君!! なんで今まで教えてくれなかったの!?」

「い、いや・・・だって・・・」

「もっと早く教えてくれれば、私、断然、応援したのに!!」


((((・・・・は?))))

「あ、あの〜〜〜」

「それにしてもナデシコに好きな人が乗ってるなんて、すごい偶然だね。
 大学で知り合ったの? だったら私も知ってる人だよね。
 教えて、教えて〜〜〜」

ユリカは1人で突っ走っている。

「・・・・・・・・・・・・・」

ジュンは独り、塩の柱となり完黙してしまった。

「ふ、副長・・・・・かわいそうねぇ・・・・・」

ミナトがかろうじてそう呟いた。

「副長、大変でしょうけど頑張って下さい。応援してますから」
「まぁ、若いうちはいろいろあるものですから、気を落とさずに」

メグミが励まし、プロスはジュンの肩を叩いて元気づける。

はい、ありがとうございます・・・・・でも、慣れてますから・・・・

肩を落としつつ、そう呟く。
背中どころか全身から哀愁が漂っている。

嗚呼、哀れ!!





−− 展望室 −−


食事を終えたアキトとラピスは、展望室に来ていた。
特に用事もなかったが、なにしろアキトの後をラピスが着いてまわる、と言うか、アキトと一時も離れたがらないので、部屋に居続けるわけにもいかず、ここまで来ているのだ。

(これじゃあいけないよな)

アキトはそう思う。
せっかくラピスの情操教育、心の成長のためにナデシコに乗ったのに、これではユーチャリスの時と一緒である。

訓練などで時間を潰して、他の人と接する機会を与えても良いが、その間、ラピスのことを任せられるのはブリッジ勤務の女性陣か、食堂のホウメイさん達くらいだ。

どちらも仕事で忙しく、ラピスの相手などをしている暇はないだろう。

(リョーコちゃん達が来れば、もう少しましになるだろうな。
 そう言えば、もうすぐだ。
 前はサツキミドリ2が襲撃されたが、今回は大丈夫だろう)


「ラピス、ナデシコで俺以外と話したことはあるか」
「ルリと少し・・・あとは向こうから声を掛けるだけで私は何も話さない」

(ルリちゃんと話したのか・・・・
 ・・・多分、仕事としてなんだろうな・・・・・)

「もう少し他の人と話したりしないのか」
「私はアキトが側にいればいい。アキトとずっと居たい」

(思ったより俺に依存してしまっている・・・・・・・
 どうするか・・・・・・・)


突然ウィンドウが開く。

『テンカワさん、ブリッジに来て下さい』

「何かあったのか」

『月のネルガルドッグが木製蜥蜴の襲撃を受けています。
 その他詳しいことはブリッジで』

「分かった、すぐにいく」

『・・・では』

モニターのルリは、ラピスに視線をついと向けたが、すぐに切った。

「ラピス、いくぞ」
「分かった」



−− ブリッジ −−


アキトとラピスがブリッジに到着した。

「状況は」

「月、ネルガルドッグ上に戦艦及び無人兵器が出現。
 最近隣のチューリップより現れたと思われます。
 現在エステバリス0G戦フレーム3機が交戦しています。
 月面設備の60%が破壊、死傷者は現在不明です」

(なんてことだ! これじゃあコロニーを引き上げさせた意味が無いじゃないか!!)

「艦長、どうする」

内心を押さえながらユリカに尋ねるアキト。
提督であるフクベは殆ど口を出さないので、文字通り置物状態だ。

「・・・・・チューリップ破壊を優先すれば、後背より敵戦艦による攻撃を受け、挟撃される可能性が有ります。
 現在出現している敵を殲滅してから、チューリップへの攻撃を行います。
 進路、月面ネルガルドッグへ。
 並びにエステバリス発進準備」

ミナトが操舵し、メグミは館内放送で戦闘配備を放送する。

「ラピス、ここに居るんだ」
「・・・・・・・わかった」

BS2に一緒に乗りたいが、明らかに戦闘の邪魔となることが分かっているのでブリッジに残るラピス。




−− 月面上空 −−

「くそー!! 数が多すぎるぜ!」

「このままじゃあジリ貧だね〜」

「ジリ貧・・・・・・貧乏な尻・・・・・略して尻貧・・・・・ぷぷっ、くくくくく・・・・・・・」


多数の無人兵器と戦闘をしながらも余裕の有りそうなこの3人。

言うまでもないが、スバルリョーコ、アマノヒカル、マキイズミである。


数日前、コロニーサツキミドリ2から月ネルガル基地への避難が行われた。

『サツキミドリ2が襲撃される恐れ有り。至急月ネルガル基地へ避難せよ』

上からの通達だ。
勿論だれも死にたくはないので、速やかに月への避難は行われた。

しかし、現に襲われているのは月である。
まるで地球側の行動を把握でもしているかのようである。


巡洋艦は一隻だが、無人兵器の数が尋常ではない。
その数2500。
普通であれば間違いなく殲滅させられている。

ところが、ナデシコに搭乗する予定のパイロット3人は、スカウトの方針でもある『腕が一流で人間であれば、他は全て不問』のとおり、一流とも言える腕前で、無人兵器相手に善戦していた。

だが、いかんせん敵の数が多い。
3人は敵を倒して身を守ることで手一杯。
とうてい月面上の設備までは手が回らない。
ナデシコ発進時のサセボほどではないにしても、相当の被害が出ている。

今のところ巡洋艦と無人兵器約500は、チューリップへの航路を確保しているため戦闘に参加していない。
そして機体の性能差がある。
おかげで全滅は免れているわけだが・・・・・



刹那、巡洋艦と無人兵器が爆発・四散する。


「誰だ!!」


ナデシコの登場である。
グラビティブラストで離れていた巡洋艦および無人兵器の一群を攻撃。
殲滅したのだ。

残りの無人兵器に対しては、乱戦のために援護できない。
ここからは機動兵器の出番。


おらおらおら〜〜〜、ダイゴウジ・ガイ、参上だ〜〜〜〜〜〜!!!

ガイが全周波数で叫びまくっている。
勿論3人組にも声が届く。

「援軍か!? よっしゃあ!!」

「助かったぁ〜〜〜〜〜」

「参上・・・・・・・返すとジョウさん・・・・・ジョウさん参上・・・・・・くくくくくくく・・・・・・」


やたらめたらにライフルを撃ちまくりながら無人兵器を追い回すガイ。
数が多いので一応有効な手ではある。

そして一直線に下方に向かって爆発が走る。
アキトのBS2だ。

アキトは、月施設の方へと向かっていた。
上空はほっといても大丈夫だろうが、施設の方は防衛設備など無いに等しいのだ。

漆黒のBS2は高機動モードで無人兵器の中を駆け抜け、回避できなかったバッタが何体も破壊される。

目の前の敵に手一杯の3人組は、爆発が起こった先を目で追うことで、はじめてBS2に気が付いた。


「何だぁ・・・あの黒いヤツは・・・・って、よっと」

考え事をしていても、確実に敵を屠る。
確かに一流だ。




「・・・・・・・・・・・」

アキトは無言だ。
やはり考え事をしているのだが、口になど出せない。
うっかり誰かに聞かれでもしたら面倒が起こる。

(本来死ぬべき者は助けられないと言うのか・・・・・・・?
 ならば、ガイは・・・・・・・・・)


高速飛行をしながら、照準を確認せずにトリガーを引く。
一見ガイと同じように闇雲に撃っているだけのようだが、全て命中させている。
勿論月施設に当ててなどいない。

後ろから接近してきたバッタに裏拳を一発。
破壊されるバッタ。



そうこうしているうちに、敵の数も少なくなってゆく。

「よし・・・・ラストだ」

月面近くの最後のバッタを破壊した。
ほぼ同じ頃に、上空の方も片が付いたようだ。



「テンカワよりナデシコへ、作戦終了した。BS2、これより帰投する」
『了解しました』

<アキト・・・ご苦労様・・・・・>
<・・・・・・・・・・・・・・ありがとう、ラピス>


最初の沈黙がアキトの心情を表していると言えよう。






−− 月・ネルガルドッグ −−


「やぁ〜〜〜〜助かった助かった」

「ホント、まさにグッドタイミングよね」

「命拾い・・・・イノ チヒロの胃・・・・イノチヒロ胃・・・・・・・・・・」

活字でしか分からないような駄洒落を飛ばしているのが約1名いるが、丁重に無視。


「はじめまして。ワタクシこういう者です」

と、戦闘で疲れ切った3人にプロスが名刺を渡す。
なんでここにいるかというと、ナデシコが入港したからである。

あれから、ナデシコはチューリップへと向かい、グラビティブラスト一発で片を付けてから、パイロット引き受けのためにドッグに入港したのだ。


「プロスペクター・・・・?」
「本名ですか?」
「いえいえ・・・・ペンネームみたいなものでして・・・・・」
「一流の悪霊・・・・プロ・スペクター・・・・・・・・・」

「あなた達がスバル・リョーコさん、アマノ・ヒカルさん、マキ・イズミさんですね」

「ああ」

「いやはや・・・・知ってはおりましたが素晴らしい腕前ですね。私たちとしても大変心強いです」

「そう? 照れちゃうな〜〜」

「え〜、後2時間ほどしましたら発進しますので、荷物などがありましたらお早めに運んで下さい」


なお、エステバリスは既に搬入済みだ。
どこからともなく整備員の一団がやってきて、バラバラにしたあげく、持っていってしまった。
恐らく格納庫では既に組立が完了して、いろいろいじっていることだろう。
・・・・・搬入とは呼べないかも知れない。


プロスペクターが去ろうとした背中に、リョーコの質問が投げかけられる。

「おい、あの黒いヤツは何なんだ!?」

振り返ってプロス。

「は? 当艦のパイロットが操縦している機動兵器ですが?」

「そうじゃねぇって。あれもエステなのか?」

「いえ・・・・あの機体は個人所有の私物です。搭乗していたいパイロット、テンカワアキトさんの物です」

「テンカワ、アキト?」

「ま、乗艦なさればお会いできるでしょうから、話は本人にどうぞ。では・・・・」

プロスはとっとと行ってしまった。
ネルガルの基地であるゆえ、何か用事でもあるのだろう。




−− ブリッジ −−

「ルリちゃん」

ブリッジに戻ったアキトは、ルリに声を掛けた。

「はい、何でしょうか」

「今回の被害について詳しいデータを出してもらえるかな」

アキトは前と変わらない結果なのかが気になるのだ。

「分かりました。どのデータから出しましょうか」

「死傷者のデータをお願いできるかな」

「はい」
『オモイカネ、今回の襲撃での死傷者のデータを出して』
『わかりました。・・・・・・・・・どうぞ』

ウィンドウが開いて死者・負傷者の数が出る。
何処で被害を受けたかまで出ている。

「・・・・・この被害者の中で、サツキミドリ2から避難してきた人達の数字だけ出してくれるかな」

「はい」
『オモイカネ。サツキミドリ2に所属していた人以外をフィルターで落として再計算して』
『・・・終わりました。どうぞ』

新たに開かれるウィンドウ。
そのスクリーンには、サツキミドリ2からの避難人数・今回の襲撃での死傷者が表示されている。

(最悪だ・・・・・・・・・)

サツキミドリ2からの避難者の死傷者数は本来の7割と言うところだが、月ネルガルドッグにいた人数を合わせると前と全く変わらないか、更に悪い数値となっている。

<アキト・・・・・・>
<・・・・・・大丈夫だ>

そんなアキトにラピスが声?をかける。
アキト限定とは言え、ラピスが人を心配してくれるということに、アキトは少し慰められる。

「ルリちゃん、ありがとう」
「いえ」

(テンカワさんはどうしてこんなことを知りたかったのかな。
 別に分けなくても同じだと思うんだけど)

ま、普通はそうだろう。




−− 展望室 −−

再び展望室に来ているアキトとラピス。

アキト自身が部屋にいたくなかったため、今回も来ている。


沈黙を破ったのはメグミである。

「あっ・・・テンカワさん・・・・お邪魔しました・・・・・」

「メグミちゃん、別に邪魔じゃないよ。俺達の方が出ていこうか?」

「いえ・・・・特に用事があったわけではないですから」

「・・・・・・何か悩んでいるのかい」

過去の経験から、メグミが人の死について悩んでいることを知っているアキトは、話を聞いてあげようと思って聞いてみる。

「・・・・・・・・・・」

「俺もちょっと気が滅入ってたんだ。
 ここの人達のことを助けられなかったからね・・・・」

メグミが話しやすいように、自分のことを少し話す。

「・・・私、ナデシコに乗るときに、戦艦に乗るって、戦争をする物に乗るって分かっていました。
 いえ、分かっているつもりだったんです。
 でも、実際に人が戦ってたり、人が死んだりしているのをみて・・・・・」

「怖くなったのかい」

「・・・・ちょっと違うと思います。
 ブリッジのみんなは、人が死んだりしても、全然動じていないんです。
 そんなところで私、お仕事続けられるかなって・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「ルリちゃんやラピスちゃんだって、全然平気みたいなのに・・・・」

「それは違う」

「何が違うんですか!?」

逆ギレするメグミ。

「艦長達は覚悟して、割り切っているからだろうな」

「覚悟?」

「戦争である以上人は必ず死ぬ。
 人の死でいちいち落ち込むぐらいなら、自分の立場と権限、そして充分に検討した作戦でなるべく被害を少なくする事を考えているのだとおもう。
 トータルで人死にが少なくなることが最良の結果だからな」

「私、そんな風に割り切れません!!」

「なら、艦を降りることだ。割り切らないままでいれば気が変になる」

アキトは突き放す。

「・・・・ラピスちゃん、ラピスちゃんは平気なの?」

「うん。アキトがいるから」

「・・・テンカワさんが好きなの? 好きな人がいるから平気なの?」

「好き・・・・? 私はアキトが好き。私はアキトと・・・・ムグムグ」

「メグミちゃん。 割り切れないのなら、誰かを助けるため、人を助けるために乗っているって考えればいいと思うよ。
 じゃ、俺達は先に失礼するよ、じゃ」

ラピスの口を押さえて疾風のごとく退出するアキト。
呆然とするメグミ。




<ラピス! 人前であんな事言うな!!>
<あんな事?・・・私はアキトの目。アキトの耳。アキトの手。アキトの足。私はアキトと一つ。違うの?>
<いや・・・・・違わないが・・・・・・・表現がまずいんだ>
<??>
<とにかく、人前でそれを言うのは禁止!>
<どうして?>
<どうしてもだ>

(こういうところも何とかしないと)













テンカワアキト。

かつて復讐に生きた漆黒の王子。






彼の悩みは多い。




〜〜 続く 〜〜




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