原作『行殺☆新選組ふれっしゅ』 2002.LiarSoft

 

北辰一刀流大決戦!

 

 

 

その客を最初に見たのは、巡回から帰ってきた原田と永倉だった。

 

「おーい、へー」

 

中庭でほんわかとお茶を飲んでいた藤堂、そして島田。

 

「あー、アラタさん」

 

「お前に逢いたいって客がいたぞ」

 

「わたしに?」

 

「今、トシさんに面通ししてるわ」

 

原田が云う。

 

「なんで?」

 

「知らないわよ」

 

首を傾げる島田に、彼女は興味なさげにそう云った。

 

「ったく‥‥ま、いいか。顔出してみるんだろ?」

 

「え‥‥うん」

 

島田に引っ張られるようにして、藤堂は広間へと向かった。

 

 

 

「お、来たか二人とも」

 

「二人とも? ってどういうことですか」

 

「別に他意はない‥‥一緒に来ると思っただけだ」

 

土方はそう云うと、藤堂たちに背中を向けている客人に向き直り、二人を紹介する。

 

「あれが藤堂平です。隣の男は島田」

 

「なんで俺だけ苗字ですか」

 

「下の名前なんか忘れた」

 

「‥‥」

 

「はは‥‥まあまあ」

 

藤堂がそう云って島田をなだめ、客人に挨拶した。

 

「あの‥‥わたしに用事って?」

 

「始めまして! 私、北辰一刀流の使い手を捜していたんです!」

 

「は? はあ‥‥」

 

「というわけで、藤堂さん!」

 

「は?」

 

「私と勝負してください!!」

 

「‥‥はい?」

 

 

 

いつの間にか道場に来ていた。

藤堂と客人は共に真剣を手にとって向かい合っている。

藤堂は頭に疑問符を浮かべながらぼうっと立っており、対する客人は両目を閉じて精神統一をしているらしい。

 

「あの、土方副長?」

 

「なんだ平隊士の島田」

 

「‥‥えっと、あのお客ですが」

 

「北辰一刀流の皆伝者だそうだ‥‥強敵だぞ」

 

「‥‥私闘は禁じられているはずでは」

 

━━新選組諸法度第五条・私の闘争を禁ずる。

これへの違背に対する罰は唯一つ‥‥切腹。

 

「これは私闘ではない‥‥私が認めた」

 

「近藤さんは?」

 

「訊いても結果は変わらんと思うが?」

 

そうかもしれない。

面白そうだし、いいんじゃない、で済ませてしまいそうな人だ。

 

「じゃあ‥‥なんで真剣なんですか?」

 

「そうじゃないと本気が出せないそうだ、あの客人」

 

「いや、道場で本気出されても困る気が」

 

「いちいちうるさいと切腹だぞ」

 

「理不尽な‥‥あれ?」

 

「今度は何だ」

 

「あのお客さん‥‥名前は?」

 

「ああ‥‥云ってなかったか?」

 

「いえ一切」

 

「そうか。彼女は━━」

 

そのとき、客人がぱっと目を開け、こちらを向き直った。

 

「私は江戸華撃団花組・真宮寺さくらです!」

 

「えどかげきだん?」

 

藤堂が口を開く。

 

「我々江戸華撃団は、幕府を転覆させようとする怪僧・天海を打ち破るため、日々敵と戦っているのです!」

 

「‥‥なんで天海が幕府を転覆させなきゃならないんだ?」

 

「なんということだ!」

 

至極冷静な島田の隣で、土方が大声を上げる。

 

「副長?」

 

「江戸でもまた、キンノーに対し戦い幕府を守ろうとする人々がいたとは!」

 

「そういう問題なんですか?」

 

「何を云うか虚け者! いうなれば彼らは我々の同志だ!」

 

「そりゃそうかもですが‥‥天海って幕府の人間じゃないですか‥‥」

 

「黙れ! これ以上物語を不条理にさせたいか!」

 

「もう遅いと思います」

 

「打ち首だ!」

 

「何故!」

 

 

 

「大丈夫か、へー?」

 

斬馬刀を抱えたまま、藤堂は不安げな顔をしている。

島田が声をかけると、無理やりの笑顔を浮かべ彼を見上げる。

 

「なんか‥‥よくわかんないうちにこんなことになって」

 

「仕方ないよ」

 

「そればっかだな、お前」

 

「だって仕方ないじゃない」

 

「そうかもしれないけどさ‥‥そういえば」

 

「?」

 

「この前使ったあの技は?」

 

「おーか?」

 

「そう、それ」

 

「ダメだよ、あれは」

 

「どうして?」

 

「向こうのほうが本場だから」

 

「本場?」

 

「破邪剣征桜花放神━━!!」

 

「ぎゃああ!」

 

「誠!」

 

「やった‥‥やりました、見ていてくれましたか大神さん!」

 

「しかもそこまで話進んでるんだ‥‥だったら天海とか死んでるはずじゃ」

 

「誠‥‥無理しちゃだめだよ!」

 

「心配するな‥‥お前を残して死んだりしない」

 

「誠‥‥」

 

「へー‥‥」

 

「次はあたいだあっ!!」

 

「わっ‥‥アラタさん?」

 

「へー‥‥心配するな、島田の仇は絶対あたいが!」

 

「勝手に殺すなよ‥‥」

 

「ハンマーですか‥‥相手に不足無し!」

 

「よく云った! あたいは永倉新、新選組副長助勤だ、行くぞ!」

 

「てぃやあああ!!!」

 

 

 

「ついに沙乃の出番のようね」

 

「あれ、アラタさんは?」

 

「云わないで! ‥‥悲しくなるから」

 

「また被害者増えてるのか」

 

「原田沙乃、大槍の原田! 行きますっ!」

 

「望むところです!」

 

 

 

「ごほごほ‥‥」

 

「そんな無理して出てこなくても」

 

「いいんですおにいちゃん‥‥私たちは時代の流れに逆らって‥‥滅び行く運命にあるのだから」

 

「でもしかし、そーじなら勝てるかもしれない! ていうかあの真宮寺? とかいう女の強さは何なんだ‥‥?」

 

「愛ね」

 

「うわ、カモちゃんさんまで‥‥大砲どうするつもりですか」

 

「もちろん!」

 

どーん、どーん。

 

「あー‥‥道場が‥‥ていうか屯所が‥‥」

 

「ごめんねぇ、オチ考えてなかったみたいだから勝手に壊しちゃった」

 

「書き手の都合で出てこないでくださいよカモちゃんさん」

 

「えへへー。惚れた?」

 

「何故!」

 

「そっか‥‥誠は芹沢さんがいいんだね‥‥そうだよね‥‥」

 

「待て待て待てっ! 顔面蒼白にして悲しい声を出すな!」

 

「大神さん、見ていてください!」

 

「もうアンタは帰ってくれ!」

 

 

 

 


 

あとがき。

 

ただ「おーか」のネタをやりたかっただけです。

とはいえ、さくらの技名が漢字で書けなくなってネット徘徊したんですがね。

いやー、他人に見せたくないくらい今の自分でもダメダメだってわかってるんですよ。

ただ、「これから巧くなる(予定)」ので、そのさきがけとして。

 

芹沢「だからわざわざアタシを霊界から呼び戻してくれたんだ」

━━なにあとがきに出てきてるんですか。

芹沢「いいじゃんいいじゃん、どうせあとがきすらまともに書ける技量ないんだし☆」

━━☆とか付けられてもすごく惨めなんですが。

芹沢「けどさー、世間的には“なんで今更行殺?”って気分じゃない?」

━━それを云わんでくださいな。

芹沢「びみょーにマイナーなものばっかり持ってるんだね」

━━こういうところに良作が隠れているものなんです。

芹沢「云うわねえ。一般的な良作なんて手も触れたことない人が」

━━確かにLeafも雫だけだったしってそんなこと話すために来たんですか芹沢先生。

芹沢「んーん、別に。アタシは大砲どっかんどっかんやれれば充分よ☆」

━━だから☆なんて付けられても‥‥あ、そうか。芹沢先生は寂しがりやだから。

芹沢「火星ぐらいまで飛んでみる? カモちゃん砲マーク]で」

━━ごめんなさい。