Back/Index/Next
Original Novel



The promised world


第三話 仕事の後

by 鳴海優





「エル、風呂沸かして、先に入ってくれ。俺はエリックに報告があるから」
 俺の言葉にエルは頷いて、バスルームの方へ入っていった。
 俺も荷物を下ろし、廊下の電話に手をかける。受話器を手に取り、数桁の番号をプッシュする。耳障りなコール音が三度ほど続いた後、落ち着いた男の声が出た。
「もしもし」
「俺だ。依頼は完了した」
「そうか。相変わらず仕事が早いな」
「…」
「事後処理は約束どおりこちらでする。心配するな。…あと、報酬はどうする?」
「お前の都合がいいようにしてくれ」
「…ふむ、では日を改めて、食事でもどうかな?あぁ、店はこちらで予約しておこう」
「分かった。何時にする?」
「せっかちな奴だな。まぁ、落ち着け。そうだな…、こっちの予定が立ち次第、連絡させてもらう。あぁ、忘れずにお前んとこのかわいいお嬢ちゃんも連れて来いよ。では、また」
 そのままエリックは電話を切った。
「…」
 相変わらずよく喋る奴だ。
 エリック・ウィンストン。俺がこの世界に入ったときから、何かと面倒を見てくれた奴だ。今の俺があるのは彼のおかげと言っても過言ではない。今は、俺に仕事を斡旋してくれている。彼とはもう十年近い付き合いになるが、彼について俺が知っていることはほとんどない。
 得体の知れない奴ということ。
 信頼できる奴ということ。
 たったそれだけ。
 王室関係者とも聞くし、そこらのただの金持ちとも聞く。ただ、彼の回す情報は確かなものしかなかった。
 エルがシャワーを浴びる音が聞こえてくる。
 しばらくはゆっくりとできそうだ。

第三話 終




Back/Top/Next