Back/Index/Next
Original Novel
NODOAME Presents



歌姫


第11話余談

神の第一回弁論



「議題。神楽祐一」
「奴め、何を考えている」
「生徒を一人手駒にし、それを利用してまで中心と干渉するとは……」
「その生徒の方は、どうします?」
「いずれは消さねばなるまい」
「あるいは、『柱』になってもらうことになるでしょうね」
「真実を知る者は少数でいい」
「神楽。奴はいささか危険なようだ」
「だが、『グングニール』と接触できたのは奴だけだ。殺すわけにはいかん」
「そうだ。今更、アリスの手を借りる必要などない」
「時計は、既にその意味を喪失してしまっているのさ」
「この世界に必要な振り子はひとつだけだよ。後にも先にもね」

「議題。羽鳥優歌」
「世界の中心。唯一、真なる者」
「夢の番人か」
「所詮は偽善者だよ。本人にその意志があろうがなかろうが、ね」
「しかし意外だったのは、その力だな。まさか、あれほどのものとは……」
「彼女がその気であれば、いつでもこの世界を壊すことができように」
「無理、なんですわ。彼女も、元は聖女」
「世界の中心ですらも、『ユミル』の人形に過ぎぬというわけか……」
「人形」
「その力も、徐々に弱まっているようだ」
「彼女らが『苦痛』と呼んでいる、アレかね?」
「あんなものは苦痛ではない!」
「理解できるものじゃないんだよ」
「子を産み落とす母の痛み」
「命の痛み」
「それを理解しているのは……」
「アリス、だけだ」

「議題。アリス=リアルライズ」
「どうしてそこにいるのか……」
「何故、我々に語りかけるのか……」
「いつも彼女は泣いている」
「翼は空を、あんなにも飛びたがっているのに」
「その嘆きは届かないんだ」
「時計」
「意味をなくしたもの」
「最後の痛みを抱える女」
「優しい女」
「……だが」
「価値などないのだよ」

「何も、できないのだから」



Back/Top/Next