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Leaf Visual Novel Series Vol.2 "Kizuato"



柏木家のカレンダー


柏木家の紅葉 その6

by 森田信之



 

 

「はい、耕一お兄ちゃんあーんして」

「い、いいよ自分で食うから」

「だめっ!あーんするのっ!」

「……(^^;)

倒れた翌日の昼からさっそくこのありさまだ。

千鶴さんは仕事、梓と楓ちゃんは学校。で、いまだに学校が閉鎖中の初音ちゃんと、家から一歩も出られない俺だけがここに居る。

薬を飲んで一晩寝たせいか、ずいぶん楽になった。急に立ち上がったりするとさすがにフラフラするけど、普通にのんびりとすごす分にはまったく差し支えない。

しかし、二人きりとは言えこうもかいがいしく看病されると、ちょっと申し訳ない気もするな。

「はい、あーん」

「……あ、あのさ初音ちゃん…」

「うん?どーしたの?……美味しくない?」

「いや、すごく美味いよ。で、でもさ……」

初音ちゃんの料理はかなり美味い。千鶴さんの2500倍くらいは美味いだろう。でも一口一口全部「あーん」をやられるとさすがにちょっと恥ずかしい。…いや、かなり……

「手が使えないわけじゃないんだから、自分で食えるよ」

「いいの。耕一お兄ちゃんは何もしなくていいんだよ。私がなんでもやってあげるから」

おいおい、女の子が「何でもやってあげる」なんて言っていいのか?

「それじゃせめてちょっと外に出るくらい…」

「それはだめ。またひどくなっちゃうよ」

「何でもやってあげるって言ったのに?」

「だ、だから……その…」

うーん、と困った顔をしてしまう。

これ以上この子を困らせてもしょうがないかな。やっぱり今日は一日家の中で大人しくしてよう。

「うん、わかった。大人しくしてるよ」

「うん。……ねえ耕一お兄ちゃん、何かして欲しい事ない?」

「へ?して欲しい事?」

「うん。何でもいいよ」

…困った。ここでの「何でも」は「常識的な範疇での『なんでも』」だからなぁ。真っ正直に、本当に「何でも」頼んだりしたら大変な事になり兼ねない。……うん、まぁ俺だって男なわけだから、そういう○○○なことや、○○を○○○○て、さらに○○○な○○を○○で○○○○○○させたりしたら…なんてことも考えるわけだ。

「あ、あのねぇ初音ちゃん、女の子が軽々しく「何でもしてあげる」なんて言っちゃだめだよ」

「?」

だめだ。俺が何を言いたいのか理解してくれてない。

「…俺が言いたい事、わかる?」

「ううん(きっぱり)」

…はぁ……やっぱり…(T T)

まぁいいや。初音ちゃんはまだあんまりそーいう事に興味なさそうだし、俺一人が変な事考えても無駄だな。

「それじゃさ、今日おやつに初音ちゃんが作ったプリン食いたいな」

「うん、いいよ。あとレアチーズケーキも作ろうか?ちょうど今クリームチーズがあるから、すぐ作れるよ」

「ほんと?それじゃそれも」 

「他に何か食べたいもの、ない?」

「うーん……特にないなぁ」

何だ、結構健全な会話が出来るじゃないか。気負ったりしなかったら別に難しい事じゃないんだな。

その後、初音ちゃんが夕食の買い物に出かけるまで、のんびりとおやつを食ったりテレビを見たり、くだらないお喋りに花を咲かせたりと、まるで本当の兄妹のように自然にすごした。

そして時計の針が午後五時を指した頃だ。

「あ、そろそろ晩御飯のお買い物行かなきゃ」

「ん?もうそんな時間?」

「うん、この時間に行けばちょうどタイムサービスだから」

「ふーん……」

そうか、今日は初音ちゃんが晩飯の買い物するんだ。

俺はどうしようかなぁ…

@どうせ「一緒に行くよ」って言っても「だめっ!」って
 言われそうだから、大人しく家で待ってる。

Aこのまま一人で家にいても暇そうだし、
 一緒に買い物に行く。

Bそう言えば夕べ風呂に入ってなかったから、
 初音ちゃんが出かけてるうちにシャワーを浴びる

Cしばらくのんびりして、
 買い物終わった頃にでも初音ちゃんを迎えに行く。




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