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Wizardry The Curse of Ancient Emperor



極悪忍



Nobuyuki Morita Presents


 

――地下組織ってこんな感じかな――

 

ダンジョンには本当に変なやつが多い。他の冒険者をはじめとして、聖書を売りつけようとする友好的なクレリックや、色仕掛けで迫るソーサリス、ダンジョン内にパチンコ玉やバナナの皮を敷き詰めてるセコい盗賊などなど。

しかし、今目の前にいる奴等はそれとはレベルが違う。危険だ。余りにもデンジャラスだ。

「あ、あの…ロア様……」

といってマルチも俺の後ろに隠れようとする。長い耳がすっかり下をむいて垂れてしまったようだ。

気がついたらすっかり囲まれている。数的にはこないだのグレーターデーモンよりも若干少ないが、まだあいつらの方が良かったような気がする。

「……それ以上近づくと首と胴が離れることになるぞ」

「ふふふ、やってみたまえ。この日頃の鍛練プロテイン飲料筋肉増強剤で鍛え上げたボクの肉体に歯が立つと思うならね」

と、誇らしげな表情で暑苦しいポーズを取る。

そう、こいつらは「リルガミン・アニキ倶楽部」という、あからさまに怪しい集団だ。別名「筋肉友の会」ともいう。こいつらは常に友好的で、要求を飲めば絶対に危害は加えない。だが、その要求というのは絶対に飲みたくない要求だ。

「さぁ、無駄な抵抗は止めて、君も僕らの倶楽部にはいって、この美しい肉体を手に入れてみないかい?」

ニヤリと笑った口から異常なくらい白い歯が出る。

こいつらは当然鎧も着けない。見苦しいビキニパンツ一枚で、武器は当然オノやハンマーという力任せの武器。宿でのうわさでは、最近の会員不足に悩んだこいつらは強硬手段に出たそうだ。それがこれ、という訳か。

「マルチはそこにいろ。足手まといだ」

「…は、はい…(ほっ)」

しかもこの集団、全員が高レベルな戦士で構成されている。当然強い。

だがそっちの方が好都合だ。最近ザコとしか会ってないんでストレスがたまってたんだ。ここらで一気に発散させるか。

「ん?なんだね?ひょっとして僕らと戦おうというのかい?止めたまえ、無駄なことだよ。無駄無駄無…」

言い終わらないうちに最前列の男の首が転げ落ちる。その光景を見て後ろに控えていた十二人の暑苦しいヤローどもがどよめく。そして一気に殺気立った。各々が自分の武器を構える。

「…久しぶりに使うか……何ヶ月ぶりかな」

腰に差した刀を抜いた。レベル上げをしていたダンジョンで見つけた妖刀、マサムネ・ブレードだ。いつもは素手で首を刎ねてたが、これならずいぶんと効率がいい。やっぱりデキる男は道具も超一級品を持たないとね。

鞘からゆっくりと刀身が姿をあらわした。

「マルチ、これ持っとけ」

「え?あ、はいっ」

鞘をマルチに渡して片手で刀を構える。ダンジョンの暗がりの中でなお黒く輝く刀身。短めの刃が一瞬だけ光った。

最後列にいたはずの男の首が四つ落ちる。前列にいた奴等はまだ俺が背後に回ったことに気づいていないようだ。鈍い奴等だな。

「いいかぁマルチ!呪文ってのはこう使うんだ!」

マサムネを持っていない方の手で「気」を集める。小さな声で詠唱を続ける間も、筋肉ダルマどもは動けないでいる。それもそのはずだ。強力な結界をはったからな。中から外に出ることはできない。

「ロ…ロア様ぁ〜!ままままさかその呪文ってぇ〜!?(>o<)

「わははははーっ!弱ぇやつぁ死ねぇ!!ティルトウェイト!!

空間的に完全に分離している結界内外の間で分子の転移が起こり、原子核が陽子と中性子に分離する。俗にいう核分裂反応だ。その熱が半径たったの5mの空間に凝集されるんだ。とんでもない熱さだろうな。

約一分間の爆発の後、結界があった場所にはもう何も存在しない。すべてが蒸発したみたいだ。

「…私のティルトウェイトより……すごいです…」

「当たり前だ。大体おまえティルトウェイト使えないだろうが。年期が違うんだよ」

「でもどーして忍者のロア様が…?」

「こう見えても元大魔道師だからな。僧侶もやったことあるぞ」

「……………」

「…今お前『似合わないなぁ』とか思っただろう?」

「いいいいいいえ!そそそんな事無いですぅ!」

「何だったら身体に聞いてやろうか?

「…えっ!?こ…こんな所でですか?」

「……冗談だ。早く行くぞ」

とりあえずはこれで「リルガミン・アニキ倶楽部」は消滅だな。…ちっ、慈善事業なんかしちまった。俺の主義に反するな。ボランティアと慈善事業、募金と署名だけはしないって決めてたんだが…まぁいいか。

「おいマルチ、デュマピック」

「は、はいっ……えーと、今いるのは地下8階みたいですね」

「なるほど。…ってそんなこたぁ解ってんだよ!どこに階段があるか判らんのか?」

「ごっ、ごめんなさいっ!え、えーと……あれ?階段…階段は?……階段ちゃーん?

「はぁ…もーいい。今日はもう帰る。今日も帰ってお仕置きだからな」

「…はぁい……(ぽっ)」

 


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