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Wizardry The Curse of Ancient Emperor



極悪忍



Nobuyuki Morita Presents


 

12

黄泉の国へようこそ♪

 

「……やってくれたな、ヤシャ」

「し、仕方ないじゃない。それにほら、ここって来たこと無いところかも…」

「んなわけあるか。おいマルチ、デュマピック」

「は、はいっ。………あれ?」

「ん?どーした?また「階段ちゃーん」は無しだぞ」

「い、いえ……あれぇ?…うーん…?」

「どーしたの?何か変なところでもあった?」

「ここ…来たこと無いです。全然地図が出ません」

…とゆー事は、偶然の産物にせよ未知の領域に来ることが出来たわけだ。しかもとんでもないところに。

通路の奥から漂ってくる気配。はっきり言ってとんでもない霊圧だ。グレーターデーモンなんぞ比較にならんほどのバケモンがうようよしてる。こういう危険には敏感なマルチはさっきから俺の服の裾をつかんではなそうとしない。

「…来たか」

通路の壁が突然壊れた。いきなりの団体さんだ。

グレーターデーモン合計16匹、レッサーデーモン8匹、それに…

「…リッチまでいるのね」

ヤシャが腰に差した剣をゆっくりと抜く。

「御大層な団体さんだな。悪魔系とアンデット系のお偉いさんが勢揃いってわけか」

と、俺もマサムネとムラサメを両手に構える。そんな状況にあって、マルチはすっかり萎縮してしまったようだ。足がガクガク震えている。目も焦点が合ってない。

「心配すんなマルチ。おれたちは何もしないでいい」

せっかく構えたマサムネとムラサメを鞘に納めた。それを見てマルチが訳の分からない顔をしている。

「え?え?……え?」

「見物だ。まぁ終わるまでおとなしく見とこうか」

不意にグレーターデーモンが咆哮した。それが合図になる。

ヤシャの剣、ガラスはその切れ味から、今まで何百という持ち主の命を吸い取ってきた。そういう意味ではこのムラサメとマサムネも共通する魔剣だ。ただ、純粋に切れ味という面で言えばガラスの方が上かもしれない。その証拠に…

あっはははは!どうしたのボーヤ!どんどんいらっしゃい!!

などといいながらさっきからバッサバッサと敵を切りまくっている。さっきまで脅えていたマルチも呆気に取られている。どうやら俺の出番はなさそうだな。

最後の一匹はリッチだった。アンデッド系の中でも最強の魔物だ。が、どうやらガラスを持ったヤシャの敵じゃないみたいだ。

うふふふふ…一瞬でにしてあげる……

といって剣を構えているときのヤシャの目はすでにイってしまっている。

くわよぉ動かないでねボーヤ♪

じわり、とヤシャが間をつめる。リッチがあたふたと後ろへ下がるが、壁にぶち当たってしまった。かわいそうに、あのリッチもヤシャの餌食になるのか。

「はぁっ!」

リッチとガラスは触れてはいない。間合いが長すぎる。が、何とリッチの後ろの壁が少しずつズレていく。そしてリッチの背中が上からゆっくりと裂けていった。

あまりのスピードのため、衝撃波は後ろへとつきぬける。ヤシャの得意技だ。

ここまで約3分。一昔前なら「カップラーメンが出来る時間だねっ♪」とでもいおうものだが、いくら作者のセンスが5年遅れているとはいえ、本当に書くほどひどくはないだろう。(………)

「片付いたわね」

「結構かかったな。どうしたんだ?」

「…こいつら、強いわよ。このフロアにいる連中は例外なくこうだと思っていいかもしれないわね」

「なるほど、それじゃかえって好都合だ。少しはいい運動が出来るかな」

と、一つ目のドアを開けたとき、どこからともなく声が聞こえてきた

蹂躪せよ!

「んー?」

この世界を我が物とするのだ!

突如、目の前で何かが爆発したような、そんな衝撃が襲う。

前を見ると、六本の腕に三つの顔を持った、今まで見たこともないモンスターが立っている。風格と威厳からして、そこらの三下のやられキャラじゃない。

「……トライアスか…」

異国の古代聖典ではアシュラとかいう名前でも呼ばれているらしいが…まさかこんな所で出るとは…

やつは六本の腕それぞれに剣や斧、ナイフや槍を持っている。そのどれもが一級品だ。

「よし、こいつは俺にやらせてもらおうか」

「ちょ、ちょっとロア!」

「お前はさっき暴れただろうが。マルチを頼むぞ」

ゆっくりとムラサメとマサムネを構える。久々に本気を出せる相手に巡り合ったようだ。

ほう、小童が…少しは出来るとみえる

「ふん、小童と呼ばれるほど若くはないんでね」

ならばその自慢の剣でワシを斬ってみるがいい…

「遠慮なくそうさせてもらうよ」

間合いがじわりと詰まる。あと半歩で剣が届く。

若造の分際で…身の程を知るがいい!!

トライアスの六本の腕が同時に六方向から襲い掛かってくる。

「ロ、ロア様ぁ!」

そのうちの四本が俺様を捕らえた…ようにみえただろう。

ぬぅっ!?ざ、残像!?

「かかったな!秘術・影縫い!!

ポケットに入れていた特殊な手裏剣をトライアスの影に投げる。

なっ…?何…?何だこれは…う、動かん…?

「せめて奥義で葬ってやる!食らえ!血走り!!

多分トライアスの目には十本の腕が見えたことだろう。それくらい速いスピードで突きを繰り返す。そのすべてがトライアスのからだに突き刺さっていった。

舞い上がる血しぶきが霧のようにダンジョンを染める。

わずか数十秒の出来事だが、それでもここのフロアの住人のレベルの高さは十分感じ取れた。

「どう?」

「確かに強いな。今までピカ一だ。マルチには荷が重いかも知れん」

「で、でも……私一人じゃ帰れないです」

「だろうと思ったよ。いいか、お前はこの先ずっと隠れてろ。戦闘に参加しようなんて考えるな。いいな?」

「は、はいっ」

そして歩を進めたとき、またしても景色が歪んだ。


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