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Tactics ONE short story



後日譚


〜椎名 繭〜

by keita



きょうは、みゅーとあう日だ
みゅーがそつぎょうのおいわいをしようって言ってくれた
みゅーのともだちの、みゅーのおはかをつくってるときにあった
やさしいおねーさんもつれてくるって
みゅーのがっこうであった、みゅーのしっぽのおねーさんも
つれてくるんだって
みんなでまゆのそつぎょうのおいわいをしてくれるんだって
 
…ピンポーン…
 
「はーい、どちら様ですか?」
「あ、どうもこんにちは。 えっと椎名いますか?」
「あ、はいはいあなたね。 繭の言うみゅー君って。」
「は? えっと俺は折原浩平って…」
「あ、違うのよ。 繭がね、帰ってきていつもあなたの事話してくれるの。
『きょうねみゅーがね…』とか『みゅーといっしょにねこうえんいったんだよ』とか
いっつもあなたの事ばかり聞かせてくれるの。 だからうつっちゃったみたいね…」
「あ、そ、そうですか。」
「ありがとうね、浩平君。 あの時あなたが繭をいっしょに学校に行かす、なんて事
言っていなければあの子が自分から人のことを話すなんて無かったと思うわ。」
「いえ、そんなこと…」
「ううん、ありがとうね、浩平君。 これからも繭と仲良くしてやってね…
それはそうと、繭呼ぶんだったわね。ちょっと待っててね。」
「あ、はい。 おねがいします。」
 
…トタトタトタトタ…
 
かいだんのおとがする
おかあさんかな?
へやにはいってきたのはやっぱりおかあさんだ
 
「繭、あなたのみゅー君が来てるわよ。」
「みゅーがきてる…うん、すぐ行く」
「あ、ちょっと繭。待って。」
 
おかあさんがまゆの手をつかんだ
 
「ほら、もうちょっと奇麗にして行きなさい。洋服もこれに着替えて。」
 
おかあさんがまゆのかおをふいてくれた
さっきおかし、たべてたからよごれてたのかな
そしておかあさんがだしてくれたふくをきた
 
「はい、もういいわよ。うん、可愛い。行ってらっしゃい。」
「うん」
 
そういってまゆはへやを出た
げんかんにはおかあさんが言ったとおり
みゅーがいた
 
「お、来たか。」
「みゅーーーーっ♪」
「今日はさすがにいつものコートじゃなくて可愛い服着てるな。
よく似合ってるぞ。今日は椎名が主役なんだからな。」
「うん」
「さて、瑞佳と七瀬も待ってるから行くとするか。」
「うんっ♪」
 
みゅーといっしょにいえを出た
『とりあえず、待ち合わせのとこまで行くからな。』
ってみゅーが言った、みゅーといっしょだったらどこでもいい
 
「お、もう来てるか?」
「繭〜、こっちだよー」
「ほんとに来たわね…」
「みゅーーっ♪」
 
やさしいおねーさんが手をふってる
みゅーのしっぽのおねーさんはうでをくんで立ってる
 
「久しぶりー繭元気だった〜?」
「うん」
「ちょっとはおとなしくなってるんでしょうね…?」
「なんだよ七瀬。 繭がいなくて寂しそうにしてたくせに。」
「だ、だれが寂しそうになんか…」
「まぁまぁ、2人ともせっかく繭と久しぶりに会ったんだから、けんかしちゃだめだよ?」
「俺は事実を言っただけだぞ。」
「な、何が事実よっ!」
「ほらほら2人とも、いきなりけんかして、繭がびっくりするでしょー?」
「…みゅーけんかするの?」
 
みゅーとみゅーのしっぽのおねーさんがまゆをみてる
 
「おかあさんがねともだちとけんかしたらさきにあやまっちゃいなさい、って」
 
…あれ、まゆへんなこと言ったかな
みゅーとみゅーのしっぽのおねーさんびっくりしてる…
 
「…ねえ折原? ほんとにこの子あの子なの…? 変われば変わるもんね…」
「いや、おれも久しぶりだから…今のはちょっとびっくりしたぞ…」
「はいはい、2人とも。今のは繭が言ってる事が正しいでしょ?
ね、繭。みんな、仲良くしてたほうがいいよねっ。」
「うんっ♪」
 
やさしいおねーさんがまゆのあたまをぽんぽんなでてくれる
 
「一時休戦…だな。」
「そうね…」
「うんっ♪ さ、仲直りした所で何しようか?」
「そういえば折原。あたし今日、繭が来るってしか聞いてないんだけど。」
「何も言ってないからな。」
「え? 七瀬さんも何も聞いてないの。 私もどうするとか聞いてないんだけど…」
「どっちにも何も言ってないからな。」
「…それで、いったい何する訳?」
「うん浩平。何するの…?」
「今日は椎名の卒業記念パーティだ。」
「それは、まぁわかるけど…」
「ね、繭来てるもんね〜♪」
「うん」
「そう、椎名が来てる。 と、いう訳で今日は椎名に決めてもらう。」
「…この子に…?」
「繭に決めてもらうの?」
「ほへ?」
「そーう、今日は椎名がやりたい事をみんなでやってやるぞ。」
「本気で…? 例えば動物園とかでも…?」
「あ、それいいかも。」
「みゅー♪ みゅーっ♪」
「動物園。OK・OK、行ってやろーじゃないか。」
「…折原、冷静に考えてみなさいよ。女3人に男1人よ? ほんと〜にそれでいいの?」
「私はいいけど〜」
「みゅーーっ♪」
「やっぱり…ちょっとは考えるか…?」
「ね? 少しは考えましょうよ。」
「えー、なんでー?」
「みゅー♪ みゅーっ♪」
「もう、行く気になってるのか…?」
「あーぁ、あたしは知らないからねっ。」
「ね、繭。どこか行きたいとこある?」
「ほへ?」
 
やさしいおねーさんがまゆにきいてきた
ちょっとまゆはかんがえた
…かんがえてたらおなかすいたな…
 
「まゆおなかすいた」
「ん、お、おうそうか。もうこんな時間か。じゃ、とりあえずなんか食べに行くか。」
「折原…今、ほっとしてるでしょ。」
「な、なんのことだ?」
「まぁいいけどね…」
「えー、繭それでいいの? 動物園とかは〜?」
「こ、こら瑞佳。余計な事を…」
「おかあさんといったばかりだから、いい」
「え? お母さんと行ったの?」
「うん」
「そう…じゃ遊園地とかは?」
「だ、だから瑞佳。余計な事言うなって…」
「おなかすいた…」
「そ、そうだよな繭。ほれ瑞佳、繭はお腹空いたんだって。 さっさとどこかに食べに行くぞっ。」
「うろたえてる、うろたえてる。」
「うるさいぞ、七瀬。 ほれとっと行くぞっ。」
「みゅー♪ みゅーっ♪」
 
みんなであるいた
みゅーとひさしぶりにあるいた
 
「ねえ、瑞佳。あの子ずいぶん変わったね。」
「あ、七瀬さんもそう感じた?」
「ちょっとは大人になったって事か?」
「あんなに自分から話す事って無かったんじゃない?」
「そうそう、それに『お母さんと動物園に行った』なんて前の繭じゃ出来なかったよね。」
「うーん、月日の立つのは早いもんだ。」
「折原…あの子の彼氏っていうより保護者みたい…」
「うんうんっ、お父さんみたいだよねっ♪」
「何言ってんだ、お前ら…」
「それよりあたしの髪の毛引っ張るのをやめてくれたのはなによりだわ。」
「そういえば、そうだね。」
「まったくだ。」
「…みゅーっ」
「ん? 繭。なんだ?」
「しっぽさわりたい…」
「…は?」
「みゅーのしっぽ…」
「あ、あたしかっ!」
「そう…みたいだね。」
「みゅー♪ みゅーっ♪」
「だってさ、七瀬。 どうする?」
「ど、どうするもこうするも…言ってるそばから…」
「まぁ、今までは何も聞かずに引っ張ってた訳だから…な?」
「…わ、わかったわよ。 じゃ繭。 痛いから引っ張ったらだめよ?」
「うんっ」
「ほんとうに解ってるんでしょうね…何かあったら保護者の折原に迷惑が掛かるのよ…?」
「…お前、今さりげなくむちゃくちゃな事言わなかったか…?」
「気のせい、気のせい。 繭、ほんとに痛くしないでね。」
「みゅー♪ みゅーっ♪」
 
…みゅーのしっぽ、ふさふさして、やわらかくて
つるつるしててきもちいい
まゆのかみながくないからしっぽにならない…
 
「繭も髪、伸ばしてみたら? 結構似合うかもよ?」
「髪が長い椎名…?」
「あたしみたいに…?」
「みゅー?」
「…………」
「…………」
「ん? 2人ともどうしたの?」
「似合うか…?」
「想像つかないよ…?」
「えー、似合うと思うけどなぁ。」
「みゅー?」
 
おおきなみちのとこにきた
おみせがたくさんならんでるとこだ
…ハンバーガーのおみせ…
 
「ハンバーガーがいい」
「ん? 何だ椎名。ハンバーガーが食べたいのか?」
「うん」
「じゃ、そうするか。」
「♪」
 
おみせのなかにきた
 
「さて、繭。どれにする?」
「うん」
 
たくさんハンバーガーのえがならんでる
どれがおいしーかな?
これもおいしそう
そっちもおいしそう
おいしそうなのがたくさんある…
 
「椎名、決まったか?」
「まだ」
「そうか、ゆっくり決めていいぞ。」
「うん…まゆおかねこれだけしかもってない」
「ん? あ、別に気にしなくていいぞ。今回は俺らのオゴリだから。」
「…俺らってあたしも入ってる訳…?」
「私も…? だよね。」
「とーぜん、ワリカンだ。」
「まぁいいけど…どうせなら最初に言っときなさいよね…」
「うんうん、いっつもいきなりなんだもんっ。」
「3人で割ればたいしたことないだろ… で、椎名? 決まったか?」
「…きめられない」
「は?」
「みんなたべたい」
「…そ、それは無理だろ。予算的にも。」
「あんたどこにそんなに入るってのよ…」
「ねぇ、繭? 全部買っても食べられないでしょ?」
「う〜…うん」
「じゃ、食べられるぶんだけ買おうねっ。」
「…きめられないからみゅーといっしょのがいい」
「は? 俺?」
「うん」
「これだけでいいのか…?」
「うんっ」
「そうそう、また今度来た時にたべよーねっ。」
 
みゅーのとなりがまゆ
やさしいおねーさんとみゅーのしっぽのおねーさんがまえにすわってる
ハンバーガーまだこない…
 
「ねぇ、繭。どう?学校楽しかった?」
「がっこう…ふつう」
「普通…ってなんだそれ?」
「なにもすることないとき、いく
なにかすることあるときはいかない」
「よくそれで卒業出来たわね…?」
「なんかうらやましいぞ…」
「何言ってるのよ2人とも。 繭はちゃんと学校行ったんだよねー」
「うんっ」
「まぁ、全然行かなかった時よりはね…」
「たしかに…格段の進歩だよな…」
「えらいねー繭。どっかのいつも朝起きてくれない人も見習って欲しーなぁ〜」
「お前なぁ…」
「あ、注文したの来たよ。」
「♪」
「無視かよ…後でいじめちゃる…」
 
ハンバーガーおいしかった♪
ハンバーガーのおみせでて、またそとあるいた
ひとりだとたのしくないけど、みんなだとたのしい…
 
こうえんにきた
こうえんでケンパとかかくれんぼとか
おにごっことか、たーーっくさんあそんだ
がっこうにもともだちがいるけど
みゅーがいないからちょっとつまらない
みゅーに言ったら、
みゅーがまゆのあたまをなでてくれた
♪♪♪
やっぱりみゅーといっしょにいるとたのしい
 
「あ、私今日ちょっと用事があるんだっ。 先帰るね。」
「え、瑞佳帰っちゃうの? じゃあたしも帰ろうかなぁ…」
「おい、おい2人とも帰るのか?」
「うん、ごめんね繭。じゃ後は浩平といっしょに遊んでね。 浩平、ちゃんと家まで連れてってよー?」
「当たり前だろ、そんなの心配するな。 じゃ、またな。」
「じゃね繭。またね。」
「うん」
 
やさしいおねーさんとみゅーのしっぽのおねーさんがかえるって…
 
「ねぇ、瑞佳…別に用事なんて無いんでしょ?」
「え、あ、七瀬さん…やっぱり解る…?」
「いつもの瑞佳らしくないもん。いつもの瑞佳だったら本当に最後までいるでしょ。」
「うん、せっかくだから、あんまり逢えないから、2人きりにしてあげようかな…と思って。」
「やさしいね、瑞佳は。」
「そ、そんなことないよ。でも…七瀬さんもでしょ?」
「まぁ、たまには…ね。」
「うんっ♪ さ、帰ろっ。」
「そうね、行こうかっ。」
 
…ちょっと、とおくでふたりがはなしてる
とおいからまゆはきこえない
まゆがばいばいしたらふたりとも手をふってくれた
ばいばい…
 
「さ、で、椎名。 何かしたいことないか?」
「たくさんあそんだ」
「そうだな、たくさん遊んだな。もっと遊んでもいいぞ。」
「う〜…うん、まゆいきたいとこある」
「ん? どこだ?」
「みゅーのおはか…」
「みゅーの墓…あぁ、あの裏山の事だな。」
「うん」
「行ってもいいけど…なにするんだ?」
「みゅーとはなす」
「…うーんと…俺か? それとも…?」
「…みゅーもいっしょにそつぎょうする…」
「卒業…そうだな。みゅーにも卒業した椎名のこと見せてやらなきゃな。じゃ、行くとするか。」
 
みゅーのおはかにきた
みゅーがねむってるとこ…
ここにみゅーがねてる…
まゆはしゃがんでみゅーがねてるところをさわりながらはなした
 
「みゅー、まゆそつぎょうしたんだよ」
「…………」
「みゅー…どんなゆめみてる…?」
「…………」
「みゅー…まゆのことゆめにみる…?」
「…………」
「みゅー…」
「椎名、泣いたらだめだぞ。 みゅーが心配してゆっくり眠れないぞ。」
「うん…」
 
みゅーがまた、まゆのあたまをなでてくれた
 
「みゅーにありがとうって言う」
「…ん? いきなり何だ?」
「みゅーが、みゅーにあわせてくれた」
「…………」
「だからありがとう、みゅー、まゆはみゅーがいるからもうなかないよ
だからゆっくりねむってね、みゅー…」
「…椎名っ…」
「…………っ」
 
みゅーがまゆをだっこしてくれた…
みゅーのだっこ、あったかい…
 
「そうだな、椎名…みゅーが俺達を逢わせてくれたんだ。」
「うん…」
「だから、みゅーの分までずっとずっといっしょにいような…」
「うん…」
「…椎名…やっぱり俺といっしょの時は、泣いてもいいぞ…」
「うん…う、ぅ…うわぁぁああああぁぁああぁーーーーんっ! みゅーーーーっ!みゅーーーーっ!」
 
みゅーがだっこしてくれたまま
まゆはないた
みゅーにありがとう…
みゅーにさようなら…
みゅーにばいばい…
まゆといっしょにそつぎょうしようね…
そのあいだずっとずっとみゅーはまゆのあたまをなでてくれた
やさしい手、あったかい手、まゆのすきなみゅーの手…
 
「みゅー…ありがとう」
「こんどは俺か…?」
「うん、いっしょにいてくれてありがとう…」
「…………」
「みゅーのともだちのやさしいおねーさんにもありがとう…
みゅーのしっぽのおねーさんにもありがとう…
だけどいちばんは…いっしょにいてくれたみゅーにありがとう…」
「椎名…お前…」
「?」
「ん、いや何でもない…」
「うんっ」
「椎名…俺達ずっといっしょにいような…」
「うんっ♪」
「ずっといっしょにいてくれるよな…」
「まゆどこにもいかない」
「あぁ、そうだよな…」
「まゆみゅーといっしょにいたい」
「うん…」
「みゅー、まゆまだみゅーのこいびと?」
「椎名…」
「そうだったらまゆみゅーとずっといっしょっ♪」
「そうだ…椎名は俺の恋人だったな…」
「みゅー? …ないてるの…?」
「いや…そんなこと…」
 
…まゆはみゅーのあたまをなでてあげた
まゆがないてるときみゅーがあたまをなでてくれるとあったかくなる
なかなくなる、だからまゆもみゅーのあたまをなでてあげる…
 
「みゅーあったかくなる…? なかなくなる…?」
「あぁ…椎名ありがとな…」
「うん」
「さ、もう暗くなったから帰るか…」
「うんっ」
 
みゅーと手をつないで
みゅーのおはかに、ばいばいして
まゆのいえにかえった
みゅーが、かえるとき『また、今度の休みにな。』って言ってくれた
だからまゆはまたがんばる
みゅーが『またな。』って言ってくれたから、
みゅーが『いっしょにいような。』って言ってくれたから
だからまゆはがんばれる
またみゅーとあう日までがんばるんだ
だってまゆはみゅーのこいびとだもんっ♪
 
「…おかーさーん、ただいまー
あのね、きょうねみゅーとね……」
 
…またあしたからもがんばろっ♪



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