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Tactics ONE short story



後日譚


〜住井 護〜

by keita



「うおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!!」
 
ここは屋上。放課後の屋上なんて普通誰も居ない。
 
「はぁ…意味も無く夕日に向かって叫んでもなぁ…
…俺のこの気持ちは(すぅぅーー)どうしようもないのかぁーーーー!!!!」
 
ここは屋上。放課後の屋上なんて普通誰も居ない…よな?
 
「なんだかつまんないぞぉぉぉぉっーーーー!!!!」
 
冷静に考えてみるとこんな事してもなんにもならない気が…
いやいや、叫ぶことに意味がある。
それにしても…ふっ、今日はやけに夕日が目に染みるぜ…
 
「…寒くなってきたからもう帰るか。」
 
自分は割と根性の無いことを知ってる俺は自分の体に正直に従うことにした。
なんだかんだ言っても俺はこんな自分が結構好きだ。
それにしても、最近なんか変なんだよな…
…変って言えば何より変なことがある。
なぜだーーっ!
なぜ俺には恋人の1人も出来ないんだーーっ!
自分で言うのも何だが事実だからゆっちゃうぞーーっ!
はっきり言って割と見た目はいい方だぞーーっ
性格だって明るいぞーーっ
誰も知らない秘密のネットワークだって持ってるぞーーっ
なのになのになぜだーーっ!!
 
…………
 
…ほらな。 おかしい。 何かが変だ。
いつもならここで誰かが暴走している俺を
『自分で言ってんなよ…』
とかって冷静なツッコミでとめてくれる筈なのに.。
…なぜここでツッコミ方法まで思い付くんだ…?
第一、誰かって誰だ…?
…まぁ、それは置いといて。
ひとりでボケてても空しいだけだぞぉー
誰もいないとこでやるボケ程空しいことは無いぞぉー
…靴箱に向かい学校を出る。
冷たい風が俺を包む…マジ寒くなって来た。
とっとと帰ろう。
とりあえず家に帰り、考えることも無いので寝た。
 
次の日、その次の日、またその次の日…
…おかしいおかしい何かがおかしい。
やっぱりどーしても違和感を感じる。
何日経っても何かがおかしい。
違う違う違う何かがちーがーうーーっ!
なんだろう…?
何かが足りない…?
何かを忘れてる…?
俺だけか? 他の奴はそんな事無いのか…?
 
「なぁ、西村。 最近何か変じゃないか?」
「おまえが一番変だ。」
「そうか、なるほど。お前の秘密を一つばらす。」
「…な、なんだよ。いきなり…」
「人の質問にはまともに答えろ。」
「まともにって…おまえが一番変だ…」
「ばらす。」
「まともに答えろって…」
「もういい。お前に聞くのが間違っていた。じゃあな。」
「お、おい。秘密をばらすとか言うのは…?」
「ふん、覚えとけ。」
「な、何のことを…」
「お前に答える義務はない。さらばっ!」
「お、おいっ、まてよーっ、住井ーっ」
 
…ふん、お前の秘密なんて知るか。誰だって秘密の1つや2つ持ってるもんだ。
簡単に言えばただのハッタリだ。まぁ、あいつの事はほっといて…
さて、どうする?
俺の違和感は消えてくれない。
何より気になる。
うーん…なぜだろう…?
やっぱり何かを忘れているような…?
忘れる…?
何を…?
うーん思い付かないぃ…
そうだ、男子と話してもつまらないので女子に話しかけてみよう。
どうせ同じ時間だったらその方がいい。
断然いいぞ。
 
さて…誰がいる…?
 
1.カバンを持って帰ろうとしてる、里村茜さんにする。
2.机に座ってる七瀬留美さんにする。
3.ボーっとしてる長森瑞佳さんにする。
 
うーん…ま、どうせ全員に話しかける訳だから…
始めは帰ろうとしてる里村さんにしよう。
 
「里村さーん、ちょっといいかな?」
「はい…」
「最近なにか変じゃない?」
「…………?」
 
自分でも訳解からんこと聞いてるな、と思う。
案の定里村さんは何をどう答えたらいいのか解からないようだ。
もうちょっと具体的な質問を…そう俺が考えた時…
いきなり思い出した。
 
教室…お昼休み…
『よおOO学食いこーぜー』
『悪い、住井。今日は俺ちょっと用がある。』
『なんだよ、パンか。』
『ま、そういうことだ。で、里村見なかった?』
『里村…?いっしょに食うのか?』
『そうそう。あ、なんだ、飲み物買いに行ってたのか。おーい、里村〜』
そう言って里村の席の前に座る…
 
…誰だっけ…こいつ…
名前も顔も浮かんでこないぞ…?
 
「里村さん、最近誰かとお昼食べた?」
 
いきなり聞いてみた。だって俺は知らないもの。
いっしょに食べてた里村さんなら…
 
「誰とも食べません…」
「え? そ、そう? あれ? 俺の記憶違いか。」
「そうだと思います…失礼します。」
「あ、引き止めてごめんね。じゃまた明日ね〜」
 
里村さんは帰ってしまった。
う〜ん…結局なんの手がかりも無し…か。
あれ〜? さっきちょっと何かを思い出しかけたんだけどなぁ…
でも里村さんは知らないって言うしなぁ…
記憶違い…か。
さてさて、次は七瀬さんだ。
 
「ねーねー、七瀬さん、ちょっと時間ある〜?」
「え、あ、住井くん。 うん今日はちょっと部活探しに行くんだけど…まだ時間あるからいいよっ、なに?」
「…あれ? 七瀬さんってそんな感じだったっけ…?」
「え? なんのこと?」
「え〜っと…ほんとはもっと元気よくて…を通り越して誰かと口喧嘩ばっかりしていたような…?」
「え、な、何言ってるの、住井くん。私はもとから変わってないわよ?」
「…そうだったっけ…? まぁいいやでさ…」
 
またいきなり思い出した。
 
授業中…漢字のテスト…
『なーなー住井ー。こっちの答え教えろよー』
『あー? なんだよOOいつもならどーでもいーって寝てるくせに』
『今回は事情があってな…』
『ふーん、ま、いーけど間違ってても知らないぜ?』
『OK・OK』
そう言って前を向く。おや…前の席の七瀬さんに教えてるぞ…?
変なことする奴だな…自分の解答用紙は白紙のままなくせに…
 
こいつ…さっきも出て来た奴か…?
そーいえばこいつ…
さっきも俺のこと呼び捨てにしてたような…?
相変わらず名前も顔も思い出せないが…知り合いか…?
 
「えっと…住井くん?」
「あ、は、はい?」
「どうしたの…?ボーッとしちゃって」
「あ、う、うんちょっと…ね。七瀬さんこの前の漢字テスト覚えてる?」
「うん」
「あのときさー誰か他にいなかったっけ…?」
「なんで…?」
「いや、あの時、俺と七瀬さんの隣りの女子と…他に誰かがいたような…」
「他に誰か…? いないでしょ…?」
「そうだっけ…?」
「そうだよ、あ、もうこんな時間。じゃ私もう行くねっ、住井くんまた明日ねっ」
「あ、うん、また明日ね…」
 
うーん…さっきから全然事態は進展してないぞ…?
とりあえずあのいきなり思い出す奴は一体誰だっ?
それでいて他の人は知らないし…うーん、わからないぃ…
里村さんも七瀬さんもこの誰かと逢ってる筈なのに知らないって言うし…
俺の記憶違い? 記憶違いが2回も続くか…?
あぁ…なんだろうなぁ。
そう、例えるなら、
目の前に見えてるのに手が届かないというか…
完成間近のパズルの1ピースが無いというか…
そんな感じかな。
もうちょっとで何か思い出すような、思い出せないような…
うーん…とりあえず置いといて、と。
聞き込み再開。最後は長森さんだな。
 
「長森さーん、ちょっといいかなー?」
「あ、住井くん。なぁ〜に?」
「うん、あ、そうだ、毎朝大変だね。」
「え? なにが?」
「え?いや毎朝大変だねって…」
「…だから何が大変なの…?」
「…………」
「住井くん…?」
「…そうだね、なんだろう…?」
「住井くん、何か変なこと言ってるよ…?」
「そうだよねぇ、あれ? 今、何が大変だって言ったんだろう…?」
「住井くんがわかんない事、私にはわかんないよ…?」
「うーん、そうだよねぇ…」
「どしたの? だいじょうぶ?」
「いや…うーん、あのさ最近何か変じゃない…?」
「何か変…?」
「うん、そう何か無い? 変なこと。」
「…今の住井くんくらいかなぁ?」
「えーと…取り合えずそれは置いといてさ…」
「うーんそうだねぇ…」
 
あれ…また…?
 
ある日の放課後…
『なーなーOOお前さー長森さんに告白とかしないのか〜?』
『…はぁ? 何言ってるんだ住井。俺と長森はただの幼なじみで…』
『またまた〜ただの幼なじみがわざわざ毎朝家に起こしになんて来ないって。』
『…お前ってほんとそーゆう話し好きなのな…』
『第一、お前がそーでも長森さんはそー思ってないかもよ〜?』
『なんだそれ、人のことより自分のことはどーなんだよ?』
『へ? 俺? 俺のことなんて置いといてさー それに俺は親友の事を思ってだな…』
『なーに言ってんだか。むちゃくちゃ楽しそうな顔しながら言っても説得力無いぞっ』
『あははーやっぱ解かる?』
『とーぜんだろ?何年トモダチやってんだか。』
『…お、なんか今グッときたぞ…』
『なんだよ…両手広げたまま近づいてくんなよ…』
『え? いや友情の証を深めようとだな…』
『おいおい、やめろよ、男に抱き着かれても嬉しくないぞ。』
『じゃぁ長森さんだったら…?』
『…お前まだその話し引っ張るわけ…?』
『チッ…引っかかって本音をしゃべってくれればいいものを…』
『…さっき言ったこと撤回していいか…?』
『そうだよなー俺たち親友だよなー』
『今、撤回しよーかなーって…』
『さあ、親友よっ!共に帰ろうじゃないかっ!』
『…なんなんだその意味も無くどこかを指した指は…?』
『さーさー帰ろーではないかっ』
『人の話し全く聞いてないな…まぁいい。 さて、帰るとするか…』
 
「長森さんっ!」
「は、はいっ!」
「幼なじみっ!」
「…はい?」
「幼なじみいるでしょっ!」
「…幼なじみ…?」
「そいつが俺の親友でさっ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ、住井くん。」
「名前も顔も思い出せないけど、と、とにかくそいつっ!」
「…ねぇ、住井くん、誰かと勘違いしてない…?」
「…えっ?」
「私…幼なじみなんて居ないんだけど…」
「…え…?」
「え〜とさ、私、幼なじみって居ないんだけど…?」
「…えぇ…?」
「う〜んと…だからごめんね、住井くん。誰かと間違えてるんじゃないかなぁ…」
「…えぇぇ…?だってだってあの俺が覚えてる奴は…」
「住井くんが誰の事を言ってるのか解からないんだけど…」
 
…なんで…?
誰も覚えてない…?
覚えてるとか覚えてないとかじゃ無くて
みんな、そんな人居たの、って…?
…なんで…?
 
「あ、ご、ごめんね住井くん。私もう帰るね。それじゃ明日ね。」
「あぁ…うん、明日ね…」
 
…長森さんも帰ってしまった…
俺は1人教室でボーッとしてた。
結局、わかったのは…
…なにも解かってないか…
名前も顔も解かんないんだもんな…
誰だろう…
なぜだか解からないけど、
そいつといると、とても楽しかったんだよ…
誰だろう…
誰も…俺しか覚えてないのか…?
…はぁ…
誰も居ない教室で、1人居てもしょうがないな、帰ろう…
そうやって俺は席を立った。
すると…
 
…ガラッ…
 
教室のドアが開かれた。
そこには…
 
「よおっ、住井っ! 1人でなーにしてんだー?」
「…………」
 
なくしたパズルの一かけら…
 
「さーてと、どうせなんもすることないし、帰るとするか?」
「…………」
 
近すぎて、目の前にありすぎて気づかなかった…
 
「ん?どーした住井。ほら帰るぞっ」
「浩平〜 んなまっすぐ帰るなんて冗談だろ〜?」
「まぁなっ、いつもの通りゲーセンでも行くか?」
「ゲーセンねぇ…負けた方がハンバーガーおごり、な。」
「ほほーう、よしその勝負のったっ! と、いうわけで行くとするかっ」
「ふふーん後悔するなよ〜」
 
…俺は浩平のとこまで行って、浩平の前に手をかざした。
 
…パンッッ…
 
2人の右手が重なり合って、教室に乾いた音を響かせる…
 
「さ、行くぞっ」
「おうっ、今回は負けないからなっ」
 
2人で外に出てゲーセンへ、向かった。
途中、ふと、自分がさっき、なにかが気になって気になって
しょうがなかったんじゃないのか…?
と、いうことが思い出されたが、とりあえず今はどーでもいい。
今は、こいつに勝てるゲームは何だったか…?ってことを考えなきゃな。
大切な事なら自然に思い出すでしょ、と自分を納得させて、浩平と2人ゲーセンまでの道を行く。
もう、夕方だった……



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