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Tactics ONE short story



後日譚


〜柚木 詩子〜

by keita



あの時…茜が折原君が帰って来たって泣いた時…
あたし、なんか嬉しかったんだ。
何が帰って来たのかは解からないけど…折原君は茜の大切な人になったんだね。
茜が笑ってるとあたしも嬉しいし、折原君も悪い人じゃないし。
なんだろう…この感覚?
あたしと茜ともうひとり…
あたしと茜と折原君で…何も変じゃないよねぇ。
でもなんだかとってもしっくり来るなぁ…
そーいえば…この前、茜と電話でこんな事話したなぁ…
 
「浩平と詩子は性格が似てます…」
「うそーっ、それはいやだーぁ」
「浩平もやっぱり同じことを言ってました」
「…………」
「やっぱり似てますね」
「そう…かなぁ…?」
「似てます。…それでは今日はこれで…」
「うんっ、また明日ねーっ」
 
あたしと折原君が似てる…ねぇ…
ふたりのことをよく知ってる茜が言うんだから、まぁ、間違ってないのか…な?
うーん…そうだね、似てるかも知れないね。折原君ってたのしーからね。
それにしても折原君と茜とあたしって、知り合ってそんなに時間も経ってないのに
なーんか昔からの友達みたい。
…まぁ、あたしが勝手に思ってるだけだけどねっ。
 
…………
 
今日は休日、学校休みっ♪
いつもなら、茜と一緒に商店街廻ったりするんだけど、今日はちょっと違うんだよねぇ〜
てくてく歩いて…やっと着いた。
クリスマスパーティーの時に、もー場所覚えちゃったもんねっ♪
ここは折原君のお家だ。
 
ピンポーン・ピンポーン…
 
「…はいはーい、ちょっと待ってくださーい」
 
…ガチャ…
 
「折原くんっ♪」
「…柚木…?」
「いきなりいやそうな顔でお出迎え…」
「いやそう、じゃなくていやだ」
「それで〜、えーっと折原君は何をあげるの?」
「はぁ…?」
「私もね〜、何かあげなくちゃいけないと思ってね〜」
「はぁ…」
「何がいーかなぁ…」
「…あのなぁ、柚木」
「折原君はちなみに去年は何あげたの?」
「…お・ま・え・は、少しは人の話しを聞けーーーーっ!!」
「うーん…何がいいかなぁ…あ、折原君、そんな大声出さなくてもちゃんと聞こえてるから。
で、去年は何をあげたの?」
「だから人の話しを聞けってのに…」
「だから聞こえてるってば。でさ、折原君は何あげたの?」
「あのなぁ、柚木。頼みがあるんだが…」
「ん?なに?」
「とっとと帰れ」
「質問に答えてくれたら帰るよ」
「だったら質問をちゃんと、はじめっから誰が聞いても解かるように説明しろ」
「あれ?解からなかった?」
「お前…自分で何言ってるか解かってるのか…?」
「えーっと、質問は…去年、折原君は何あげたの?ってことだけど」
「だからぁ…柚木っ、主語を省くなっ!誰が、いつ、どこで、なんで、とかが全然解らんだろーーがっ!!」
「あぁもう、めんどくさいなぁ…」
「お前…男だったら一発殴ってるぞ…とりあえず質問に答えて欲しかったらちゃんと言え」
「うーん、しょうがない、じゃあねぇ…もう少しで茜の誕生日でしょ。だからあたしも何かあげたいなー
でも何あげよーかな? あたしだったら欲しくないもんもらっても困るしなー、うーん、
あ、そうだ、折原君は去年何あげたんだろー、聞いてみよー…と、こうゆう訳」
「お前と話してると普通の倍以上疲れる…要するに、茜の誕生日に何あげるか相談しに来たんだな」
「うん、そう。なーんだ、解かってるじゃなーい」
「そんな事のためにわざわざ休日、人ん家に来るのか…」
「だーって、学校で茜の前で聞いたらだいなしじゃなーい。
こーゆうのはやっぱり秘密にしてていきなり、『はい、あげるっ』、『うそーうれしーっ!』ってのが基本じゃない」
「まぁ、そうだが…茜は、『うそーうれしーっ!』とは言わないと思うぞ…」
「うん。あたしもそう思う。で、答えは?」
「ん? あ、あぁ、去年ね。去年は茜といっしょに買いに行ったからなぁ…俺も自分で選んでないんだよ」
「なーんだ、役に立たない」
「お前…ほんとに一発殴っていいか…?」
「あー、茜に言いつけちゃうぞー、
『あーん…茜〜、折原君がグーで殴ったんだよ〜、痛いよー、えーんえーん』
『浩平…嫌いです』とか…」
「お前なぁ…人の家に来て、ひとり芝居は止めろ。疲れる」
「うん。止める。それで茜の欲しがったものって何?」
「えっと…商店街のぬいぐるみショップのショーウィンドウに飾られてた、例えの時点で怪獣にしか見えない
が商札には一応ハムスターって書いてて値段が五十万円もするサギだとしか思えないでかいぬいぐるみ…」
「五十万円って…ほんとにそれあげたの…?」
「いや、さすがにそれは勘弁してもらって、側に置いてあったおんなじ怪獣の貯金箱にしてもらった」
「ハムスターじゃないの…?」
「俺は認めん」
「まぁどっちでもいいけど。ちなみにその貯金箱はいくらなの?」
「…二千円」
「びんぼーにん」
「お前は…ケンカ売りに来たのかーーっ!!」「いや、相談しにきたんだけどね」
「さっきから相談しに来てる態度か…?」
「だーって役に立たないんだもん」
「…ふふん、ちなみに俺は今回、もう何あげるか決めたぞ」
「えー、なになに、教えてー?」
「さっき言ってたぬいぐるみだ」
「さっきの五十万の…?」
「どーせあんなの人気無くて値段下がるさ、って言ってたらほんとに下がったんだよ。九千八百円まで」
「五十万は…?」
「いったろ、あんなのサギだって」
「ぼったくりじゃない…」
「買えればいいのさ、気にしない気にしない」
「ふーん、そっか、とりあえず折原君はぬいぐるみをあげるんだね」
「まぁ、そうだな」
「…おんなじぬいぐるみとかあげたらどうする?」
「…すんなよ、そんなこと…」
「まぁ冗談だけど。そっかー、なにしよーかなぁ…」
「もう明後日じゃないか。どうすんだよ」
「うん、だから相談しに来たんだけど…だれかさん役に立たないし…」
「う、くっ…もう明日の帰りにでもそれとなく欲しいのを聞き出すくらいしかないんじゃないか?」
「うーん、そうかな。やっぱり。じゃ、明日ね、ばいばーい」
「あ、おい、柚木っ…行ってしまった。はぁ…疲れる奴…」
 
ふんふん、そっか、折原君はぬいぐるみあげるんだぁ…
うーん…茜の好きなもの…ワッフル…ワッフル食べ放題っ!
お金がいくらあっても足りないぃ…って訳でも無いけど、プレゼントで食べ物って…ねぇ…
まぁ、折原君が言ったようにやっぱり明日、茜に聞いてみようかな。
うんっ、そーしよう。
 
…………
 
…次の放課後…
「茜と折原君っかーえろっ♪」
「来たな…」
「詩子…」
「帰ろうよっ♪」
「まぁ、いいが…」
「詩子、このごろ毎日来てますね…」
「うん。たのしーからね」
「そうゆう問題か…」
「学校…大丈夫ですか…?」
「大丈夫大丈夫、気にしなーい」
「で、何しに来た」
「あ、そだそだ。ねぇ茜」
「はい…」
「…(お、ちゃんと昨日のこと覚えてたのか?)」
「あのね、聞きたいことがあるんだけど…茜のたん…」
「うわーーーーっ!!」
「浩平…?」
「なによ、折原君。今ちょっと茜に話しが…」
「だーーっ!ちょっと待てっ! こっち来いっ!」
「茜、折原君が呼んでるよ」
「なんですか…?」
「あぁ、茜じゃないんだ。おいっ、柚木っ、お前だお前っ!」
「え…?なんで……」
「茜、ちょっと待っててくれな」
「はい…?」
 
……ちょっと離れたとこまで連れてこられた。
 
「なによー折原君。せっかく茜に何が欲しいか聞こうとしたのにー」
「だーかーらー、お前今、誕生日に何欲しいっ?って聞こうとしただろ」
「うん」
「そんなダイレクトに聞くなっ!もうちょっと聞き方があるだろっ!
第一、昨日秘密にしててビックリさせるってのはどうなったんだよ」
「え、もう時間も無いし、別にいいかなー、と思って」
「…俺がビックリさせたいんじゃないかなー、とかは考えなかったのか…?」
「へ?そうなの?」
「はぁ…もういい、じゃ俺がそれとなく聞くからそれを参考にしろ。いいなっ」
「うん、ありがとう折原君」
 
話しも付いた所で茜の所へ戻って来た。
 
「…ふたりでなに話してたんですか?」
「ん、ちょっとな」
「…あ、そうだ茜、折原君がワッフルおごってくれるんだって。」
「はぁ…?」
「そうなんですか?」
「ごめん、茜、またちょっと待ってて。柚木っ、こっち来いっ!」
「またぁ…?」
「…ふたりで内緒話ですか…?」
 
……
 
「おいっ柚木、どーゆうことだよっ」
「え、だって聞いてくれるんでしょ」
「だからって、なんでワッフルが出てくるっ」
「茜が好きだから」
「だから?」
「好きなワッフル食べながらだと話しやすいかなー…と」
「…ほう、柚木にしては考えたな」
「あたしにしてはってなによー」
「まぁいい。そうゆうことならわかった」
 
……
 
「さぁ茜。ワッフルおごってやるぞ。行こう」
「内緒話は終わったんですか?」
「内緒話…って訳でもないんだけどな。ともかく行こう」
「はい。行きましょう」
「うんうん行こ〜♪(…ほんとはあたしが食べたかっただけなんだけど…ね)」
 
と、いうわけでいつもの山葉堂で、出来立てワッフルを(折原君のお金で)買って、公園で食べることにした。
折原君どーゆうふうに聞くのかなぁ?
 
「茜、ワッフルおいしいか?」
「はい、おいしいです」
「うんうんっ♪とーってもおいしーよね」
「お前には聞いてない」
「さべつだー」
「うるさい、ところで茜、聞きたいことがあるんだが…」
「はい、なんですか?」
「茜は見た目と違って実は甘いものが好きだよな」
「…見た目と違いますか?」
「あー、そーいえばそうだね。そんなに甘いの大好きっ♪って感じじゃないよね」
「うん、そうだな。さて、まだまだ俺が知らない茜がいるかも知れない。…と、言う訳で今日はアンケートを取る」
「アンケート…ですか?」
「そう、ちなみにアンケート代はそのワッフルだ」
「ずるいです、もう食べちゃいました…」
「大丈夫だ茜。別に変なこと聞く訳じゃないぞ。普通のことだ、普通の」
「ほんとですか…?」
「ほんとほんと」
「…いやな質問には答えませんよ」
「うん、それでいいぞ」
「…(はぁ〜、折原君やるねー、質問しても不自然じゃない状況にしちゃったよ。さすがに言うだけのことはあるねー)」
「さて、まず好きな食べ物は…」
「ワッフルです」
「だよね、やっぱり」
「まぁこれはすでに知ってるしな。じゃぁ…例えば今欲しいものとか…」
「欲しいもの…ですか」
「…ん?どうしたの茜っ、考え込んじゃって」
「たくさんあってどれにしようか迷っています」
「えーっと茜、とりあえずなんでも良いから言ってくれないか?」
「そうですねぇ…商店街に飾ってあった可愛い人形…」
「あーーーーっ!!」
「なんですか…詩子?」
「う、ん、いやいや別になんでもないよっ♪」
 
ふぅぅ…よかったぁ、折原君がこっち恐い顔で睨んでるぅ…
あぶない、あぶない。ふー…
 
「でも、この前行ったらなくなってました…」
「あ、そ、そうなの?」
「残念です…」
「(うーん、実は俺が買っちゃったんだよな…)で、茜。他には?」
「ほかですか…ほかに…うーん…」
「あれ?さっきたくさんあるって言ったのに?」
「うーん…ほかに、となると後は同じくらい欲しいのがたくさんあるんですよね…」
「たくさん…」
「あるの…?」
「たくさんあって決められないですから…この質問はこれでいいですか?」
「……えーっと、いいかっ?柚木っ?」
「え?あ、あたしっ?」
「いいよな、うんうんっ」
「え、あ、うんうんっ(結局参考になること聞けなかったんじゃぁ…?)」
「さぁ、もう食べ終わりました。ふたりとも、帰りましょう…」
「え、もう帰っちゃうの?」
「何か他に用事でもあるんですか…?」
「……何か用事あるのか柚木っ?」
「…う、うん、かえろっか…(折原君の、うらぎりもんっ!)」
 
……その日帰った後、折原君の家に電話をかけてやった。
 
「はい、もしもし折原ですが。」
「…うらぎりもん」
 
…ガチャンッ!…
 
ふふふ、仕返し第一弾、一言つぶやいて電話切っちゃった。
さーて、これで電話が…かかってきたね。
 
「柚木、おまえっ…」
「うらぎりもんっ!」
 
…ガチャンッ!…
 
ふふふ、仕返し第二弾、電話返し、成功っ♪
さて、今度は…?
 
……かかってこないなぁ…
しょうがない、もうやめてちゃんと話そう。
 
「はい、もしもし折原ですが…柚木か…?」
「あ、もしもし柚木ですが、うらぎりもんの折原君いますか〜?」
「…お前絶対俺だって解かってやってるだろ…」
「うん、解かってやってる。まぁ冗談はこれくらいにして、ねぇどうするの?
結局、茜の欲しいもの、なんにも聞けなかったじゃなーい」
「うーん、まぁなぁ」
「どーしよー?」
「あ、でも今回解かったことが一つあるぞ」
「ん?なになに?」
「とりあえず、俺のプレゼント選択は間違ってなかった」
「…それだけ?」
「…それだけ」
「…ばいばーい、折原君。また明日ねー」
「なっ、おい、柚木っ…」
 
…ガチャンッ!…
 
…うーん、どうしようかなぁ。
プレゼント、茜がもらって喜ぶようなプレゼントねぇ…
茜ってちょっと趣味がずれてるとこあるからなぁ…
あたしの趣味で選んだら多分、失敗するだろうなぁ…
それでも茜は喜んでもらってくれるだろうけど。
どうせならよく使うやつとかがいいよねぇ。
…ん?
よく使うやつ…?
うーん…?
あっ!いーもん思い付いたっ♪
これにしよっと、これなら茜も喜んでくれるだろう、よく使うもんだし。
さ、決まった決まった、さっそく今から探しに行こうっと…
 
…………
 
…というわけで茜の誕生日当日…
場所はいつもの折原君の家、
当日の放課後、いきなり誕生日するぞっ、て折原君が切り出して
茜はちょっとびっくりしてたけど嬉しそうだった。
ハッピーバースデーの歌も終わり、いよいよプレゼントの時間…
 
「…茜」
「はい、なんですか浩平」
「プレゼントだ」
「…私に、ですか?」
「ほかに誰もいないぞ」
「あたしいるんだけど…」
「なんで俺が、柚木にプレゼントしなきゃならんのだ」
「さべつだー」
「…お前の誕生日の時に考えてやるよ」
「うんうんっ♪」
「浩平…ずいぶん大きいですね。開けてもいいですか?」
「茜のプレゼントだからな。好きにしてくれ」
「はい」
 
…ガサガサ…
 
「これ、商店街の…」
「うん、そうだな」
「え…?あれもう、なくなってたのに…」
「うーん、実は最後に買ったのが俺だったんだな」
「…浩平…ありがとう」
「うんうん、喜んでもらえてよかった。で、次は…」
「うんっ、あたしの番ね。はい茜っ♪」
「詩子も…そんなに気を使わなくても…」
「まーまー、折原君もあたしも茜にプレゼントしたくてしてる訳だし、ね?」
「そうだぞ、茜、くれるってものはありがたくもらっていいぞ」
「…はい、じゃぁ詩子のも開けちゃいますね」
「うんうん」
「しかし柚木、なんだこれ。ずいぶん大きくて細長いの…?」
「開けてみてのお楽しみっ♪」
 
…ガサガサ…
 
「…詩子、これは…?」
「どう見ても…傘だよな…」
「そーそー、傘だね。広げてみてよっ♪」
「はい…」
 
…バサッ…
 
「ずいぶん…大きいですね…」
「これなら二人…いや、三人くらい入れそうだな」
「うんうん、折原君正解。茜、雨の日はなーんとなく気持ちが沈んでるみたいだからね。
雨はあんまり好きじゃないもんね。で、傘。ちなみに折原君」
「ん、なんだ?」
「この傘大きくて重いから、茜の代わりに持ってあげてね。雨の日でも、これで安心。
この傘と折原君がいればもう濡れなくてすむよっ、茜の気持ちもちょっとは晴れてくれるかなっ?」
「へー…柚木、たまにはいいこと言うじゃん」
「たまには…ってなによー」
「言葉通りの意味だが…とりあえずお前にしてはよくやった」
「うん。自分でも、いいプレゼント思い付いたって思ったんだっ♪」
「よかったな茜…っておい…?」
「ん…? う、ぁ、ど、どうして泣いてるの、茜」
「…うれしいから…」
「…………」
「…………」
「ふたりの気持ちが、うれしいから…」
「うれしいから…?」
「泣いてるの…?」
「…これは天気雨です」
「天気雨…」
「…すぐに晴れて、虹が見えますよ…」
「…そうなのか?」
「そうです…」
「…そう、良かった。あたしのプレゼント失敗しちゃったかと思ったよ」
「そんなことないですよ。…うん、やっぱり浩平と詩子は似てます」
「俺が柚木にぃ…?」
「あたしが折原君にぃ…?」
「似てますよ」
「似てるかぁ…?」
「似てないよねぇ…?」
「ううん、ふたりとも似てるから……どっちも大好きです」
「…………えーっと、なぁ柚木。そういうことなら似てるかもな」
「……うん。そうだね、折原君。とーっても似てるかもしれないねっ」
「なぜって二人とも…」
「茜のこと、だーい好きだもんねっ♪」
 
…という訳で、今年の茜の誕生日はこれで終わり。
最後に折原君と一緒に、せーのっで言った。
 
『誕生日おめでとうっ、あかねっ♪』
 
茜はニッコリ笑ってくれて…
もう雨はやんじゃった。
……明日も晴れだねっ♪



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