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Tactics ONE short story in DQ3



〜そして輝く季節へと〜


出逢い

by keita



…とある裏山、少女がひとり。
大切な友達―ペットのフェレット―が死んでしまったので、裏山へ埋めておくことにしました。
いつでも自分が住んでる村が見えるように、いつでも自分が見ることができるように、
見晴らしのいいおはかを選びました。
 
……ザッザッ…
 
土を被せるたびに、友達の身体が見えなくなっていきます。
その度に、少し埋めては、掘り返し、いつまでも別れることができませんでした……
 
村娘まゆ「……みゅー…」
 
そこへ現われる二つの人影。
 
勇者こうへい「お? なんでこんなとこに子供が?」
僧侶みずか「……あれ…?」
 
ひとりのおねえさんが少女に近づいてきました。
 
僧侶みずか「あ……この娘…」
 
少女が何をしているのか、二人はすぐにわかりました。
 
僧侶みずか「えっと……じゃ…蘇生の呪文で…」
勇者こうへい「ちょっとまて、みずか」
僧侶みずか「……なに…?」
勇者こうへい「このままこいつとはお別れした方がいい」
僧侶みずか「え…? なんで? この娘、こんなに泣きじゃくって、何度も埋め返したりしてるんだよ。可哀相だよ……」
勇者こうへい「あのな…今こいつを生き返らしたりしてみろ。今だけはそれでいいかも知れない。でも、今度はどうするんだ? いつまでも俺達がこの娘のそばに居るのか?」
僧侶みずか「…………」
勇者こうへい「別れる時はいつか訪れるんだよ。それは哀しいことだけど、
でも……いつかは誰にでもあるんだ」
 
……そう言った、勇者の顔は、とても寂しげでした。
 
勇者こうへい「と、いうわけで、お前、名前はなんて言うんだ?」
村娘まゆ「……まゆ…」
勇者こうへい「そっか、じゃまゆ。こいつとはお別れだ」
村娘まゆ「ぅぅぅぅぅ………」
勇者こうへい「大切な友達だったんだろ? じゃ、ゆっくり眠ってもらわないとな?」
村娘まゆ「……うん…」
 
……少女は泣きながらも、なんとか納得し、三人でおはかを作りました。
 
勇者こうへい「さ、これでOK。これからは……って言ってもあんまり逢えないけど、俺と、こいつが友達だ」
僧侶みずか「あ、う、うん。…まゆ、元気だしてね」
村娘まゆ「……うん…」
勇者こうへい「じゃ、悪いけどまたいつか、な」
村娘まゆ「……うん…」
 
そう言って、三人は別れました。
少女の心には、何が残ったのでしょうか。
前に歩き出す勇気を少しでも与えることが出来たなら、それこそ勇者の役割も果たせたことでしょう。
……その証拠に、少女は勇者を探しに行こうと、心の中で、決めていましたとさ。



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