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Tactics ONE short story



輝く世紀へ


エピローグ

by laughcat




≪?月?日≫
「それで、フラレて泣き寝入りか?」
「フラレる以前の問題だろっ」
「どっちにしても、それで鉄の心臓を身につけたんなら儲けもんだな」
「刺すぞ、この野郎」
俺は田槙の鳩尾に手刀を入れる真似をした。

「ただいま」
「おかえり。さっき女の子から電話が来てたわよ」
女の子?渡辺か?椎名ではないだろう
トゥルルル
丁度その時電話が鳴った。
「俺が出るよ」
受話器を取って型通りの台詞を言う
「はい、小林です」
「翔君?」
女の子の声。渡辺じゃない。この声は…梢ちゃんだ。
「こ、梢ちゃん?」
「今から…出てこられない?」
「今から?どこに?」
「学校」
「学校って?」
「小学校」
「…判った、今から行くよ。6、7分で行くから待ってて」
ガチャッ
「出掛けるの?」
母さんの心配の7割は、用意した晩飯の事だろう。
「すぐそこだから。帰ってきてから食うよ」
俺はそう言い残して家を出た。

さすがにこの時間になると、小学校の正門は閉められている訳で、梢ちゃんはそこにより掛かるように立っていた。
「私ね。21世紀って2000年から始まると思っていたの」
彼女はいきなりそんな話を始めた。
「大晦日に待っていたんだ。21世紀の再会の約束をしていたから。でもね。その人は来なかったの」
何となく判って来た。再会の相手とは…
「私、21世紀には何していると思う?」
僕が言う言葉は一つだ。
「21世紀は僕と迎えないかい?」
僕がそう言って手を差し出すと、彼女も手を伸ばして、僕の手のひらに、自分の手のひらを重ね…
僕等はお互いのぬくもりを感じていた。


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