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Tactics ONE short story



夕焼けのそら




by まろびー



 俺自身が、何処の世界からか帰ってきて、もう一週間になる。
 俺のいない間の一年がなんとなく、つじつまが合わされていく
 風景は、それを「見ている」俺自身にとっては滑稽にさえ見える
 ものでありながら、心が満たされていくあたたかいモノでもある
 だ。
 その、一年前に枯れていた「心」を満たしてくれた一番のモノは
 俺の隣で、いわゆる「超激甘ワッフル」を頬ばっている。
 その顔を黙って見ていると、彼女がふと顔をあげた。
 
 「どうかしましたか?」と彼女はワッフルを片手に言った。
 「いや、いつも美味しそうに食べるなぁと思って。」
 と、何となく答えると彼女は袋からソレを一つ取り出すと
 「はい。食べたかったんですよね。」なんて言って俺の方へ
 ワッフルを差し出したのだ。
 「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い、いや、今 は別に。」
 それこそ、絞り出す様な声で俺が答えると
 「・・・・・・おいしいですよ。」
 軽く笑みを浮かべながら進めてくる。
 「食べますよね?」さらに念を押しながら・・・。

 「あ、茜ぇ〜・・・」我ながら情けない声を上げながら俺は観念
 する事にした。何だかんだ言っても、こいつにはかなわないの
 だから・・・。
   ワッフルを手に取ると、ふと回りを見回す。
 春先の平和な夕暮れ時の公園。
 自分が「ここ」に居るという実感。
 少しずつ流れていく新しい幸せの時間。

 遊歩道の所に自分が行っていた高校の制服を着た男が見える。
 何気なしに、あいつは何やってんだ?と思って見つめていると
 そいつ、が振り返ってこちらを見た。
 そして、そいつはこう言った様な気がした。・・・聞こえる距離では
 ない様な気がしたのは我に返ってからからだが。

 「君は、愛すべきものを、見つけたんだね。」

 くんっくんっ
 「ん?」
 見ると茜が袖を引っ張っている。
 「早く食べないと冷めますよ。」と少し不満そうだ。
 「え?ああ・・・うん、あ、今・・・」
 ワッフルを一口かじりながら(う゛う゛う゛甘い)再び遊歩道を見ると
 そいつ、の姿は消えていた。
 「なあ、茜?今あそこにうちらの学校の男が立ってただろう?」
 茜はそちらを見た後こちらを向いてはっきりと言った。
 「さあ?そんな人、見てません。」
 
 その時突然頭の中にある名前が浮かんできた。
 「ひか・・・み?」  
            
                           ・・・・続きます(T_T)。


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