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Tactics ONE short story



「想い」に降る雨




by 佐倉 砂緒


 ・・・今日も、雨が降り続いている。あの日と同じように、雨が降り続いている。
でも、今の私は悲しくない。なぜなら、あの日、あの春の日、あなたは私のもとへ帰ってきてくれたから。

 今日のように、雨が降っていたあの空き地。たたずむ私に、あなたが声をかけてきた時。私は、とても嬉しかった。その後も、あなたは私に声をかけてきた。迷惑そうなそぶりを見せて、その実、とてもうれしかった。「もう、この人と離れることはないんだ」って・・・
だから、あなたが学校に来なくなった時、みんながあなたの事を思い出さなくなった時、私は
「どうしてなの?どうして私だけがあなたの事を覚えていなければならないの?」
と、自分が嫌になっていった。でも、やっぱりあなたは私の心の中にすんでいて・・・私は、あなたを忘れることなど出来なくて・・・。最後の日、あの空き地で渡した、渡せなかったプレゼント・・・。あなたにまた会える日を信じて、きっとまた会えると信じて、あなたを待ち続けていた一年の日々・・・。

 そして、再会。私と、詩子のもとに、あなたは帰ってきてくれた。それだけが、私にとっての全て。もう、二度と離れない。もう、二度と離さない。私の「想い」に帰ってきてくれた「あなた」と。


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