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Tactics ONE short story



輝きを求めて


第2話

by 佐倉 砂緒



雨の降る朝、登校途中の空き地。
俺にとって、懐かしい場所。
何気なく、足を踏み入れてみる。
「?」
ふと見ると、一人の女の子が、ぼんやりと佇んでいた。
ピンクの傘、見覚えのある制服…。
やがて、彼女もこちらに気付き、ゆっくりと振り返る。
里村茜。同じクラスの子だった。
「…よお、何やってんだこんな所で」
俺は、彼女に声をかけた。
「誰?」
抑揚の無い声、短い言葉。会話が、繋がらない。
「クラスメートの名前くらい覚えとけよ」
「…クラスメート」
そう繰り返した言葉に、感情の起伏は読み取れない。
「同じクラスの折原だ」
「それで?」
やはり、会話が繋がらない。
しかし、当然と言えば当然だ。別に、親しい間柄ではない。
それでも、この雨の中、こんな場所で佇んでいる理由が気になる。
「なあ、こんなところで何をしてるんだ?」
「用があるの?」
…ダメだ。もう、これ以上話がすすめられない。
俺は、これ以上の会話をあきらめ、学校に向かうことにした。
「…待って」
と、背後から呼び止められた。
「…なんだ?」
しかし、その後は再び無言のまま。
俺を真正面からみつめる、その寂しい瞳が、
まるで、何かを訴えかけているような、そんな気がした。
「ごめんなさい、やっぱりいいです…」
そしてまた、黙り込む…。

これが、俺にとっての茜との最初の出会いだった。
そして、この時以来、俺の中で《里村茜》という存在が、
次第に大きくなっていくのだった……。



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