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Tactics ONE short story



雨上がりの日に・・・




by 高槻涼一



 「・・・」
 「・・・・・・浩平・・・?」
 「・・・嫌だよ・・・。」
 「・・・嫌だよ・・・・・浩平・・・っ」
 「・・・どうして・・・」
 「・・・どうして・・・私を置いていくんですか・・・」
 「どうして・・・ひとりぼっちに・・・するんですか・・・」

 「ピピピピピ。ピピピ・・・。」
 夢?
 涙が溢れてくる。
 なぜあの人は消えてしまったの・・・
 どうして・・・?
 
 みんなが忘れてしまっている・・・あの人のことを・・・
 まるで始めから居なかったかのように・・・
  
 
 「還ってきて・・・」


 今日も雨・・・
 あの人が消えてしまった日と同じ・・・
 私のこころに幼い頃と同じ痛みを・・・いや、もっと大きな痛みを刻み込んだ日と・・・
 私は今日も此処に居る・・・
 あの人が、私の一番大切なあの人が消えてしまったこの場所に・・・
 あの人の温もりを最後に感じたこの場所に・・・
 きっと還ってきてくれると信じて・・・
 私には待ち続けることしかできないから・・・
 
 また日々が過ぎてゆく・・・
 私にとってはなんの意味もない日々が・・・
 一日、また一日と・・・

 忘れたくない・・・
 あの人と過ごしたとても大切な日々を・・・
 あの人の温もりを感じた日を・・・
 私を呪縛から解き放ってくれたあの人のことを・・・
 
 幾つの季節を越えたのだろうか・・・
 春・・・
 夏・・・
 秋・・・
 冬・・・再び・・・春
 
 涙が止まらない・・・
 還ってきてくれた・・・
 約束を守ってくれた・・・
 だから私も精一杯の笑顔で・・・「おかえりなさい。浩平・・・」 
 

                                    終



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