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Original Novel Pochikun Presents



Bye〜rain〜


6.当たり前の日常

by ポチくん





Jan 27 SUT




シャアーッ

カーテンを開けるような音と同時に、光が俺を指す。

ま、まぶしい・・・

目覚し時計・・・まだ鳴ってないぞ。

聡人
 「俺は無視することに決めた」


 「ぬ〜無視することに決めないでよ〜」

そうか!これは新種の目覚ましなのだな。

返事をするとはこりゃまたハイテクである。

聡人
 「ナウなヤングにバカウケだな」


 「なに、死語大王奔烈してるのよ」

だいたい休日のこんな朝早くに起きること自体、愚の骨頂である。


 「ぬ〜早く起きて!兄さん起きないと掃除できないでしょ」

聡人
 「最近の目覚ましは掃除をするようにもなったのか」

知らなかった・・・

まるで俺は時代の流れに取り残されたドンキホーテである。


 「ほら、お〜きろ〜〜〜〜!!!」

ガバアアァァ〜〜〜


 「う、わっ!」

どん!

合図とともに、俺の上のものが引っ剥がされる。

それと同時に冷気が俺の全身を包む。

俺の安眠が妨げられた瞬間だった。

しかも、引っ剥がされるのと同時に目覚ましが転ぶ音も聞こえた。


 「ぬ〜痛いよ〜」

聡人
 「麗奈・・・何してるんだ?」

バランスを崩した麗奈が、思いっきり転けていた。

麗奈
 「ぬ〜・・・何してるの、じゃないよ」

麗奈
 「兄さんなかなか起きないんだもん・・・」

聡人
 「起きないとまずいのか?」

麗奈
 「兄さん、まだ朝御飯食べてないでしょ」

麗奈
 「それに早く掃除しないと間に合わないよ」

・・・何に?

麗奈
 「ぬ〜顔に『何に』って書いてるよ」

聡人
 「いやいや、忘れたわけじゃないぞ」

今日はみんなと出かける日だ。

麗奈
 「さすがに兄さんでも忘れないよね」

何か引っかかる言葉ではあったが、さっきの失態を前には何も言い返せ無かった。

それにしても

聡人
 「何で目覚まし鳴らなかったんだ?」

枕もとに常時待機させている目覚ましを手に取った。

その目覚ましはどうやら通り魔にあったらしく、無残にもケースが割れていた。

その残骸が、辺りにはまだ転々としている。

おまけに秒針も止まっていた。

聡人
 「だ、誰だ〜〜〜!こんなことをしたのは〜〜〜!」

麗奈
 「兄さんよ」

・・・

さあ、飯でも食うか。

・・・







出かけるといってもどうせ午後からだし、朝8:00に叩き起こされた俺は何もすることがなかった。

寝るか・・・

小綺麗に片付けられて、俺の部屋ではない俺の部屋でもう一度眠りについた。

・・・








 「・・・さん!兄さん!」

ふみゅ・・・?

まだほとんど眠ってないぞ。


 「兄さん!起きて!」

だから、まだ寝かせろよ。


 「ぬ〜おいて行っちゃうよ」

しつこいやつだ・・・

仕方ない。目だけ開けてやる。

俺の目の前に時計が見える。

7:00

聡人
 「なんだ?時間が逆行した?」

麗奈
 「ぬ〜そんなわけないでしょ。兄さんが壊したんじゃない」

そう言うと、麗奈は目を細めた。

麗奈
 「あ、早く早く!もう出かけるよ!」

麗奈は腕時計を俺の目の前に突き出した。

11:30・・・

聡人
 「そうか、じゃ準備するか」

麗奈
 「早くしてね」

・・・







今日はみんなで出かけるには丁度いい天気だった。

曇った日の多いこの頃ではあった。

そして久々の日溜りに当たっては暖かさに情緒を感じるのだった。

俺たちはそんな中、いろいろなところに回っていった。

昼ご飯を食べた。

服を買いに行った。

デザートも食べた。

俺たちは、とても仲がよかった。

気がつくと日が傾きかけていた。


 「う〜ん、今日は楽しかったなぁ〜」

麗奈
 「お姉ちゃん、よく食べたね」

聡人
 「あれは食い過ぎというやつだ」

麗奈
 「うん!そうかもね」

そういえば杏は昼ご飯の懸賞ラーメン特大四人前をぺろりとたいらげていた。

おまけに食後のデザートだといって、更に超巨大8人前パフェを腹に収める波乱ぶりだ。

たらふく食ってお金がかからないどころか、収入を得ている。


 「なに〜?そこでこそこそ言わないの!」

聡人
 「でも、あれで『デザートは別腹っ!』はないだろ」

麗奈
 「うんうん!」


 「あ〜麗奈ちゃんまで!」

麗奈と杏がそういいながらじゃれあった。

真由美
 「今日は楽しかった?」


 「うん!とっても」

真由美
 「またいつか来ましょうね」

真由美さんもとても楽しそうだった。

聡人
 「でも、毎日これじゃ疲れるぞ」


 「いいじゃ〜ん!べつに〜!」

麗奈
 「うんうん、いいじゃ〜ん!べつに〜!」

真由美
 「いいじゃないですか?べつに」

聡人
 「ま・・・いいか、べつに」

そう、楽しかったからよかった。







四人で商店街を抜けようとしたときに、俺はあることに気がついた。

聡人
 「あ、ちょっと先に行っててくれませんか?」

真由美
 「あら、どうしたんですか?」

真由美さんが、何かしら?と首を向ける。

聡人
 「目覚し時計を買ってくるのを忘れたんで」

麗奈
 「兄さん、目覚まし壊しちゃったもんね」

麗奈が、そっか、という雰囲気で答える。

今日の朝気がついたんだが、あれがないととても不便だ。

俺は最新(?) テクノロジーの有り難さに打ちひしがれたのだった。

聡人
 「杏もくるか?」

俺がそう言うと、杏は少し考えた素振りを見せて、


 「う〜ん・・・ちょっとわたしも買い忘れたのあるし、そうする」

真由美
 「あまり遅くならないで帰るのよ」

麗奈
 「おいしいもの作って待ってるからね」

そう言うと、俺たちは麗奈たちと別れた。

手をつないで歩いている二人を見ると、その存在が空気のように思えた。

しばらく見ていると、遠くで麗奈が転んだ。

どんな会話をしているのだろう。

想像したら、思わず笑ってしまいそうだ。







そのまま、俺たちはアーケード街に入っていく。

辺りには、また雲が出はじめ、今にも降ってきそうだった。

俺は時計屋に行くと、さっさと買ってきた。

聡人
 「ところでお前の買い物って何だ?」


 「明日、聡人の友達とか泊まりにくるんでしょ?なんか買っておこうと思って」

そうだった。

昼の食事のときに、そのことを話したのだった。

もちろん真由美さんは賛成した。

聡人
 「お前、気が利くな」


 「でしょ!」

そう言うと、杏は楽しそうに顔を綻ばせた。

あたりは既に真っ暗だった。

・・・







目が覚めると、まだ九時だった。

そういえば俺、まだ風呂入ってねーや。

ぼーっとした目で、俺はリビングへと向かう。

リビングでは、ちょうど映画が始まったらしく、真由美さんと麗奈がコーヒーを飲みながら、テレビを見ていた。

麗奈
 「あ、まだお姉ちゃん入ってるよ」

真由美
 「聡人さんもいかがです?コーヒー」

そう言うと、真由美さんはすっと立ち上がった。

聡人
 「いえ、あがってからでいいです」

真由美
 「じゃ、お姉ちゃんの分でも作っておきましょうか」

ちょうどそのとき、杏があがったようだった。

風呂からあがって、そのままパタパタと走ってきた。


 「あ、コーヒー!わたしも飲みたーい」

まだ髪が濡れている状態のまま、杏はコーヒーの匂いに釣られてやってきたのだ。

真由美
 「はいはい、作ってますよ」

そう言うと、杏にコーヒーを渡した。

聡人
 「ちゃんと髪、拭いたか?」


 「あ、まだ少し濡れてるね。コーヒー飲んだらドライヤーかけとくから」

聡人
 「じゃ俺、入ってきます」

そう言って、俺はリビングを後にした。







まだ引きやんでいない、風呂の湯気。

???

不思議な気分だった。

そう思うと、湯船につかるのが躊躇われた。

俺はシャワーだけ浴びて、あがることにした。

あ、バスタオル用意すんの忘れた・・・

これ使うしかないのか?

そこに掛かっていたのは、まだ生暖かく、濡れたままのバスタオルだった。

・・・


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