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御國冴綺 Original Novel



アイ・シ・テル


by 御國冴綺




 私は 籠の中に捕らえられている
 あなたを好きになったあの時から

 私の「アイシテル」
 あなたの「アイシテル」

 同じ言葉なのに
 どうして
 どうしてその中身が
 天と地ほどに違うのだろう

 あなたとの待ち合わせ
 一生懸命おしゃれして
 うきうきしながら待っているのに
 あなたはいつも遅れてくる

 知ってるんだよ
 バスが遅れてとか 会社から電話があったとか
 いろんな言い訳をするけど
 本当は 他の女の子と遊んでたって
 知ってるんだよ

 その時は笑顔でデートを続けるけど
 家に帰ってからは
 大きな声で泣き続けている

 いっそ
 あなたとのこと 終わりにしようって
 何度も思った

 でも

 いくらあなたから逃げようとしても
 振り返ると いつも追いかけてきて
 後ろから抱きしめて

 「アイシテル」

 とささやいてくる

 そんな優しい言葉と その次に訪れる あなたの微笑みだけで
 私は動くことが出来ない
 あなたのそばを 離れることが出来ない

 なんて 私は弱いんだろう

 夢の中で あなたを殺そうと何度も思った
 夢の中なら あなたを殺せるから
 殺してしまえば あの言葉と微笑みで 捕らえられることもなくなるから

 でも

 あなたの 胸から 背中から
 何度ナイフを突き刺しても
 何度私が あなたの生暖かい血を浴びても

 あなたは起きあがってきて
 私にささやく

「アイシテル」

 夢の中なのに
 なんで あなたの一番の頃が浮かんできて
 あなたを生かしてしまうんだろう


 ごめんね もう別れたいなんて言わないって言ってしまえば
 あなたが 私の心を 孤独にすることなんて 解ってるのに

 それでも 私はあなたを愛し続けるだろう
 あなたは 私を籠の中へと閉じこめ続ける
 少しのえさを与えて つなぎ止めようとする

 そのえさだって 他のこと上手くいった時には
 与えてくれなくなるはず

 それでもいいって 今は思ってる
 一回だけ
 ただ一回だけ
 私がいらなくなったときに
 心からの

「アイシテル」

 を聞かせてくれるのならば

 私はあなたにささやき続ける
 籠の中に閉じこめられた小鳥のように

「アイシテル」

 何度も何度も
 繰り返しささやき続ける

 それが いくら虚空に消えるだけと解っていても
 私には あなたを好きでいつづけることしか出来ないから

 だから 最後には……
 お願い……





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