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御國冴綺 Original Novel



身分違いの恋


by 御國冴綺




 あなたを見ている
 ずっとあなたを見ている

 手に届かないところにいるあなた
 あなたのそばには あの人

 大きな声を出して あなたに呼びかける

「私はここにいます
 私を見てください
 私の事を一時でもいいですから
 覚えてみてください」

 その声に 少しぐらい反応してくれてもいいのに
 あなたは私の方を向くこともしてくれない

 ずっと ずっと
 あなたの目に映るのは あの人
 とびきりの笑顔で
 お互いを見つめあっている

 その姿がまぶしくて
 思わず目を背けそうになって
 あわててあなたの方に向き直る

 その目には 涙
 例えどんなことをしたって
 あなたが私を見てくれないことが解ってるのに

 あなたが何かの気まぐれを起こして
 ちらっとでも視界に入れてくれることを期待して
 その時に
 あの人以上の笑顔を送りたいと思って
 その瞬間を 待ちわびている


 そうして 何年経っても
 あなたは私のことを見てくれなくて
 私は すっかり元気を無くしてしまって
 あなたのこと あきらめてしまうかもしれません

 やっぱり
 あなたにはあなた
 私には私の生きる道があるから

 植物が 太陽の方に伸びていくように
 動物が みんなの命を守るために群れをなすように

 小さな魚の私は
 大きなお城の上にいる金色のあなたを思いながら
 この小さなお堀の中で
 大きな心で泳ぐことが 精一杯出来ることなのかもしれません

 このお堀によく沈んでいる 鉄の針をのんだところで
 あの人のように 金色に輝くことは出来ませんから

 だから せめてこれだけは聞いてください
 私が泳ぐ時に出来る 波の音を

 その音を聞いて 海や川にいた時を思い出して
 あの人との愛を
 もっともっと深くしていってください

 それが 今の私の願い
 それが これから出来る あなたへのプレゼント

 幸せに なってください……ね?





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