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Sentimental Graffiti Short Story



沢渡ほのか ― Long Distance Call ―




by 健太郎



 札幌市にある私立祥桜学園高校ではまだ12時だというのに、下校する生徒が目立ち始めている。
今日は7月3日、期末試験の最終日だった。どの生徒も肩の荷が下りたので、晴れやかな顔をしている。
 そんな生徒達を教室から眺めている少女がいた。彼女の名前は沢渡ほのか。
この学校では、大の男嫌いで有名だ。そのせいで、ほのかにあこがれる男子生徒は多いが、決して誰も声はかけない。
「はぁ・・・・」
 ほのかはこの時期にしては気持ち良く晴れた青空を見上げて何度目かのため息をついた。
「ほぉ〜のか!何してるの?」
「さ・沙樹、もうっおどかさないでよ!」
 クラスメイトであり、中学校からの親友がいつのまにか後ろに立っていた。
「ふふ〜ん、ごめんごめん。それよりさぁ、せっかく期末試験が終わったのに何暗い顔してため息ついてるの?」
「そんなこと、何だっていいでしょ。」
「あらら、親友にそんなこと言う?あっもしかして、テストの出来が最悪だったとか?」
「違うよ!」
「じゃあ、最近太ってきちゃったなぁ、とか?」
「ちぃ〜がぁ〜う!そんなんじゃないよ!」
「じゃあじゃあ、東京の彼氏の事?」
 言われた途端、ほのかは真っ赤になる。
「ちっ違うよ!!!」
「やっぱりそうなんだ、真っ赤な顔しちゃって、いまさら隠すこともないじゃない。」
 そう、ほのかは男嫌いだが付き合っている人はいる。小学校の頃転校していって、今年の4月に再会した少年だ。
本人に言わせれば、そんな関係じゃないそうだが、はたからみれば付き合っているようにしか見えない。
 ちなみにこのことは「男嫌い」と同じくらい有名になりつつある。
「別に隠すわけじゃないけど、沙樹ったらからかうんだもん。」
「そっかな?まぁそれより私が元気の無いほのかチャンのために、いい所に連れっててあげるから。」
「私、そんな気分じゃないんだけど・・・・」
「いいじゃない!パセオに美味しいアイスクリームのお店ができたんだ。ねっ行こ!」
「ああ!もう引っ張らないでよ!分かったわよ、行くからそんなに引っ張らないで!」
 ほのかは沙希に引っ張られて仕方なく付き合うことにした。
                  ―続く―



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