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Sentimental Graffiti Short Story



沢渡ほのか ― Long Distance Call ―




by 健太郎



 ほのかと沙希は大通り公園を歩いていた。祥桜学園と同じく試験期間中なのか高校生か多い。
そしてほのかには最悪なことに、カップルが腕を組んだり、あるいは手をつないで歩いている。
それを見てほのかはまた深くため息をつく。
 
 ほのかは男嫌い、というより男性恐怖症気味だ。そんなほのかが父親のほかに好きになった少年がいた。
 その少年は、小学校5年生の春にほのかのクラスに転校してきた。
少年が転校してきてしばらくたって、課外授業で牧場に行った時に、乗馬をしていたほのかが落馬しそうになったが少年が身を挺してかばってくれた。
ほのかをかばったせいで、少年は骨折してしまい入院することになった。
 ほのかは自分のせいで少年が骨折したことを謝りたかったが、いざ少年を前にするとうまく言えないので交換日記をすることにした。
ほのかは学校の出来事を、少年は2・3行の感想を書くだけの他愛の無いものだったが、日記のやり取りをするうちに少年に対する想いにほのかは気付いた。
その想いをやはり日記に書いて伝えることを決心した矢先、少年はまた転校していってしまった。
 
「ほのか、本当にどうしたの?最近元気無いよ?」
 歩いていても元気が無いほのかを見て、沙希は心配そうにほのかの顔を覗き込む。
「やっぱり彼の事?何かあったの?よかったら話してよ。」
「う・・うん・・・・・」
 沙希がからかって言っていない事が分かったので、ほのかはしばしの沈黙の後口を開いた。
「ここのところ、彼と会ってないの。声も聞いてないし、それで私・・・・・」
「彼って東京にいるんだっけ?」
「うん・・・・」
「なら会ってないってのは分かるけど、声も聞いてないって、電話はしてないの?」
「・・・うん、彼バイトが忙しいらしくて、電話するのは彼がこっちにくる都合がついてから電話するって事になってる。」
「なるほど、で彼から電話がくるのを待ってるわけだ。ところでほのかからは連絡取れないの?」
「ううん、番号は知ってる。だから前に何度か電話してみたの。」
「なんだ電話したんじゃない。で、話はしたの?」
「留守電だった・・・・だから話はしてない・・・」
 ほのかは泣きそうになっている。可哀想になった沙希は、ほのかに優しく問いかける。
「メッセージは?電話してとか、会いたいとか言った?」
 ほのかは声を出せないのか、かぶりを振った。
「どうして?言わないと彼もほのかの気持ちわかんないよ。」
「留守電だと、なんて言って良いか分からないし、怖くなっちゃって・・・・」
「そっか・・・じゃあこれから彼に電話しようよ。私がついててあげるから。」
 うつむくほのかに沙希は元気付けるように言った。
 ほのかは親友である沙希の好意を無駄にしたくなかったし、沙希がいてくれるならと思ったので沙希に従うことにした。
                  ―続く―



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