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Sentimental Graffiti Short Story



永倉えみる ― 私のもとへ逢いに来て ―




by 健太郎



 「フーフフフフフフーフフ〜ン、フフッフフフフフフ〜ン」
 ご機嫌に鼻歌を歌いながら箪笥を引っかき間をしている少女、永倉えみるはご機嫌ながらも試行
錯誤していた。洋服を着替えてはファッションショーよろしく、鏡の前でポーズを取っている。
女の子がこれほど洋服選びに熱をいれるのは、彼氏とのデートのためと言うのは想像に難しくない。
実際えみるも明日は、運命の人であるところのダーリンとのデートを控えている。
 「ふにゅ〜、ダーリンはどんな洋服が好きなのかなぁ。ピッ子ちゃんどう思う?」
 えみるはお気に入りのぬいぐるみを抱きかかえて、ベットに倒れこんだ。ベットの上にも、沢山
の洋服が山積みに鳴っている。思案顔のえみるはふとカレンダーを見た。7月7日は赤い丸でしるし
がついている。
 それを眺めていて、えみるは一つ重要な事を思い出した。7月7日は七夕だ。えみるが住んでいる
仙台では、この日有名な七夕祭りが開かれることを思い出したのだ。
 「そ〜だぁ、明日は七夕祭りだから浴衣を着て行こう!うんそうだよぉ、やっぱりお祭りと言えば
浴衣だもんね、早速用意しなきゃ。」
 
 「じゃじゃ〜ん!えみりゅんの浴衣姿だりゅ〜ん!」
 えみるはまたもや鏡の前でポーズをとる。
 「あっそうだ!ママにもみせてこよ〜っと。」
 階段を駆け下りて台所に行くと、えみるの一番の理解者である母親が夕食の準備をしている。
 「ねぇねぇママ、えみりゅんの浴衣姿、かわいいかなぁ?」
 「あらえみるちゃん、かわいいわねぇ。でもどうしたの?急に浴衣なんかに着替えて。」
 「も〜やだなぁ、明日は七夕祭りだりゅん!だからぁえみりゅんも浴衣を着るんだりゅん!」
 「七夕祭りねぇ。で、誰と行くの?」
 「ダーリンと行くの。ママも知ってるでしょ?」
 「小学校のときに転校して行っちゃった子ね?そう言えば、少し前に会いに来てくれたって言って
たわね。」
 「そうだよぉ、ダーリンはえみりゅんとの約束を覚えててくれたんだよ。」
 「約束って何?」
 「おっきくなったら、また一緒に遊ぼうねって約束したんだりゅん!」
 「良かったじゃないえみるちゃん、これは脈ありね。」
 「むぅ〜、みゃ、脈って何の事だかわかんないりゅん!!」
 えみるママがからかう感じで言うと、えみるは顔を赤くして自分の部屋に逃げてしまった。
 
 えみるは自室に戻ると、洋服に着替えてベッドに腰をかけた。
 「あ〜、明日はついにダーリンと会えるんだぁ。ダーリン、えみりゅんの浴衣姿見てうど思うか
なぁ?ちょぴぃっと不安だりゅん。ねぇピッ子ちゃん、大丈夫かなぁ?」
 ピッ子を抱き上げたえみるは不安げな顔だったが、「大丈夫だよ」とピッ子が言ってくれた気がし
たので、えみるは笑顔になってピッ子を抱きしめた。
                    ―続く―



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