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Original Novel TAKA Presents




・・・
今日は、私、神沢紅亜が
何故こんなバイトをしているのか、説明してみたいと思う。

そう、それは確か
私が4年ほどのアメリカ滞在を終え
生まれ故郷の日本に帰ってきて・・・
高校にもなじんだ頃。

あの日は大体覚えてる。
近くに住んでた中国人の友達を空港まで見送って
その帰り。

あの日から、私と社長の、いわゆる「縁」が始まったんだ。





・・・
「はぁ〜・・・、やっぱ空港って苦手ねぇ〜・・・。」

「そーなの、紅亜?」

「なんっか・・・きびきびしすぎててさぁ・・・。」
 やっぱ駅の方が、ゴチャゴチャしててね。

 いいんだ。」

「じゃ黄雀(こうくぅ)の中国とか、好きでしょ?
 自転車多くって。」

「水輝(みずき)っちゃん冗談きついって(笑)。」



私が空港から帰って
駅のコインロッカーを開けた瞬間から
この話は始まる。



あの頃の私は・・・

何って言うか、中身がなかったんだ。




Mr.Joeにお任せを。


<Miss.CLAIREの思い出話>






ガチャン
重いコインロッカーを開ける。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
その時は本当に驚いた。
私も水輝も・・・
本当に「開いた口がふさがらない」ってのを体験してた。



「ね、ね、紅亜。
 こーゆー時って警察じゃない?」
「え・・・あ、そうっ!!」
私も軽率だったかも知れない。
うかつにもそんな大きな声出しちゃうなんて。

「あ。」
気づいたときにはもう遅い。



・・・ホギャア・・・ホギャア・・・



私の出した声のせいで
ロッカーにしまってあった(?)赤ちゃんが泣き出してしまった。

「ちょ、水輝どーしよっ!?」
「まずいよー、みんな見てるよ!」
駅だから当然だ、誰か人が通ってる。
「(見てんならこっち手伝いなさいよねっ・・・。)」
いつも通りのニッポンの嫌なところを心の中でぼやく。

とはいえ。
このままだと私たちが怪しまれてしまう。

・・・

どうすることも思いつかず
逃げようかな、と思ったときだった。

「どうなされました?」





「ああー、これはまずい。」
突然やってきたオヤジが
突然私らの間に割り込んで
突然赤ちゃんを抱きかかえた。

「ちょ、アンタっ!
 何やってんのよっ!?」
別に私の子供じゃないんだけど何故か怒ってしまった。
「お嬢さん、そんなに怒らない。」
しかも何っ、「お嬢さん」だなんて!
・・・って、初めは気持ち悪くて仕方なかったっけ。

そして、怒りが頂点に達すると、私のマズイ癖が出る。

「Keep it up!!
Don't talk back to me!!!!!!!!!!!!!!!」

和訳してみると。
「いい加減にしてよっ!
 私に口答えすんじゃないわよっ!」
と言ったところか。

あの頃の私はタガが外れると英語が出てしまってた。



しかし

「お嬢さん。
 あなたに「ブッ叩く」とか、そんな汚い言葉は似合いませんよ。」
このオヤジは一瞬に即訳しやがったのだ。
「ね、お嬢さん?」
と、抱きかかえている物を見ると。

・・・だあ・・・あぶぅ・・・

いつの間にか赤ちゃんが泣きやんでいた。
しかもこのオヤジになついてる。

「お急ぎのご様子なので、ここは私が。

 責任持って警察に届けておきます。」

初の完敗だった。





「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!
 ムっカツクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
帰りの電車の中で吊革を握って怒っていた。
もちろん周りの視線なんて気にしない。
「紅亜・・・ハズいよぉ・・・。」
水輝には随分恥ずかしい思いさせたな。
と、反省はしてなかった(笑)。

「日本人なんて・・・日本人なんて・・・

 ヘコヘコ頭下げながら世界最小のモーターでも作ってればいいのよっ!!」
「紅亜、誉めてるのかけなしてるのかわかんない(汗)。」

・・・

とにかく、怒りを抑えることを知らなかった。
「だいたい何なのよ、あの日本じんっ!

 ・・・うううぅぅぅぅぅぅっ・・・

 思い出せば出すほどむかついてくるぅぅぅっ!!」

「紅亜。
 じゃ、あのおじさんと・・・「決闘」するの?」

決闘。
それは私の魂である。

最近では・・・確か。
黄雀をいじめてた4人組と。

もちろん完勝。

「よし、シメるっ!
 私のプライドをかけてっ!」



・・・



その数日後。
地元情報に詳しい燈子(とうこ)を頼りに
あのオヤジがうろついているという公園へ向かった。

そのオヤジはお天道様の真下、ランチを摂っていた。
コンビニのおにぎりにパックのお茶。
「(ホームレスと何にもかわんないじゃないのよ・・・。)

 ね、ちょっと。」
「おや、先日のお嬢さん。
 何か、なされましたか?」
「まだ何にもやってないでしょうがっ。」

あの時はまだ日本語のニュアンスが戻ってなかったからか。
変な返答をしてしまった。

「・・・・・・とにかく。
 アンタのおかげでこの前はずいぶん恥ずかしい思いしたじゃないのよっ!」
「ああ・・・それは失礼をおかけしました。」
・・・
「(そこで謝られたらおしまいじゃないっ。)

 だから、今日はアンタに恥かかせに来たわよ。」
「なるほど。」

・・・

「(・・・何かキー狂うわ・・・。)」
そんな、私の気持ちが空回りしていると
突然オヤジが立ち上がった。
そしてどこかへ。

「って、アンタどこ行くのよ?」
「ああ、先日の赤ちゃんの身元を調べているんですよ。」
私も後をついてく。

後ろをつけながら聞いた。
「そんなの警察にまかせときゃいいじゃない。」
「ああ、私業として探偵を営んでまして。
 どうしても放っておけなくて。」
「へー・・・、探偵なんだ。」

探偵だったのには本当に驚いた。
そういえばさっきから見ている手帳には
びっしり住所が書き込まれて。



・・・
「?
 何で駅じゃないのよ?」
何故か市役所にたどり着いた。
「あのお嬢さんは生後間もないですし
 ここ数ヶ月の出生届を調べれば何らか分かるでしょう。
 ま、個人差多少有ると思いますが。」

・・・
「そう言えば何よ。
 「お嬢さん」って。」
と。
市役所の椅子にふんぞり返って聞いた。
「私は、常日頃から女性の方に対してはそのように呼んでおりますが。」
私は呆れて返す
「ったく、誰のマネか知らないけど・・・・・・。



 !
 勝手に置いてかないでよっ!!」
あくまで、このオヤジはマイペースを崩さない。

・・・

「で、何か、一つでも分かったの?」
「ああ、あのお嬢さんのことですね。
 どうやら「しせいじ」のようですね。」
「・・・
 私が知らない単語使わないでよ。」
「「私生児」。
 詰まるところ
 出生届が出されていないのです。」
と、首筋をかく。
「つまり、何にも分からなかっただけじゃない。」
「まあ、わかりやすく言うならそう言うことになりますね(笑)。」
私の罵りにも何一つ感じず
ただ笑って返答。

私にイニシアティヴを譲る隙を見せない。



次は駅だった。
「お嬢さん、手荷物お持ちいたしましょうか?」
と、オヤジはとあるバアチャンの荷物を持って
ざっと見、20段の階段を駆け上がり、また戻ってきた。

「ふぅ、ちょっとお待たせしてすいません。」
「(バカじゃないの・・・
  勝手に待ってたの私だし・・・。)

 それも・・・「お嬢さん」用?」
「・・・
 まあ、そういうことだと思いますよ。」

私はこういう「親切」と言うのが苦手だった。
理由は下記の通り。

「大体そういうのって・・
 自己満足でやってるんでしょ?」
「はぁ・・・。」
「結局自分がいいことやってる、って思ってるだけなんだから。」
「なるほど。」
「「なるほど」って、納得しないでよー・・・。

 そういうのって、やろうと思ったら簡単なのよ。」
と、しばらく闊歩すると。

・・・
「ほら、いた。」
私は簡単に
荷物を抱えすぎて落としてしまった人を見つけた。

オヤジは無視しようとしていた。
「ほぉ〜ら、偽善的。

 見せてあげるわよ。」
「あ、ちょっとっ。」
「(止めたって聞かないわよ。)」



静止も聞かず、そばに駆けつける。
「大丈夫ですか?」
「えっ、あのいいでスッ!」
私はとりあえず大きな荷物から。
そしてその上に細かい荷物。
しっかり安定するように積む。

「はい、どうゾッ。」
「っ・・・すいませんっ・・・。」
そしたら
恥ずかしがって、逃げて・・・

・・・

「始終、済みましたか?」
「・・・・・・終わったわよ。

 ほらっ、この前の所に行くんでしょっ!?」

・・・全部、計算していたんだろうか?
この人が、恥ずかしがり屋だということ
さらに、その最中に人が通って
この人がもっと恥ずかしがることを。



さて。
駅のショッピングモールを抜けてコインロッカー置き場に。

このオヤジと出会ってしまったところだ。
「ま。
 定番じゃない?」
犯人は現場に戻る、と言うヤツだ。

「確かに。
 あの日に放置されたとすれば・・・
 新聞などで何一つ起こっていないことを知って
 心配でもするでしょうね。」



ロッカー前には、人通りはほとんど無かった。
二人で居れば目立ってしまうので
私はキヨスクの近くの影で
オヤジはサ店で見張ってる。

・・・
一体何なんだろうか。
あのオヤジは。

私の中で
「ニッポンのオヤジ」なんてのは
ただ酒飲んで酔っぱらってるよーな。
そんな情けない人間なのに。

さっきのセリフを思い出す。

「確かに、来るかも知れないけど。
 昨日とか、一昨日に来てたらどうすんのよ。」
「その件については大丈夫です。
 ここ数日間にあのロッカーが開けられた形跡は
 全くありませんでした。」

盗聴機やら隠しカメラよりもっと単純に
紙テープを貼るという作業。
開けた形跡が有れば紙テープは破れている、という寸法だ。

・・・
このオヤジは
どこまでも完璧だった。

どこまでも私の一歩上を行く。

「(とか何とか思ってるウチにっ!!)」
どこまでも私の一歩先を行く。

オヤジが喫茶店から消えていた。





「あっ・・・。」
オヤジが、誰かを追い詰めてる。
しかもあのロッカーの前で。
「(ねっ、誰っ!?)」
耳打ち。

「・・・あなたが、探しているのは・・・

 残念ながらその中にはありません。」
追い詰められた女の人は
動揺してる。

どうやら、この人が、探し求めていた人らしい。



「お嬢さんが探しておられるのは・・・
 これでしょうか?」
オヤジがいつの間にか昨日の赤ちゃんを持っていた。
いつの間に持ってきたんだか。

「ここ数日間、責任持って面倒を」
「違いますっ。

 ・・・私の子じゃ、ありません。」

・・・そんなバレバレなウソ。
誰も、アンタの子供か?、って聞いてないんだから・・・

「えっ、違いますか?
 先ほどから、妙にこのロッカーをお調べになられていたようですが・・・

 違いますか・・・。



 実は・・・。
 この子の両親が見つからないのです。
 ご存じ・・・無いでしょうね。

 非常に、困っているんですよ。」

「この子の親は、きっと人として愛する心を失ってしまった。

 残念なことです。

 きっと、育てる気は・・・無いでしょう。



 かといって。
 私に育てることは出来ませんし
 そういう施設に預けたところで
 親の愛情を知らぬ子供を産みだしてしまうのも・・・。



 私の友人に
 少々、そう言う手口に通じた人がいるんです。

 私はいっそ、その友人に任せてしまおうかと思ってます。

 秘かに生まれた命を、秘かに葬るのは容易いですからね。

 良い考えだと、思いませんか?」
「・・・・・・。」
「(ちょっ、このオヤジ何話してんのよ・・・。)」

・・・

「もう一度、念のために聞きますが

 この子は、あなたの子供ではありませんね?」
「・・・はい。」

「本当にですか。
 後悔しないんですね?」
「・・・・・・・・・はい。」

「本当に、あなたの子ではありませんね?
 どうなろうと、関係はありませんね?」
「はい。」
「(・・・なんかイヤな予感が・・・。)」



きっと、あの瞬間を共有したのは
私と、あの女の人だけだったろう。

静かなざわめきが、一瞬のうちに消え
ただ一つの音が、聞こえてくるなんて。







とんっ・・・







「・・・。」

私は、オヤジの後ろからのぞき込んで
その音の原因を知った。

「・・・・・・あ・・・ああ・・・

 ちょ・・・何やって・・・。」

手が震えて、言葉も震えて
私は、私は、叫ぶこともできなかった。

「ちょ、何やってんのよ・・・。」
あふれ出す血が、布を通し、手を汚し、床に落ちる。

「何って・・・。」
やっと私は叫ぶことの出来るほどの理性を取り戻した。
「「何って」じゃないわよっ!!
 アンタ何やってんのよっ!!!!

 これじゃ人殺しじゃないッ!!」

赤ちゃんには、刃渡り8cmほどのナイフが刺さっていた。

そしてそれが抜かれると、そのナイフには
ドラマみたいな水っぽい血ではなく
本当の血が付いていた。
紅く、ドロッとした・・・



どんっ、どんっ、どんっ、どんっ・・・・・・

いつの間にか、私は、半狂乱で、オヤジの背中を殴ってた。
どんな言葉を叫んでたかは、それは覚えていないけど。



なのに、あのオヤジは顔色一つ変えずに
「しばらく、預かっててください。」
赤ちゃんを私に渡した。

そして。



その、赤色に、真っ赤に染まった両手で
あの女の両手を握りしめた。
まるで、血を擦り込ませるように。

そして目を見つめて、言った。





「これが・・・

 あなたの赤ちゃんの血です。」

長い間があって
泣いた。

「・・・みき・・・?

 みき。
 みき・・・

 みきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!

 みき・・・ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんな
 さいっ、ごめんなさいっ、ごめんなっ・・・



 っ・・・ああ・・・・・・ああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああ
 ああああああああああああああああああああああああああああああ
 あああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・。



 みきぃっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいいっ・・・。」

最後には、うずくまって・・・





・・・

あのオヤジは



やっぱり完璧だった。

「すいません、お嬢さんっ。

 あなたを試すために、つまらない茶番を打ちましたっ。」

私から、赤ちゃんを再び抱きかかえると
そのうちに、笑い声が聞こえだす。
そして、そのまま、しゃがみ込んで同じ視線で話し出した。

「すいません。
 ですが、みきちゃんには何の傷も付けていません。
 ご安心下さい。」
ゆっくりと、持ち主に手渡す。
「っぁ・・・みき?みき?」
やっぱり、母親が分かるのか
今までにない喜びを見せる。

今度は、嬉しくて泣いていた。







・・・
オヤジが、涙を拭くためにと、ティッシュを貸して。
それが全部使い切られると。
母親が話し出した。
「・・・すいませんでした。
 本当は、私の子供なんです。

 私、」
そこをオヤジが遮る。
「お嬢さん。
 僕はあなたの身上にむやみに介入したくありません。



 しかし。
 一時の辛さや、絶望に
 大切な、大切な命を見捨てないで下さい。

 これは僕が代わりに頼んだだけです。



 ・・・
 世の中には、自分の子供に愛情を抱けない人がいます。

 もし、あなたがそういう人だったならば
 僕はあの場であなたに暴力を振るっていたでしょう。



 でもあなたは違った。
 あなたは、本当にこの子を愛していた。

 それだけで、十分なんです。

 それだけの愛があれば、十分母親の資格なんです。



 生きていれば、辛いことだってあります。
 孤独を感じるようならば、もっと多いはずです。

 でも、この子は
 まだ、何の選択もできないんです。
 全てを、あなたにゆだねているんです。

 お腹の中にいたときと、何ら、変わらないと思うんです。



 辛かったら「辛い。」と一声言って下さい。
 少なくとも、僕はあなたの味方であるつもりです。
 そんな、一時の悲しみに

 始まったばかりの命を、見捨てないで下さい。

 それだけの愛があるのに、見捨てないで下さい。」
「はい・・・はいっ・・・。」



・・・

「ったく。
 手品だなんて・・・

 本気で焦っちゃったじゃない。」
「すいません。
 ただ、どうしても本気で信じてくれる人がいた方が助かったので。」

だーれも居ないバスで
私たち二人は帰路に就いていた。

私は、ある程度オヤジを罵った後

・・・あの母親のことを思いだしていた。

TVで見ると、どうしてもフィクションみたいで
「知ったこっちゃ無い」って世界だったけど
間近に見ると
どうも・・・。



「(私は・・・

  あんな人生送りたくないな。)」
「お嬢さんっ。」

今までのオヤジの「お嬢さん」じゃなかった。
私より前の席にいるのに
こっちを振り向いても居ないのに

凄い威圧感があった。
怖かった。

「お嬢さん。

 今、「あんな人生送りたくない。」と、思われましたか?」
嘘がつけなかった。
「。

 そーよ。
 だって、そうじゃない。
 それに、思うくらいいいじゃない。」
嘘がつけず、本音がボロボロ出ていた。

「では・・・

 お嬢さんにとって人生は・・・
 一体何で区別されますか?

 収入ですか?
 健康ですか?
 それとも」

「だって・・・

 それは事実じゃない。

 収入あった方がいいじゃない。
 健康って、重要じゃない!?

 それとも、「心」とかなんて言う、クサい答え?」

「・・・・・・では

 お嬢さんにとって
 人生とは何ですか?
 知覚できる物ですか?
 優劣が絶対的な物ですか?

 僕には心が「豊か」だとか、「貧しい」だとか
 分かりませんし、知りません。
 ただ



 人生に・・・貴も賤も無いはずなんです・・・。
 少なくとも。



 でなければ・・・・・・・・・僕は、おかしくなってしまう。

 すいません。
 ・・・失礼な発言でした。」
「・・・・・・・・・。」



社長のことを、いろいろ分かってきた今の自分だから言えるのだが

怖いんだと思う。

自分が生きてく事に
自分の人生の結末に

ホントは普通の人よりも、ずっと怖がってる。
普段は絶対見せないけど。

それが「おかしくなってしまう」という言葉に出たんだと思う。

私の思った言葉は

社長がいつも自問している言葉なんだ。








二度目の訪問も
あの公園のベンチだった、
「では・・・この女性にいろいろ、助言などをお願いします。」
「わかってるわよぉ〜。
 他でもないJoeちゃんのお願いじゃないのぉ〜♪」
「はぁ、どうも・・・。」
・・・何故か、オバチャンと話をしていた。



「ちょっと。」
「あら。
 キレイな外人さん。」
「すいません、そちらの方に用事があるんです。」
「日本語もお上手ねぇ〜。」

・・・オバチャンの攻撃をかいくぐって
一対一になる。



「おや・・・また、何かご用ですか?」



私は

このオヤジが
一体何をたくらんで
何故こんなふざけてて
そして何処に向かって生きてるのか

それが知りたくなった。



「・・・アンタ・・・

 探偵やってる、って言ってたわね。」
「はあ。」
「のさ。

 バイトとして、雇ってくれないかな。」
「っ。

 つまり・・・臨時職員に、と?」
「変な言い回ししないでよ。」

・・・多分、快諾するんだろうな。

「よろしいですよ。」
「(やっぱり。)」



・・・
「そう言えば、名前まだだったっけ。

 私の名前は神沢紅亜。
 ちなみに、ハーフだから。」
「成る程。
 では・・・、私の名前は・・・

 気軽に、「Joe」とでも呼んで下さい。」
「・・・。」
「?
 何か?」


 ぷっ。
 一体何よぉ〜、そのJoeって(笑)。」
「・・・・・・・・・愛称のつもりなんですが・・・
 ・・・やはり変でしょうか(汗)。」
「あっ、今ちょっと焦ったでしょっ。」





ここから先は説明不要。
今から思い出せば随分変わった自分が居る。
あれから考えれば・・・
随分日本好きにもなったし
少しは礼儀も覚えた。
少しは中身も詰まってきたかも。

とはいえ。
まだまだ修行中の身。
こうやって過去を振り返れば・・・



あー・・・やっぱしそんな変化無いかも(汗)。
それでも私が変わったところは・・・







「何やってるんですか?」

「仮眠中。」

「何故ですか?」

「まだ・・・時間だし。」

「しかしCLAIRE。
 もう幾分で終わりですよ。」

「あっ、そう?」

慌てて、飛び跳ねる。
今日は速攻で帰って再放送のドラマを見なければっ。

「CLAIRE、髪が随分乱れてますよ。」

っ。
まー寝てればそうなるか。

「えっ、あっ、いいよ、別にっ!」

誰も見るとは思えないので
とにかく走る。



どっとっとっとっと・・・
品のない足音でこの部屋を出る。

「・・・・・・。

 もう少し淑やかになりませんかね、全く(笑)。」



そう、それっ。
その、社長がいつもぼやく
「お淑やか」
ちょっと進化させると
「淑女」





最近の私の夢は
そういう「淑女」になってみようかな、ということだ。
誰?
永遠に続く道だ、って言ってるの?





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