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Original Novel TAKA Presents



AnotherStory01


「I'm fond of you ♪」






俺の名前は志野悟志。

皐武(こうぶ)大学付属高校3年の文系。
部活は弓道部・・・って、そこっ!
笑うんじゃない!


好みのタイプは物静かで奥ゆかしい娘。
苦手なのはうるさいヤツ。
ホントに苦手だ。
吐き気までする。

部活のこともあわせて説明することになるが
親父はやたら笑う。
お袋は本気出せば一日中喋る。
姉貴はいつも俺にネタを見せてくる。
(将来20%くらいの確率で吉本に入ると豪語している。)

そんな周りだから
俺が静けさを求めるのも当然。
だから一番静かそうな弓道をやってる。



なんだった・・・はず・・・なんだけど・・・。

・・・

俺のこの苦悩は
二週間前
俺の幼馴染み、久保祥子から始まった。





「I'm fond of you ♪」





・・・二週間前。



放課後
部活を終えてクタクタになった俺は
バスの中でまどろんでた所だった。
「ハイ、これ。」
「?」
テニス部もほぼ同時に終わったんだろ
祥子も一緒に隣に座ってた。

「・・・ん・・・
 この手紙は・・・?」
白封筒に俺の名前だけ添えてあった。
妙に丁寧な字だ。
「私もそろそろアンタと
 幼馴染みって距離をつめよーかなーって。」
「ウソつけ。」
こいつと距離が微塵も近づかないのは
苦手なタイプのうるさい人間だからだ。
それ以前にこいつにファンがいるのが気が知れない。
ただ言えるのは・・・ソイツに「ご愁傷様。」



「ホントは何なんだ?」
「なぁーに言ってんのよ。
 アンタ意外とモテんのよ。」
「早く言えっつの。」



「ら・う゛・れ・た・ぁ・♪」



ごすっ
俺の左手が祥子の右頬をえぐる。
もちろん冗談パンチじゃない。
本気(マジ)の左ジャブだ。
もし立ってたら首投げをしているところだが。
「って、なにすんのよぉー!」
「っ、アホっ!」



「おめーも随分と手の込んだネタ仕込んだな。」
最初はこいつが徹夜でもして書いた物だと思ってた。

ザッ、ザッ。
シャッ
手紙を取り出し文面と対峙する。



・・・
はじめまして。
きっとあなたはこの手紙を
久保さんから受け取って読んでおられることでしょうね。

もし
お暇と好意とほんの少しでも興味がありましたら
明日の午後1時頃
3−1に来ていただけませんでしょうか。

私は、少なからずとも、あなたをお慕いしております。

3−1 32番 真風 みのり
・・・



「マジ?」
「マジよぉー♪」

真風みのり。
実際会ったことはないが
剣道部が弓道部と近くで練習するから
チラッとは見たことがある。

ストレートの黒髪に
面を脱いだときの憂いに佇んだ(たたずんだ)表情。



ハマった、マジで。



「そっかぁ・・・・・・(枠枠)。」
「ストライクど真ん中でしょ?」
「お前知ってたのか?」
「クラス同じなんでね。」
「・・・・・・。」

そう、マジで浮かれてた。
「よだれよだれ(笑)。」



・・・

その翌日。
部活が前半で終わったので
「速攻」で3−1に向かう。

ガタッ!!
開けにくい教室の引き戸を、何故か今日は一発で開けれた。

「・・・・・・。」
ま、先に来てしまったようだ。
「ま、じっくり待ちます、か・・・。」

久しぶりにドキドキしてる。
中学校の時、弓道大会で2位取った時
表彰状を壇上で受け取ったとき以来だ。



まだか。

まだかっ。

まだかっ!



・・・・・・・・・・・・・・・タッタッタッ・・・
廊下をスリッパが走る音が近づく。
「(来たっ!)」

ガッ!
開けにくいドアは途中で引っかかる。
「あうぅっ!!」
手に力がさらに加わる
と。

ガララッ!!
「あっ!!」
いきなりドアが開いたので
身体全体でズッコケる。
頭から突っ込んでかなりダメージを受けたのが見てとれる。

「あぐぅぅぅっっっ・・・・・・。」
床に倒れたままうめき声。
「あ゛、・・・だいじょう・・・ぶ?」
近寄って塩梅を聞いてみた。
「・・・っ!
 あ、ハイだいじょ」

ガスッ!!

彼女が立ち上がろうとしたところ
俺の胴体と彼女の頭がぶつかる。
「×××〜〜〜!?」
「?」
「舌噛んだぁ〜〜っ!!」

らしい(汗)。



数分後
悶絶の痛みも消え失せたのか
彼女と俺は対峙した。

なんかこのまま「面っ!」って食らいそうだ(笑)。

「っ」
彼女の唇が動く。



「はぁ、はぁ・・・初めましててっ!!
 ま、真風みのりと申しまスッ!?

 あ、えっとぉ、志野悟志君、あぅ、じゃなくて様ですかっ!?」
「あ・・・はい・・・(汗)?」
「あ、えっとえっと・・・
 はぁっ・・・・・・え、えっとぉっ・・・・・・。

 わ・・・わたしは・・・
 ん、わたしは!
 ・・・わたしは・・・わたしは・・・・・・っと、そのぉ・・・

 ・・・

 わたしは

 あなたのことが



 大好きですっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



多分校舎中に響いただろう。
とにかく、そのくらいでかい声で
告白されてしまった(汗)。

しかも当の本人は
「って、あぁ〜・・・言っちゃったよぉ〜・・・・・・。」
顔を赤らめてうつむいてしまった。



心の中で叫んだ。
「授業の内容に俺の無力さを嘆き・・・」と。
昨日聞いてた歌詞を思い出す。



とにもかくにも。
「えぇ・・・っと
 つまり、俺とつきあって欲しい・・・と?」
「え・・・あ・・・はい・・・っ。

 あ・・・ダメですよね。
 こんなドジばっかりする人なんて・・・
 昨日も
 階段割っちゃったし
 お皿も割っちゃったし
 CDも割っちゃったし。」
おいおい、階段割ったってどーゆーことだよ(汗)。

「・・・っく・・・ひっく・・・ぅぅ・・・

 ばか、ばかぁ・・・じぶん・・・・・・。」

泣かれた。
泣き崩れた。
孔子か紫式部かベーコンっ、誰でもいい、歴史上の人物!
俺を本気で助けてくれ・・・。

そして泣かれると弱いのも俺の性分だ。
「ま、まあ。
 な、ほら、そんなに泣くなよ?

 あ、ほら・・・。」





慌ててたんだろう・・・
ここで俺は「抜いてはいけない刀」を抜いてしまった。





「ほら、俺達お互いのことあんまり知らねーだろ?
 だいたい知らねーヤツにいきなり
 つき合ってくれ、って言われても困るし・・・

 だから、まあよくあるけど

 とりあえず「友達から始めてみない」か?」

・・・このセリフ。
使うのは女だけじゃなかったんだな、と知った。



「えっ?」
「「友達から」。
 ある程度知ってから、な。」

何であんな無理してまで完成度の高い作り笑いをしたんだろう?

「・・・の・・・わ、たし・・・

 なたの・・・そばにい、て・・・いいんです・・・か?」
「ああ・・・・・・。」

何でギャルゲーの主人公のようなセリフを(中略)。



結局。
友達から始めることになってしまった。
あっちはそうは思ってはいないだろうが・・・。

さようなら
「奥手で話すことさえも勇気が必要で
 その静けさは優しさからできている」Dream真風みのり。
そして俺の恋心。

こんにちは
「不思議な暴走魔神機関車」Real真風みのり。



・・・

これが俺が2週間前から悩み続けている理由だ。
おかげで一日中騒音に巻き込まれている。
唯一静かな空間を与えてくれる部活中も
終わればその瞬間に



「悟志「様」ぁ〜♪」



友達初日は「様」付けだった。
誰にも聞かれなかったのが救いだ。

速攻で胸ぐらを掴んで壁に押しつけ、尋問する。
「あ、のさぁ・・・(汗)。
 なんで「様」付けかナァ・・・(汗)?」
「えっ、嫌なんですかぁ〜?」
「って、まあイヤじゃな・・・じゃなくて!
 トモダチ、トモダチ。ワカル?」
何故か外人口調。
「え、じゃぁ〜・・・
 「Mr.」?」
「俺は英国紳士じゃねえ(汗)。」
「「さん」。」
「う〜・・・ん、ちょっと惜しいとこ。」
「じゃ・・・「さとっチ」。」
「わかった。

 しばらくは名字にさん付け、で頼む。」
「わっかりましたぁ♪」

現在は「悟志」となっている。
もう慣れた。



で、現在。
下校中なのだが・・・横にいる。
「♪」
ひっつくな(汗)。

とにかく。
こんな天然少女は見たこと無い。
「あのさ・・・楽しい?」
「スーパーハッピィ♪」

わけわからん。
何考えてんだ、ホントにコイツ・・・。

・・・

そうだ
こいつホントに何考えてんだ?

・・・
「なぁ。」
「なぁに?」
「お前いっつも何考えてんだ?」
と、尋ねたところ。

「・・・ヒミツ(ニヤリ)♪」

「っ。」
ちょっとカチンときた。
しかも(ニヤリ)って。

「あ、教えてあげましょっかぁ?」
「いや、いい・・・。」
何か人間関係で上に立たれるのがイヤだった。
「あ、そうなんだぁ〜。
 教えなくていいんだぁ〜・・・。」
怒りが溜まっていく。
「・・・・・・・・・。」
「じゃ、教えてあげない、って事にしておきますね。」

壁が砕けた。



「ぜってぇ、おめーが何考えてっか
 当ててやっからなぁっ(怒)!!」
・・・とちょっと怒ると
「あっ、クイズなんだねぇ。」
のほほ〜ん、と返された。
「・・・・・・・・・。」
きっと、俺だけが空回りしてる。



とある日

行きつけの本屋。
本屋が俺を救ってくれる。
確かにうるさい、とも言えなくはないが・・・

このうるささは違う。
かえって自分の中の静かさを引き出す。
「静けさや 岩にしみいる 蝉の声」
とはよく言った物だ。

で、今日発売のHゲー雑誌を・・・って
だからいいだろっ!?
もう18なんだしっ!
ったく・・・。

・・・

っ。
あれに見えるは・・・
真風みのり嬢じゃねーか・・・。
見つかると、めんどくさいし・・・
高見の見物にしとくか。

おっ、意外にゲーマーか・・・。
あのコーナーに女が近づくのは珍しいからなぁ
何読むんだ・・・?
コンシューマ、あるいはPCか・・・・・・?



おひおひ。
俺と同じもん取るなよ・・・(汗)。

って・・・おい・・・
中見て真っ赤になってるし・・・
免疫ゼロか?

やっぱし何考えてっかわかんねー・・・。

おいおい、それで買うなっ(汗)。



また、とある日。

「でねですね!
 昨日は一日中寝ちゃったんですよぉ!」
「そしたら朝になったら寝癖が」
今日もハイテンションだ。



ポン 俺は肩を叩く。

話が盛り上がっているのを制するのはちょっとなんだが
「昨日から頭痛が酷いからさ・・・
 少し静かにしてくんねー・・・?」
「あっ、はい。」

・・・
「・・・。」「・・・。」
学校の坂道を下る。

・・・
「・・・。」「・・・。」
裏道は光が射さなくてちょっと寂しい。

・・・
「・・・。」「・・・。」
雨が降ったばかりなので歩道にちょっと水たまりがあった。

・・・
「・・・んじゃ。」「・・・。」
バス停でお別れだ。

見送るときの顔が
「あぁ〜ん、メッチャ喋りたいぃ〜〜〜!」って顔だった。
何故そこまで極端に喋らなかったんだ・・・。
何か俺表現間違ったか?

やっぱし訳わかんねー・・・。



とある日、放課後。
「じゃ、バス停で待ってて下さいね♪」
「わかった。」
ま、部活に行くわけである。

部活やってるときだけは
スッゲェ静かである。

「・・・っ!
 っぃ!」
カァンッ!バチィッ!
竹刀の音だけが聞こえる。
運動量があるから喋れないだけかも知れないが
この時だけはシャープ、その外来語が一番似合ってる。

つまり「黙っていれば美人」を実践している。

わからん。



そしてまたとある日。

の朝。

朝の俺の趣味。
早めに登校して校内をウロウロすること。
そして物思いにふける。
内容は何でもいい。
国際情勢、国内の問題
果ては今日の昼食から何も考えない事も。

そんな時がとても好きだ。

で、最近は後ろにもう一人いる。
何考えてっかはわからないが

幸せそーだ。
スキップをしていないだけましか。

わかんねー。
もう諦めよっかな・・・。





今日は一緒にバスに乗っかってる。
そういえばかれこれで1週間とちょっと。
別れの切り出しにもいい時間かも知れない。
「・・・のさぁ。」
「あっ、前言ってた
 「私の考えてること」わかりましたぁ?」

そーいやそんなの言ってたっけ・・・。
「・・・・・・っ。

 わかんなかった(汗)。」
「じゃ私の勝ちですねぇ〜♪」
勝負だったか(汗)?

「私何考えてると思います?」
「「エッヘヘ♪」な顔すんな(汗)。
 だからわかんねーって。」
「私ですねー・・・
 ここ一ヶ月くらい
 ずーっと 悟志のこと考えてるんですよっ♪」
「楽しい?」
「スッゴイ楽しい♪
 悟志っていつも何考えてるのかなー、とか
 悟志の好きな物って何かなー、とか
 明日は悟志にどんなお話ししよっかなー、とか
 明日はどんな楽しいことが起こるかなー、とか・・・

 いろいろシュミレーションしてるだけで
 胸の所がキューってなって

 シ・ア・ワ・セ♪」



俺のこと・・・か。

ま・・・・・・・・・恋人とかってのは難しいけど
友達くらいの距離なら、楽しいかもな。

長くても一年ってのが最近の恋愛の相場らしーし・・・

今更、一人や二人、うるさいの増えても・・・いいか。

そういえば
俺が苦手な物を「好きになる」努力って無かったかも・・・。
ちょっと反省。



げんこつでツッコミを入れてみた。
「変な言い方すんな(汗)。
 あと、「シミュレーション」だ。
 「シュミレーション」じゃねえ。」
コツンッ
「うっ。」

「大体なんだよ、「シ・ア・ワ・セ♪」って(汗)。」
「あ、悟志は何考えてた?」
「え、あ・・・俺?

 俺はここしばらくは・・・





 お前のこと考えてたな・・・・・・。」
「あっ♪
 じゃ「相思相愛」だ!」
「それはちょっと違う(冷静)。」
素早くツッコむ。









「で、さぁ・・・
 俺のこと知りたいってのはわかったけどさ・・・。」

耳打ち。
「本買っちゃナァ〜・・・。」
「え、え、えええぇぇぇっ!?!?」

赤色。

「(よし、まず一つ勝った。)」

バスは順調に走ってく。
バスは順調に走ってく。
バスは順調に走ってく。

気がする。

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