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Original Novel TAKA Presents



AnotherStory02


「I have a good time ♪」






俺の名前は志野悟志。

「っと、これで最後か。」
「よっス!」
「お、祥子。」

皐武(こうぶ)大学付属高校3年の文系。
今日は引っ越しの日だ。

「アンタがまさか引っ越しするとわねぇ〜。」
「家が限界来てんだ。
 しょーがねーだろ。」

住んでたアパートがもう築20年だろうか
いやいや、もっと。

元々質も良くなかったし
ガタが来ていたことも
まあいろいろ計算して・・・

もっと広いマンションに引っ越すことになった。

「・・・ふぅー・・・。」
「らしくないな。」
「幼なじみが居なくなるってのは寂しいものなのよ。」
「(笑)。」
鼻で笑う。
いつもならここで祥子がツッこむところだが。

「・・・。」
「おいおい、どうした祥子。」

「ね、

 もうアンタと10何年も幼なじみやってるけどさ





 幼なじみやめたいんだよね、私。



 みのりには悪いけどさ。

 けじめつけないといけないしさ。





 ぶっちゃけた話
 私を・・・・・・・・・抱いてくれない?恋人として。」



と、言うわけで俺は祥子の首に腕を回し
腰をひっつけて





思いっきり「首投げ」をかました。





祥子の体が面白いほど宙に舞う。
重心である腰を回転の軸にすると
物体は面白いほど回転しやすいからだ。

そして浮いたところに俺の超必殺技「十王無命拳」を叩き込む。
「オラァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
俺の無限の拳が祥子の躯を破壊していく。

36Hit  Exeeded Attack!!

祥子は沈んだ。
「アホッ、ボケッ、くたばれぇっ!!」



閑暇休題。

「いったぁ〜・・・・・・。」
祥子の傷はあっさり治った。
ギャグ小説で良かった、とでも言うべきか。
「いったいどこでそんな情報仕入れたんだ(汗)?」
「アンタのベッドの下のエッチ本♪」

・・・また祥子を沈めた。



閑暇休題その2。

「ところでさぁ。
 みのりの事いいの?」
祥子の傷はあっさり治った。
ギャグ小説で良かった、とでも言うべきか。
「ああ、アイツか・・・。」

みのりの家は元々住んでたアパートの近くらしい。
時々俺の居ない間に遊びに来たこともある。

「まぁ、アンタが引っ越す所って
 駅5つか6つくらい先なんでしょ?」
引っ越す引っ越すと言っておきながらも
実際はそんなに遠くまで引っ越すわけでもない。

「・・・学校変えるわけじゃないから大丈夫だと思うぞ。」
転校なんてしてる暇はない。
バス通学から電車に乗り換えるだけだ。
結局学校に行けば会うわけだから。
「アイツはそんなことでヘコむタマじゃねーし。」

・・・
ちなみに俺とみのりは相も変わらず「友達」やってる。
「前回思わせぶりなつなぎをしておきながら結局意味無いジャン」
と、言うのが神の思し召しらしい。



さて。
今回の波乱はこんな引っ越しから始まったわけだ。





「I have a good time ♪」





「えええええええええええええええええええええっ!!!!」
「・・・・・・(汗)。」

学校中に響くくらいの音量で声が響く。

「え、ひひひ、ひこしぃっ!?」
「「ひこし」ってなんやねん。」
コンッ

「うぅ〜・・・。」
数V教科書の「角」でつっこむ。



「そんな遠くに行ったわけじゃねーって。
 駅六つくらい行ったところだよ。」
「そ、それじゃあ・・・

 「夜這い」も
 「朝駆け」も
 出来ない所だよぉ!!」

クラスの空気が一瞬固まった。
そんな中で俺は決して焦らず
「舘川国語辞典第三版」を開く。

パラパラパラ・・・

あさがけ【朝駆け・朝 ×駈け】
。朝早く馬を走らすこと。
「朝早く出かけること。また、その時。
」朝早く敵陣を攻めること。⇔「夜討ち」

パラパラパラ・・・

よばい【夜 ×這(い)】
夜、女の所に忍んで行くこと。

ぱたんっ。

「・・・日本語は。
 日本語だけはちゃんと勉強しような。
 あと、成り行き任せで覚えた単語を使うのはやめような。」
「あう。」

今日もみのりはボケていた。



・・・掃除も終わって
日もとっぷり暮れた頃。

・・・「とっぷり」ってどういう意味だろ(爆)?



さておき

タタンッ、タタンッ・・・たたんっ、たたんっ。
「(電車通学もアリだな・・・。)」
バス通だと暖房面で甘かったが
電車だとさすがに暖房がしっかり効いている。
危うく寝てしまいそうだ。





さて。
その翌日は実は日曜日であった。





少女は手頃な包みを握りしめる。
靴はいつものはき慣れた靴。
コートはあの首の回りに「ふわふわ」付きのコート。
たまにくすぐったいが暖かいのでオッケーだ。
もちろん手袋は忘れていない。
「・・・。」
玄関を開けると鉛色の空があった。



「(・・・六日遅れのバレンタインデー・・・。)」



ここから悟志の家まで
駅を六つ行くことになる。
電車に乗るのは久しぶりだ。
自分のおっちょこちょいな性格を考えると
乗り違えするのが怖い。

それでも切符を買おう。



そして電車に揺られること6駅
トテントテン・・・ッタッタッタン、ッタッタッタン・・・



「っぷはぁ〜・・・。」
悟志の居るらしい梶川駅に到着。
風が冷たい。

さて、悟志宅へ向かいだすみのり。
そんな彼女を誘惑する物がある。



「あっ♪」
ゲーセンだ。



いや、それは適切表現ではない。
店頭に置かれたUFOキャッチャーだ。

「♪」

みのりの大好きな子犬のぬいぐるみが
笑顔でゲージの外を見ている。
「い、今とったげるっ!」
と、速攻でズボンの中から財布を取り出す。
そしてやってしまう。



一回200円のレートの台にのめり込んでしまったこと。



かれこれ25分。

日本円に換算して2000円。

「やったよ、私ぃ〜♪」
取り出し口から子犬を取り出す。
通りの人々はそんな少女に呆れるのであった。

さて。
そんなウキウキ気分で悟志宅へと向かう。

・・・

・・・

「れ?」

目的地らしき地点には
「緑ヶ丘公園」通称「ぞうさん公園」。
幼稚園児が滑り台で思いっきり遊んでいる。

「・・・・・・・・・。」
悟志からもらったメモが間違っているとも思えない。

しかもあれだ。

悟志のマンションは15階もの高層マンション。
どこからでも見つかるはずだ。
なのに。
ここから見えるのはすがすがしい曇り空のみ。



電信柱を確認すると「平波町」である。
「?」

確認するが悟志のマンションは「梶川町」にある。



コンビニで地図を立ち読みしてみた。
「(がーん(汗)。)」
電車を乗り間違えた。
一駅余計に来てしまった。

速攻で駅に戻る。
そして一駅分の切手じゃなくて切符を買う。

ハズだった。



「・・・・・・・・・



 お金がない。」



「うぅ〜っ・・・(涙)。」
「・・・・・・・・・・・。」
みのりの財布から全財産を奪った
子犬の無邪気な笑顔が今は憎くてたまらない・・・

けど憎めない。
「(うう・・・歩いていこ・・・(涙)。)」



「らったた〜た、らったたった〜たっ♪
 らったた〜た、らったたった〜たっ♪」

どこで知ったかは知らないけど
テンポがよくて、ウキウキするメロディーを
口ずさみながら線路沿いを歩き続ける。

それだけで嬉しくなりそうな色が胸の中に生まれる。



そのうち

「あっ・・・・・・雪・・・・・・。」

空から物が降ってきた。

恋人を求め彷徨う自分。
そんな自分を包み込むかのような雪。
「(・・・ゲームのヒロインみたい♪)」







そんな人生うまいこといかない。







降ってきたのは霙(みぞれ)だ。
雨より冷たくベタベタする。
んでもってコートにしみこんで重すぎる。
そして気分は・・・

「惨めだよぉぉぉ・・・・・・(涙)。」

まるで極貧農地に生まれたような気分である。

「ひもじいよぉ〜〜〜・・・(貧)。」



グシャ、グシャ・・・
水っぽい雪を踏み分ける。
靴が冷たい。
しかもコートにフードが着いてないので
髪が水を吸って重い。



「何やってんだろ、私・・・。」

「よく考えたら明日渡せばイイのにぃ・・・。」
自然と涙が出そうになる。
それ以前に鼻水が出て止まらない。
「ズズッ・・・う゛〜・・・。」

頭が重い。
冷たい。
フラフラ。
ぐるぐる。
ガンガン。





どすっ

「あうっ(@o@)。」
意識を失うかのように倒れそうになってしまう。
「おい、おいっ。倒れんなっ(汗)!!」

気付けに肩を振りまくる。
がくがくっ!!っと。

「あああ〜〜〜(?@o@?)?」
かえって逆効果になってしまった。
ますます目が回ってしまったようだ。
「とにかく、落ち着け、みのり!」

「・・・。」
「止まったか?」
「うん。」



「・・・さとしぃ・・・。」
「猫なで声出すな(クール)。」
「やっとぉ〜・・・つかれたよぉ〜・・・。」
「・・・何かわかんねーけど・・・
 マジで滅茶苦茶疲れたみてーだな(汗)。」
疲労が見て取れる。



1.このまま担いでいって家で休ませる。
2.「実は、お前の本当の父さんは死んではいない。」
3.篠原を見捨てて北極点へ向かう。

選択:1



「おい、担ぐぞ。

 どっこい・・・せっ。」
「うっ。」
「落っこちんなよ。」「ん。」

みのりの右手と左手がしっかり握り合う。



・・・

「金使いまくっただろ?」「?」
「UFOキャッチャー。」「ううっ(涙)。」

悟志は1600円スッた。

「とりあえず、俺ん家でしばらく休め。」
「・・・わかった・・・。」
「よし。」
と、ポケットから10円玉を取り出す。

・・・
「あ、姉貴?
 ・・・うんうん。
 とりあえず風呂沸かしといて。
 ああ、友達友達。
 誰が恋人やねんっ!
 布団並べるなっつのっ(怒)!!

 何でもかんでも反抗期のせいにすんな(汗)。
 とにかく、ブッ倒れてさぁ〜・・・。」





「(悟志にとって、私って・・・トモダチなのかな・・・。)」

悟志の肩に頬をすりつける。
何かちょっと悲しかったから。
本当は歩けないわけじゃないんだけど、しがみついたまんま。
何かちょっと仕返しとかしたかったから。

「(私だけ、勝手に、悟志のこと好きなのかなぁ・・・。)」





そのうち
うとうとと眠り始めてしまった。
なんだか振動が気持ちいいから。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ゛ぁぁぁ〜〜〜っ、ただいまぁ〜。」
玄関にぶっ倒れる。
「おい、みのり着いたぞ。」
「ぅあ?」
「っぁ〜・・・疲れた・・・。」
「うん、うん。」

多分みのりは相づちだったんだろう・・・けど。
「こっちの・・・方が疲れたっ・・・ちゅーねんっ。」
律儀に疲れ切ったツッコミをしておく。

・・・自分もクタクタに疲れたので
自分は部屋の布団をベッドの上に速攻で広げて・・・



「日本人なら布団だろ!?」by悟志



広げて、横になった。





「(・・・みのりって人間だったんだな。)」

いや、ボケ系だからってロボットだと思ってた訳じゃない。

みのりが背中に乗ったとき
みのりが右手と左手を握ったとき
みのりが顔を肩にすりつけたとき

みのりが、体に染みついて忘れられない。



自分はみのりを叩いたりはしていたが
みのりの存在は認識していなかったかも知れない。
今日みのりが自分に対してとった行動は
みのりの存在を認識させた。

・・・

わかりやすく言えば
みのりが自分の体に触れたから
自分はみのりのそれをひしひし感じたわけだ。

みのりを殴ったり、ツッコミを入れたりするより
みのりが今日背中から自分を抱きしめたのが

ずっとずっと

インパクトがあった。



「(・・・みのり・・・。)」



「(・・・・・・揺らいでるな、俺・・・・・・。)」





一方お風呂。

ぷかぷか
波が立つ。

「(・・・何か、今日は楽しかったな・・・♪)」





本日の結果は

コンビニに置き忘れてしまったチョコレートではなく

ぐっしょり濡れたコートのポケットに入っている

子犬のぬいぐるみが知っているかも知れない。


































「・・・もう4時か。」
部屋の時計を布団の中で見上げる。
寝ぼけ眼でも短針はしっかりと読みとれた。

「・・・。」
お調子者の家族だ。
「このまま「悟志のベッド」に泊まっていったら?」
なんてぬかすに決まってる。
「そろそろ帰すか。」



・・・みのりはちゃっかり姉貴の部屋で寝ていた。
まあ姉貴が勧めたんだろうが。



「おい、起きろ。」



とは言えなかった。
何故だか今日のみのりは何か違ってた。
何故かいつも通りつっこめなかった。



いろんな意味でこの空間は二酸化炭素が充満している。
自分もなんだかいつもと違う気分だった。
何か後ろで変な物が蠢(うごめ)いている。















卑怯だとは思ったが
眠ってるみのりの・・・・・・唇に・・・・・・何故かキスをしてしまった。

「(悪夢かも。)」

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