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Original Novel TAKA Presents



AnotherStory06


「Princess」






「前説」



俺の名前は真風悟志。

とりあえず婿養子だ(爆)。



さて、俺がここに出てきたのはちょっと訳がある。
これからの話はどーやら俺が主人公ではないらしい。



主人公は息子の「叢侍(そうじ)」。
現在幼稚園年長組。
ちょっと内気なところがあるかも知れないが
健康なだけで十分だと思ってる。

それと、作者からの伝言だ。
叢侍らが喋るセリフは・・・
確かに叢侍はまだ平仮名程度しか書けないが
さすがに全部そうだと読みにくいので
随時漢字にする、と言うことだ。

「悟志、玄関でなに話してるの?」
っと。
そろそろ出勤時間だな。

お義父さんから誘われたが
やっぱり俺は大学時に決めてた所に行ってる。
逆玉、ってのも抵抗あったし
その方がちょうど公私のバランスがいいって言うか・・・。

っと。
これ以上話すとマジで遅れるな。
「じゃ行ってくるわ。」
「・・・ん〜〜〜っ・・・。」

おい、何だその「何かを待つ唇」は(汗)。
つーか・・・
「もーそんな歳じゃないだろ・・・。」
「まだ27じゃない♪」
「だからそう言う問題じゃなくって。」
「昨日の晩はしてくれたのにぃ〜・・・え〜ん。」
「嘘泣きすんなっ(汗)。」

さっきから
普段は水を絶対あげない仙人掌にあげてるお義母さん。
意味もなく玄関できちんと髪を整えているお義父さん。

傍観してないで助けて下さい(汗)。



そろそろ、本編が始まります。
がんばれ、叢侍。
とうさん、朝からピンチです。





「本編」





僕の名前は真風叢侍。

如月(きさらぎ)幼稚園年長組。



今日はなんだか、自分で起きられた。

いつもだったら・・・

おかあさんか、おばあちゃんが起こしてくれるんだけど・・・

「・・・ふぁ・・・あふぅ・・・。」

まだねむいかも。



「ん〜〜〜・・・。」

今日から四月。
僕は幼稚園の年長組になるんだ。



___卒業までの一年間。
___たくさんの出逢いが俺を待ってる。
___何かが変わる気がした。



うっ・・・変な神さまの声が聞こえたような気がした(汗)。

確か、お父さんは・・・
祥子おばさんみたいに、変な神様がいる、って言ってた。

すぐに忘れよ・・・。
そうだ、起きなきゃ。
起きて、ご飯食べて、幼稚園バスに乗る前に・・・・・・



窓を開けないと。



2階の窓を開けると
すぐに隣の家が見える。
だから、窓を開けると・・・・・・・・・。



ガラッ
「・・・おはよ・・・・・・。」
「オハヨーっ、叢侍ちゃんっ♪」

女の子の友達の「天深・椛(あまみ・もみじ)」ちゃん。
ちょっと、おせっかいで世話焼きな子・・・。



・・・
いや「ちょっと」どころじゃない。
椛ちゃんは・・・何って言うか・・・

・・・
急いでご飯を食べて、玄関に出る。
「もいっかい。
 オハヨ、叢侍ちゃん♪」
「おはよう・・・椛ちゃん。
 お隣さんに怒られなかった(汗)?」
多分・・・。
「うんっ。
 玄関あいてたし、寝てたから♪」
やっぱり。
「・・・そういうこと、しない方がいいと思うよ。」
「え〜?
 あいする叢侍ちゃんのためじゃない。」
よくわかんないけどそれは絶対間違ってると思った。
「それに、
 「朝起きて窓を開けたら向こうにいる」のは
 「おさなじみのじょ〜けん」じゃない♪

 あと
 「毎朝起こしに来たり」
 「毎日おべんと作ってあげたり」
 うん、いっぱいあるねっ!」

・・・

このように。
椛ちゃんは並々ならない行動力で毎日やってる。
だから、みんなの人気者だし、いいんだけれど
それはきっととってもいいことなんだけど
すぐそばにいる僕の毎日は・・・・・・・・・



疲れる。





「Princess」






「そういえば今日から年長組だね。」
僕と椛ちゃんは近所に住んでるから
いつもバスは並んで座ってる。
「そーだね。」
今年は何組になるんだろう?
あと、柏木くんや葵くんとまた一緒になれるだろーか?

「わたしねぇ〜・・・
 年長組になったら足下に年小組と年中組侍らすんだよっ♪」
何で椛ちゃんはそういうこと思いつけるんだろう(汗)。
「叢侍ちゃんにもちょっと分けたげるよ。」
「いいよ、僕は・・・。」

・・・

「あ、叢侍ちゃん、耳よりニュース。」
「何?」
「今日ねぇ・・・あ、やっぱり言わないっ♪」
「・・・。」
半分聞いてなかったから別に問題はなかった。
椛ちゃんとは仲がいいけど
全部全部のお話を聞くと大変なのだ。

・・・
椛ちゃんの話も終わったところで幼稚園に着く。



その日は、朝早くから、とんでもない事件が起こった。
確かに柏木君とは他の組になっちゃったし
椛ちゃんとはこれで年小組からずっと同じ組になってたし・・・

それはそれで大変だったんだけど。

今日のせんせえの朝のお話の方がずっとびっくりした。



「今日は、みんなに、新しいお友達を紹介しま〜す。」

あろうことか・・・「あろうことか」って意味はよく知らないけど

「お名前は・・・いえるかな?」

今年の僕の組には・・・




「・・・・・・・・・あいだ・・・みき・・・・・・。」
「「あいだ みき」ちゃんです。
 みんな、仲良くしてあげてね〜?」
「は〜い♪」

新しい女の子が来た。
僕もみんなも元気よくお返事してたけど

椛ちゃんだけが獲物をねらう闇夜の梟のよーな目をしていたのを

僕は見てしまった。

お絵かきの時間も、書き取りの時間も、ずっと・・・ずっと・・・(汗)。



・・・

「椛ちゃん・・・いつまで見てるの?」
お昼休み。
椛ちゃんはジャングルジムの一番上からまだ見張っていた。
僕はそれより一段下に座って話す。
「・・・あの子は悪魔なんだよ。」
「?」
「全国4000億万人の男の子の弱点
 「か弱い薄命少女」のキャラで振る舞ってるっ!」
「絶対椛ちゃん考えすぎだと思うよ。」

たぶん、日本中の幼稚園を探しても
そんな読みをするのは椛ちゃんしかいないと思う。

「あの目のうつむき加減。
 こんなみんながはしゃいでいるのに・・・
 それなのにお部屋でひとりぼっちだなんて・・・。」
「きっと恥ずかしがり屋さんなんだよ、きっと。」
「あれは絶対プロの仕草なのっ!
 本当は腹の中が原油みたいにドス黒いのっ!」
「僕その言葉わかんないよぉ〜・・・。」

椛ちゃんはいろんな事を知ってるけど
それについていけるお友達も少ない。

「どっちがこの学園の女王様か、赤青ハッキリさせてやるんだから・・・。

 「死合い」は・・・今週の、14日の金曜日。
 場所は、スーパーの裏のぞうさん公園。
 金曜日に血の雨降らせてやるんだから・・・ネッ、叢侍ちゃん♪」

・・・・・・・・・・・・

「う゛〜、また叢侍ちゃんどっかいったぁ〜・・・(涙)。」





僕はあの子が気になったので
あと、椛ちゃんとの話し方のコツも教えてあげようと
お部屋に向かった。

「・・・?」
入り口から中を覗いてみる。
あの子はお外を見てる。
やっぱり恥ずかしがり屋なのかな・・・
「そーじ。」
「あ、葵君。」
僕の後ろから葵君がのぞいていた。

葵君はとっても走るのが速いんだ。
あと椛ちゃんに対抗できるぐらい元気。
祥子おばさんに聞いたら昔のお父さんみたいだ。って言ってた。

嫌いなところは・・・よくけんかして先生にしかられてる。
ぼくもけんかをしたことがあるけど
何であんなに痛いのに何回もするんだろう・・・。
そこがちょっとわかんない。

さっきの続き。
「あの子・・・ちょっと変だよね。」
葵君に聞いた。
なんでこんなお天気がいいのにお外で遊ばないのかな。
「うん、変だな。」



「そーじ、あいつ絶対ガイジンだぞ。」
「へ?」
「ガイジンだよ、ガイジン。」
外人って・・・
ゲームとかで出てくる髪の色が違う人のこと?
「だってほら。
 アイツ髪の毛茶色だぜ。」
「あ・・・そうだね。」
長い髪の毛がお日様に当たって茶色く見えた。
「俺、行って来る。」
「えっ?」



・・・

・・・

「で、叢侍ちゃんずっと見てたんだ。」
お帰りのバス。
僕は椛ちゃんの今日あったことを言ってた。
「だって、やっぱり葵君ケンカすると怖いし・・・。」

あの後葵君はあの子にちょっかいを出して
で、その後、あの子が泣き出しそうになったら
その後葵君がポカッて叩いたら
あの子はもっともっと泣き出して・・・。

「叢侍ちゃん、教えてあげる。
 そーゆーのを「いじめ」って言うんだよ。」
「うん・・・知ってる・・・。」
テレビでよくやってる。

・・・弱くて、何にも出来ない子を・・・
・・・ぽかぽか叩いちゃうこと・・・

「で、叢侍ちゃんは勇敢にも
 あの葵のヤローに立ち向かっていったんだよネッ?」
「・・・・・・・・・ぼく。

 怖かったから・・・。」
「・・・ずぅーっと、見てたの?」
「・・・うん。」





「うわー、叢侍ちゃん最低人間だね。」
家に帰ったらすぐ、積んであるお布団の中に入って泣いた。







「うわぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!!
 もみぢちゃんのばかあああああっ!!
 ばかっていったほうがもっとばかなんだよっ!!
 ばかばかばかぁぁぁ・・・

 ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・。」

悲しいときとか
お父さんに叱られたときは
いつもお布団の中で泣く。



その日は
テレビも見ないで、ずっと寝てた。





そしたら、夢を見た。
二回目。
初めて見た夢は・・・なんだか、何処か広い場所で立ってる夢。

その日見た夢はちょっとしか見れなかった。

やっぱり、僕が立ってて、どこかを見てた。

それ以外は全部真っ白。

そして、僕が歩き出した途端



お母さんが僕を起こした。

「そーちゃん、朝だよ〜。」



今日もバスのいつもの所に座ってた。
「おはよ、椛ちゃん。」「オハヨー♪」
昨日はずーっと寝てたから
昨日何で泣いてたのかちょっと思い出せなかった。
だから椛ちゃんと普通に話してた。
でも、椛ちゃんがちっちゃい声で

「昨日はごめんね。」「うん、ありがと。」



・・・キーコ、キーコ・・・

「・・・。」
「・・・。」
今日はブランコに乗ってあの子を見てた。
今日もあの子はどこかを見つめたまんまだった。
「やっぱりあの子恥ずかしがり屋さんなんだよ。」
「う〜ん・・・そうかもー・・・。」

・・・ぎぃーこ、ぎぃーこ・・・

「むっ?」
椛ちゃんが目ざとく何かを見つけた。
「葵のヤツ・・・。」
「あ、ホントだ。」
「葵のヤロー・・・またあの子いじめる気なんだ。」

さすが椛ちゃん。
やっぱりいざっていうときは・・・

「私のシマで怪我人出されちゃ困るのにっ!」
少しでも見直した僕がバカだった。

「叢侍ちゃん、葵シメに行くよっ!!」
「うんっ。」
今は動機よりも行動の方が大事だと思った。



「天空ぅぅぅぅぅぅぅぅぅじゃぁぁぁぁぁぁんぷっ!」「っ!!」
椛ちゃんが、何か気合いを入れた時には
頭に「天空」が付くのだっ。



「へっ?」「あっ!」
思いっきりジャンプしたけど
椛ちゃんの体が空を舞い・・・

ズザァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーッ!!

そのまま着地失敗。

「あ・・・椛ちゃん、だいじょぶ・・・?」
「うっ・・・あぐっ・・・

 ああーーーーーーっっ!!
 痛いよぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!
 いたいいたいいいたいよぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」



椛ちゃんのことも心配だったけど
僕は何故かあの子の所に向かっていた。
「(ごめん、もみじちゃんっ。)」





なんでだろう。
わかんない。

僕が、今何をやってるのか。
ふわっとしてて、あしがふわふわしてて



葵君が怖いのに
何で僕は今日は怖く思わないんだろう。



これが、勇気、って事なのかナァ。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ケンカしちゃダメだからねっ。
 ハイ、仲直りっ。」

先生に叱られた。

「・・・ごめんなさい。」「・・・ごめん、なさい・・・。」

久しぶりにケンカした。
やっぱり痛かった。
涙と鼻水が止まらない。

「はい、仲直りの握手っ。」

ぎゅっ。

・・・
それでも、明日は葵君と話せないな、と思った。





「へへっ・・・そーじちゃん目ぇーまっかっ♪」
そう言う椛ちゃんはおでことほっぺたにばんそーこーが。
「椛ちゃんもウサギみたい。」
おそろいみたいでなんか嬉しかった。



ぐいっ、ぐいっ。
僕の背中を誰かが引っ張った。

「・・・?」

それは、だれでもなく
あの子だった。
「(そーじちゃん、たぶらかされたらダメだからねっ。)」
「(・・・わかったよ(汗)。)」



ちゃんと、ゆっくり見ると、その子は僕よりもちっちゃかった。
髪は、葵君の言うとおり
茶色っぽいけど、真っ直ぐにのびてて
でもぼくはキレイだと思った。

お話しするときの声はとっても小さい。
「・・・の・・・で・・・・・・。」
もうちょっと近寄らないと聞こえない・・・。

「なーに?」
耳を口元に近づけてもっと聞こえるようにする。
そしたら、あの子はお口に手を当てて



「あの・・・おなまえ・・・なんていうの?」
ちっちゃいけどかわいい声。



「おなまえ?

 真風叢侍っ、5歳!」
僕は、僕のなまえが好きだ。

「そうじ、くん?」
「うんっ。」

そしたら、その子はたくさん考えて・・・

考えて
考えて
考えて
考えて






「わたしは・・・・・・・・・・・・

 わたしは、あなたを好きになってもよろしいですか?」
「っ!!」「ええええええっ!!!!!!!!!!!!!!!!」



それは、いつも椛ちゃんが口癖みたいに言っているのよりも
ずっとずっと、僕の心がビックリした。

そして、もっとビックリしたのは耳元で叫んだ椛ちゃんの声だった。
「だ、だめぇぇぇっ!!
 叢侍ちゃんの全部は私の物なのっ!!」
勝手に決めないでよ(汗)。

「まだ小学校で隣同士の席になってないし
 お昼のおべんともつくってあげるんだし

 大人になったら結婚もするんだよっ!
 たくさん赤ちゃんうんで
 お嫁さんになるんだよっ!!

 だから、叢侍ちゃん絶対取っちゃダメぇっ!!」

そんな、大きな声で椛ちゃんが怒ってしまったので
あの子はまた泣きそうになっていた。

「ぃっく・・・っく、い、いじめないで・・・くださぃ・・・。」
僕もこの子に味方する。
「椛ちゃん、ダメだよ、怒っちゃ・・・(汗)。」

僕が椛ちゃんを止めようとしたとき
椛ちゃんの視線はどこかちがってた。
と、思ったら次の一言。



「いやぁ〜っ!!
 カワイイィィィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜(はぁと)。」
「へ?」「??」
椛ちゃんが嬌声を上げた途端
その子をぎゅぅぅぅ、って抱きしめた。

「そ〜じちゃぁ〜んっ!
 この子カワイイよぉぉぉっ!!
 こんなかわいく泣く子はじめてみたよっ!!」
「もみじ、ちゃん(汗)?」「・・・?」
あの子は椛ちゃんに抱きしめられたまま、何もできない。
「そーじちゃーん・・・
 かみサラサラしててCMみたいだよー・・・。」
「ぅぅっ・・・。」
椛ちゃんがあの子の髪の毛をワシャワシャするので
あの子も嫌がってる。



椛ちゃんは
あの子をたいそう気に入り
「みきちゃん?
 葵とかにいじめられたらソッコーで教えてね♪
 私、助けてあげるからねっ。」
愛玩園児として側に置くことにした。

・・・

今日も、慌ただしい日々だった。





「あいだ みき」ちゃん。

「・・・わたしの、ね・・・
 「みき」って・・・

 お姫様の意味だ・・・って、お母さん言ってた。」
「ふ〜ん。」×2

「藍田 御姫」ちゃん。

今日から僕の友達。



明日も、楽しい日になるといいな。

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