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Original Novel Yuki Presents



歴史の果てに


第4章

ズレ



俺は、ミスティの話しに聞き入っていた
俺が、そのアストラディウスとかいう天使なのか?
そして、青葉が…その天使なのか?
「これが、全部ね…。」
重い空気を割ってミスティが話す
「その歴史の変化に気づいた私達が、あなたを助けるためにここにきたのよ。」
「そうや。楽やなかったけど…。」
「俺を、助ける…?」
なぜ?俺には、その記憶や力はない
放っておいても、問題はないんじゃ…?
「あのね、今はなんともなくても、死んだ後に、すごい苦痛を伴うの。」
「体は覚えてなくても、魂は、生前の記憶を全部覚えてるんや。」
「あなたは、アスラシャムが受けるはずの苦痛をこれから受けることになるの。」
アスラシャムが受けるはずの、苦痛…
「それって、俺が、痛い目に会うってことか?」
「そうや。」
いや、あっさり言われても…
「だから、それを止めるために、私達がいるの。」
ミスティが言うには
俺に天使としての力を目覚めさせる
そして「時読み」の力で歴史を変えるのが目的らしい
「そんなこと、可能なのか?」
「ええ、理論上はね。」
「そそ、あんたの場合、特殊な例やから、成功するかわからへんのや。」
確かに、俺自身実感わかないしな…
「で、俺はなにをしたらいいんだ?」
もし、できることがあるなら可能な限りやるべきだろう
結果が、どうあっても
「今のあなたはただの人間だから、無理しなくていいわ。」
しかし返ってきた答えはあっけないものだった
ようするに、なにもするな、ということか…
確かに、さっきなんにもできなかったし
情けないほどに、動けなかったよな…
「で、なにか質問ある?この空間創るのって、結構しんどいのよ。」
そうなのか…結構余裕に見えてるけど
じゃあ、一つだけ
「四大天使って、1人足りないようだけど…?」
「キュスティは…捕まってるのよ。」
捕まってる!?やばいんじゃないのか?
「じゃあ助けにいかないと…」
「今のうちらじゃなんにもできへん。残念やけどな。」
うちらは、もともと戦闘用になってないからな
この中でまともに戦えるのは、あんたとミスティだけや
…目覚めてくれれば、の話しやけども
「そうね、新しい四大天使も増えちゃったし…。」
「新しい、四大天使?」
「うん。私達がそろって地球に降りちゃったから…。」
天界の機能を維持するためには四つの元素を扱う天使が必要らしい
それが、三人ともいなくなったために、新しい天使を補充した、と付け加えた
「ま、敵が増えたっちゅうこっちゃな。」
おいおい、そんな軽くていいのか?確か…
「そうだよ、天使って死なないんじゃなかったのか!?」
話しの流れからすると、そのうち戦うんだろ…?
こっちも死なないけど、向こうも死なない
決着つかないんじゃ…
「安心して。」
ミスティが俺の考えを見透かしたように言う
「私達だって、なにもしてなかったわけじゃないわ。」
そう言って一本の剣を取り出した
それは、奇妙な形をしていた
「…変わった剣だな。」
真中の刀身に、六つの…刃(?)が付いてる
「七支の剣よ。六つの刀身に文字が刻んであるの。」
「天使とか、悪魔とか、そういう類の精神に直接作用するようになっとるんや。」
ふーん、なるほど…
天使とか、悪魔に有効な剣…か
「これなら、神だって殺せるのよ。」
「まじか。」
…怖いものもってるなあ…
「じゃ、そろそろ…。」
「待った。」
「何?」
いや、基本的なこと忘れてた
「名前、教えてくんない?さすがに、人前で"ミスティ"とか言うわけには…。」
「そうね、忘れてたわ。」
まあ、あんなことがあった後だしな
「私がミスティこと、美堂 華織(みどうかおり)よ。」
「うちは、渡辺 佐織(わたなべさおり)や。」
「そっか、よろしくな、美堂、堺。」
「あんた、しつこいで…!」
殺気が辺りに立ちこめる
やばい、結構きにしてるみたいだ
「悪い悪い、同じこと繰り返してもつまらないよな。」
「もう、ええわ…。」
呆れてる…完全に、呆れてる
「さてと、そろそろ空間をしまうわ。」
剣をしまいながら
「それじゃ、またなにかあったら連絡するわ。」
「じゃな〜。」
って、おいおい、連絡先ぐらい
「梓零くん、いこっ。」
ぐい、っとひっぱられて教室に入る
「おいおい、青葉。連絡先とか、聞いとかないと…。」
「私知ってるから、大丈夫だよ。」
じゃあ、大丈夫か…

「…なあ、ミスティ。話すの早かったんとちゃうか?」
「いいのよ、これで。」
そう、人間達もなにか動いてるみたいだし、時間がないわ
「それに、なんで嘘ついたん?キュスティ、本当のことゆうたらいいのに。」
「それは、確証のないことだから…ね。」
そう、まだ真実は分からない
あの子が、行方不明なことは、まだ言うべきときじゃないわ
失敗した時に、またあなたに背負わしてしまう
仲間の裏切り、を…
「それで、成功するとええねんけどな。」
「…彼が出てこれないのは、あの人間達のせいよ。」
「あの、魂の器っちゅうやつか?」
「ええ、あれのせいで意識だけ封印されて、力だけ融合しちゃってるんでしょうね。」
ほんと、厄介なものを作ったものよね…
人間も、なかなかやるものね
でも、これは、偶然なの?
偶然に、反物質を安定させれるものなの?
キュスティ…あなたは…
「そのせいで、いつも説明するのに苦労するなあ〜。」
「そうね。できれば私は…いっそのこともう、関わりたくないわ…。」
そう…私は、一体どれだけ彼を殺せばいい…?
そのためにも…今度こそは、目覚めさせてあげる

「あーあ、割れてるよ、やっぱり。」
教室に戻ると案の定ガラスは粉々
みんな、驚いた表情で止まってる
「なあ、この状態から動き出すのか?」
「うん。私が、もっと早く感知して、空間を創ればよかったんだけど…。」
うーむ、なにかいい手は…
「そうだ。」
俺って、歴史を修正…できるんだっけ
「なあ、歴史の修正ってどうやってやるんだ?」
「え?ええと、確か、「こうなりますように」って、思うんじゃなかったっけ…。」
「つまり、ガラスは割れてない、みんな気づいてない、って思うのか?」
「うーんと、簡単に、なにもなっかった、ってことにするとか。」
ううむ、歴史作るのって大変だ
「あ、でも無理だと思うよ…。」
「そうかな?」
「だって、すっごくエネルギー使うし、翼がでてないと使えないって…言ってたよ。」
まあ、ものは試しだ
「…………。」
思う、ひたすらに、なにもなかった、という歴史を、思う
それは、無意識のうちに「みんなを巻き込みたくない」という意識だったのかもしれない
「…こんなもんでいいか?」
「うーん、空間が閉じてからでないと、わかんないよ〜。」
「まあ、万が一って事もあるし。」
「そうだね。」
とその時、ふっ、と力の気配が消えた
空間が…消えたのか?
「ちょっとまぶしいから、注意してね。」
シュバッ!!
うお、ちょっとどころじゃねーぞ
が、
「うそ…。」
青葉が声をあげる
「どうした!?」
ようやく目がなれてきた…そこには
「…治ってる、ガラス…。」
みんなも、なにごともなかったように…寝ている
「ん?どうした、青葉、緋禮。」
「あ、なんでもありません。」
「すんません、ちょっと。」
「…緋禮、寝るなよ。」
寝れね−って、あんなもんの後じゃ…
(すごいね、修正されてる…よ?きっと。)
小声で青葉が話しかけてくる
(ああ、うまくいったみたいだな。)
(うん、よかったね。)
…どうしよう
歴史がずれちゃってる
この間とは、違うよ…
記憶も戻ってないのに、なんで力が使えるの?
ミスティさんに、知らせないと…


「長官!UD-01の反応を捕らえました!」
「なに!?」
ふん、歴史どうりに動いてるではないか…!
「場所は、Eブロックの8A1-5です!」
「よし、総員戦闘配備!いいか、ぬかるなよ!」
「はっ!!」
あとは、あれだけだな
「刻露博士、例のものは?」
「ああ、できてますよ。」
「ふむ、そうかご苦労。」
パチン
椎田が指を鳴らすと、一人の軍人がやってきた、そして
ダダダダダダダ!!!
刻露に発砲した
「な、なにを…!」
「…この世に支配者は二人もいらんだろう?」
「くそ、裏切ったな…。」
「おい、器を。」
「はっ。」
ふふふ、今度こそ、逃がさんぞ
お前は、私のものだ
私のために、歴史を創ってくれ…!
「おい、こいつを消しておきたまえ。」
「了解しました!」
「ふふふ、椎田長官…愚かですね…。」
こうなることぐらい、すでに予測済みですよ…
ちょっと早いですが、あなたには死んでもらいましょうかね…
「残念だが、歴史は私に味方しているみたいなのでな。」
そう言うと椎田は基地を後にした
「さて、もう芝居は結構ですよ?」
「ふー、つかれた…結構大変ですね。こういうの。」
ふふ、まさか、自分が操られているとは、思ってもいないでしょうね…
ねえ、椎田長官…
「あと、私はなにをすればいいですか?」
「そうですね、キュスティさんは、この基地に残っている椎田派の軍人を始末してもらえますか?」
「わかりました。博士は?」
「私は、人類を救うための研究を続けますよ。」
「はい、頑張ってください。」
そう、人類は、救われるべきよ
そのためには、ディベリウスも、アストラディウスも、いてはならないのよ
あいつらがいなければ、人類は自分の足で歩いていけるのよ
待っててね、私の手で、歴史から抹殺してあげるから
二人とも、ね…




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